魔導大会でも目立ちたくない③
魔導大会が来月に迫り、学園内は心なしかザワついていた。
僕も少し楽しみだ。
何より色んな競技で、数多くの魔法が見られる。
魔法対戦は色んな人が出るし見る分に関しては楽しみではある。
「マリス、どうだ?俺の魔法は。」
今僕はフェイルと2人で訓練場にいた。
魔法対戦に向けて、強化訓練をしている。
フェイルの兄が騎士団長で十二神でもあり、少しでも追い付く為にも出ないという選択肢はなかったらしい。
フェイルは兄に今の実力を見せたいそうだ。
見に来るとは限らないだろうと聞くと絶対に来ると言い張っていた。
魔導大会は帝国内でも大きなイベントだ。
皇帝陛下も見に来るらしく、騎士団長が来ないはずがない、との事だ。
「悪くないと思うよ。でも目立ちたいならもっも派手な魔法がいいかも。」
フェイルの魔法は実用性は高いが派手さはあまりない。
目を引く魅せる戦いをするつもりならもう少し派手な方がいいだろう。
「ふうむ、やはりアレを使うのが一番良いのだが……まだ完全にコントロール出来ないのでな。万が一観客席に誤射すればとんでもないことになる。」
アレとは僕が教えたオリジナル魔法だ。
威力や派手さに関して言えば申し分ないのだが、いかんせん習得するのに苦戦しているようだ。
とはいえ僕が何かしてやれる事はもうない。
後は自分なりに使いこなせるように頑張るしかないだろう。
「誤射は勘弁してくれよ?アレは流石に威力が高すぎる。フェイルくらいの魔力で誤射なんかしたら絶対死人が出るよ。」
「それだけは絶対にあってはならないからな。まあ後一カ月ある。なんとかモノにしてみせよう。」
フェイルがそういうなら問題はなさそうだ。
熱い男ではあるが実力は十分にある。
使いこなすのも時間の問題だ。
朝の訓練も終わり教室に戻るとアスカが走り寄って来た。
訓練の事を聞きに来たようだ。
ここ最近毎日聞いてくる。
どんな訓練をしたのかとかどんな魔法を使ったのかとか、フェイルの事がそんなにも気になるのだろうか。
まあ詮索はしない。
彼女なりにアプローチする為の情報を集めているだろうから。
「今日はどうだった!?」
「あーもう少しで完成って感じかな。魔法対戦では確実に目を引くと思うから楽しみにしてていい。」
「えー!!来月が待ち遠しいなぁ!!」
フェイルに恋心を抱いているのか目を輝かせている。
しかし実らない恋だろう。
いくらなんでも身分が違いすぎる。
アスカはどこの家の娘か走らないけど苗字があるんだ、少なくとも平民じゃないだろう。
それでもフェイルは公爵家の人間だ。
結ばれることは難しいだろう。
優しい眼差しで見つめた後僕は自席に着く。
横のロゼッタはいつもの如く眠そうな目を擦っていた。
僕も朝は結構弱い。
ボーっとしていたらいつもまにかオルバ先生が来ていたようで、朝のHRが始まった。
「おはよう!今日は来月に迫った魔導大会について話をするぞ。出る競技に関してはある程度の希望は聞くがほとんど教師陣で決める。まあ今まで授業を見てきた中で一番その者が実力を発揮できそうな競技に出てもらうからあまり心配しなくていい。ただ、魔法対戦に関しては知っての通り立候補制だ。もしくはクラブの部長は強制参加だな。このクラスからは委員長のリスティアと魔法探求会の部長マリス、フェイルとカイルが出場だ。一年で魔法対戦に出る奴なんてほぼいないんだが、まあ頑張ってくれ。そうだな、せっかく出場するんだ。3位以内に入った場合はクラス全員に俺が飯を奢ってやる!!!」
オルバ先生は焚きつけるのが上手いな。
ただみんな金持ちの子供だ。
飯を奢るくらいでは変わらないと思うのだが。
「「「おおおお!!!頼むぞマリス!!委員長!!!フェイル様!!!とカイル様。」」」
そうでもなかったらしい。
やはりお金があっても人から奢ってもらうのはまた別らしい。
僕は出来るだけ目立たないようにある程度戦ったらわざと負けて全体の半分位の順位で終わらせようと思ってたのに、そういう訳にいかなくなった。
そんな負け方すればクラスの人達から何を言われるか分かったもんでもない。
しかし、何故かカイルが参加する事になっていたのは驚いた。
もしかして自分の実力がどれだけ上級生に通用するのか試したくなったのだろうか?
皆からあまり好かれていないせいで応援も心なしか小さい声だった。
「ふん!上級生であろうと私が負けてやる道理はない。」
凄い自信だ。
カイルは相当自身があるようで負ける事は視野にないらしい。
悩み事なんてなさそうでいいなぁ。
「後もう一つ。マリス、お前は全体順位の上位半分に入らなければクラブは解体だからな。それが嫌なら負けるなよ。」
知ってるよもう。
いちいち言わなくても。
部長であるならばそれなりの実力は擁しているものだ、なんていう学園のルールが煩わしい。
負けるつもりはないけど、勝ち続けるつもりもない。
どうせならガウェインさんと当たりたいな。
それなら負けても誰も文句は言わないだろうし。
「よし!以上だ!!じゃあ授業やってくぞ~。」
教室は少し熱気に包まれていたが、オルバ先生はそんな事気にも留めてないのかすぐに切り替え授業を始めだした。
僕は魔法対戦の事で頭はいっぱいだってのに。
授業が終わると、どこからともなくスッと現れ僕の隣に来たのはカイルだった。
またどうせいちゃもんでも付けに来たんだろうな。
「マリス、お前も魔法対戦に出るそうじゃないか。私と当たらない事を祈っておくんだな。」
それだけ言うとまた何処かへと離れて行った。
なんか面倒くさい人だな。
とにかく誰よりも自分が優れていないと気が済まないのか、それとも単純に僕が嫌いなのか。
「はぁ、カイルは相変わらずね。気にしなくていいわ。どうせ沢山参加者はいるんだし当たる事もないでしょ。」
「当たったらどうするのが正解だろうか。」
「ま、ボコボコにしてやればいいんじゃない?」
ロゼッタは簡単そうに言うがそれはそれで問題になりそうだ。
相手は少なくとも公爵家の人間。
男爵家生まれの者にボコボコにされたとあっては、後で報復されそうで怖い。
「安心しなさいよ。アタシもフェイルもいるのよ。アイツの家が何かしてくることはないわ。二つの公爵家を敵に回すことほど厄介な事はないでしょうからね。」
暗に僕の味方になってくれると言っているらしい。
こう見えてロゼッタは友達思いのようだ。
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