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虹色魔導師は目立ちたくない  作者: プリン伯爵


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戦争が始まっても目立ちたくない⑩

マリスとガウェインはキャロルと別れた後、索敵していると煙が上がる村を見つけた。

村の中へと足を踏み入れると、辺りは死体が無造作に転がり家屋は焼け落ち、無事な人がいるのか怪しいほどであった。


生き残った人を探そうと村の中を散策していると、離れた家屋から悲鳴が聞こえた。


急いで駆け付けると王国軍の兵士が数人たむろしており、生き残っていた家屋の扉を叩いている。


「おい!!さっさと出てこい!!このまま火を付けられたいのか!」

「いや!辞めて!!私達は何もしていません!!」

中から女性と思われる声が聞こえる。


村の中に死体の数が少ないと思ったら何人かは一つの家に避難していたようだ。

早く助けたほうがいいな。


「何をしている。」

少し離れた所から兵士らに声を掛けるとまさか人がいるとは思ってなかったのか驚いて僕に剣を向けてきた。


「何だお前!何処から現れやがった!」

「通りがかっただけだよ。それで、何をしているんだ。」

「チッ、通りがかりの冒険者か。ならさっさとどっか行けよ、俺らはこの村の奴らを皆殺しにするんだ。ちょうどこの中に何人か隠れやがったからな。」

その兵士は扉を強く蹴った。

音に驚いて中の人の声がまた聞こえた。

なかなか態度の悪い兵士らしい。


「……どうした、マリ……ガイン。……なるほど残党か。」

ガウェインさんも後ろからやって来たが僕の名前を呼びかけたな?

気をつけて欲しいホントに。


「2人共サッサと失せろ。冒険者は相手にするつもりはないからよ。」

どうやら殺すのは帝国民だけらしい。

冒険者は割と色んな国の人が多いから、対象外になるんだろう。


「いや、あんたらが失せろ。ここは帝国領だ。王国軍が好き勝手やっていい場所じゃない。」

「あ?めんどくせぇな。おい、コイツラ先に殺るぞ。」

一人が他の兵士に声を掛けると全員剣を抜いて僕らに向かって構えた。

僕らも同時に手を相手に向けた。


その動きで魔導師と分かったのか、兵士の顔に緊張が見えた。

「お前ら魔導師か。おい、全員で殺るぞ。」


普通の兵士なら魔導師を相手にする時複数人で攻撃する。

距離を詰めなければ、魔法を撃たれ続けて終わるからだ。


「……ガイン、俺が3人相手にする。お前は残りの4人を殺れ。」

「分かりました。」

役割分担は大事だ。

何故か僕が一人多い方だったけど。


でも家の中に避難している人達は怪我をしているかもしれないし、出来るだけ早く終わらせよう。

魔力を練り始めると兵士は気付いたのか走り出した。


距離を詰めて剣で攻撃してくるつもりだ。

普通の魔導師なら魔法を連発するのに魔力を練る時間が相応にかかる。

でも僕にとって彼らを倒すのに必要な魔力は少ない。

故に素早く魔法を発動することができる。


炎雷水王牙フレアボルトアクワイア

僕のオリジナル魔法で片を付ける。

右手に炎、左手に雷を纏わせ身体の前には水球を生成する。

炎と雷は水球に触れると水蒸気爆発を起こし、その推進力を得た水は薄い刃となり彼らを切り刻まんと襲い掛かった。


見たこともない魔法のせいか、ろくに対処することが出来ず4人共狼狽えながら身体を真っ二つに切り裂かれ地面に転がった。


この魔法も戦闘で使うとなると結構エグいな……。


「貴様ァァ!!俺達の仲間を!!」

激昂した別の兵士が全力で駆けてくるが、次はガウェインさんの番だ。


「……血に塗れた死神の鎌(デッドリーサイズ)。」

片手が黒いオーラを纏ったかと思うと徐々に形を創り出す。

黒いモヤのかかった鎌になるとソレを振りかぶり横薙ぎに振るった。


鎌から放たれた黒い刃は真っ直ぐに接近する兵士に向かって飛ぶ。

兵士も剣を盾にして防御するが、剣ごと真っ二つにされた。


綺麗に上半身と下半身が別れた兵士はそのまま地面に叩き付けられ身動き一つとらない。

即死だったようだ。


3人が一瞬で死んだ。

流石は学園魔導位1位だ。

これは生徒同士が戦う魔法大会に出たりなんかしたら、死者が出てしまうのではないだろうか。


「……変な事考えてるな?言っておくが魔法大会の時は手加減をする。」

「あ、ああそうですよね。こんな威力の魔法をぶっ放すのかと思いました。」

「……流石に俺でもやらん。俺をなんだと思ってやがる。」

ホッとした。

魔法大会で同級生が殺されるのではないかと心配した。


「……そういうお前こそ魔法大会では手を抜けよ。誤って相手を殺してしまうぞ。」

「もちろんそのつもりですよ。それに学園では三色魔導師ってことにしてますから。」

「……どうだがな。お前は見た感じポンコツだからな。」

なんか失礼な事を言ってくれるな。

僕はそこまでポンコツじゃないぞ。

ちょっとポカはするけど。



兵士は全て片付け複数人が避難している家の扉をノックする。

「外に居た王国軍は倒しました。僕らはあなた方を助けに来た者です。」

「……全員、倒してくれたんですか?」

「はい。もう出てきても大丈夫ですよ。」

そう言うと少し間が空き、恐る恐る扉が開かれた。

中を覗き込むと10人程避難していたようだ。


ゾロゾロと外に出てきた村人はバラバラになった兵士を見て口を抑えていた。

まあ気持ち悪いよな、敵の死体なんて。


「全員……バラバラ。」

「ウッ……」

何人か吐いているな。

気持ちはわかるよ、僕も吐きたいが仮面をしている以上耐えるしかないんだ。


老若男女の村人は口々に感謝を述べる。

本当は全員助けたかったが僕らが来た時には既に壊滅していた。

もっと早く来ていれば助けれたのかもしれないが、未来を読むことなんて僕らには出来ない。


「本当にありがとうございました……もうダメかと思っていましたから……。」

一番前で僕らに礼をする女性は、多分僕とほとんど年齢は変わらなそうだ。


「あの、お名前を聞いても宜しいでしょうか?」

「名前……ああ、僕はガイン。そっちの目付きの悪い人はガウェインさんです。」

「聞いたことがないお名前です。貴方達は我々の救世主。本当にありがとうございました。」


多分この村には30人以上居たはずだ。

それが今では10人ちょっと。

これからが大変だろう。


「……この村の事は報告する。後から支援物資が届くはずだ。」

「!ありがとうございます!」

そんな話は知らなかった。

なるほど、被害にあった人達に国から支援が出るのか。


「……報告するにあたってこの村の代表の名前を伝えなければならない。代表は誰だ。」

ガウェインさんがそう言うと村の人達はざわついた。

なんだろう、代表がもしかして死んだとか?


「村長は既に死にました。私がその娘です。」

「……じゃあお前がこの村の代表だな。名前は?」

「キリカと申します。」

「……分かった。支援が来るまでは苦しい生活だろうがなんとか耐えろよ。」

キリカと名乗った女性は何度も頭を下げていた。

若いのに村長になってしまったのか。

大変だろうな。



一つだけ気になったのは、キリカさんの潜在的魔力が高いってことだ。

この人、もしかしたら訓練さえすれば魔導師になれるかもしれないな。

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