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虹色魔導師は目立ちたくない  作者: プリン伯爵


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戦争が始まっても目立ちたくない②

ハルマスク王国との戦争にいきなり参加、という事はなく宣戦布告から3日経ったが別にこれといって変わりのない日常を送っている。


ただ1つだけ変わった事がある。

生徒会長でもあるキャロル・ドレッドムーン辺境伯がいなくなった事だ。

といっても行方不明とかそういう訳では無い。

ただ辺境伯の当主であり、帝国西部に領地があるらしくハルマスク王国が攻めて来るとなれば、自身の領地を守らなければならず一時的に休学したらしい。

やっぱり当主ともなれば、大変そうだ。



「ん?どうしたの?マリス。」

ミアに話し掛けられつい黙り込んで考え事をしていたと正直に話した。

今僕はジンとミアと一緒に昼飯を食べている所だ。

いきなり僕が黙り込んだせいで何かあったのかと思ったらしい。


「いや、キャロルさんの事考えててさ。」

「ああ、生徒会長か。あの人は大変だよな。俺らと大して歳も変わらねぇのに領民を守る為に自領に戻ったんだろ?」

僕ら貴族には義務がある。

領民を守る事。

ただそれだけだ。

日頃から税を巻き上げ贅沢をさせてもらっている代わりに守る義務が発生する。

それが貴族というものだ。

キャロルさんはまさにその義務を果たさんと奮闘している。

見習いたいものだな。


「生徒会長って確か学園魔導位2位だろ?」

ジンがまた良く分からない事を言ってる。

なんだ学園魔導位って。

ミアの顔を見ても、別に普通の表情だ。

どうやら僕だけが知らない単語らしい。


「何だよその学園魔導位って。」

「知らねぇのか?ほら、まだ先だが魔導大会で魔法対戦ってあるだろ?あれって学園魔導位の上位陣ばっかりらしいぜ。学園って5年だろ?結構な人数が参加するんだ。その中の2位だぜ?流石は辺境伯当主様ってやつだ。」

うわ、急に興味が薄れてきた。

でも僕って魔法探求会のクラブ長だから出ないといけないみたいだし、ツイてないな。


「その学園魔導位とやらで上位の人は何か特典でもあんの?」

「俺も詳しく知らねぇが宮廷魔導師になれるのはほぼ確実らしいぜ。今の十二神だってほとんどが学園魔導位で上位だった人達らしいしな。」

目立つなぁ。

限りなく目立つ。

目立つための大会といっても過言ではない。

それだけ注目されているなら観客の数も凄い事になりそうだ。


「各国から王族も見に来るくらいらしいぜ?本戦に出場したら色んな国からスカウトされるだろうな。」

「勘弁してほしいな。ただでさえ僕はボロを出しやすいのにそんな本戦なんかに出ようものなら世界中にバレるじゃないか。」

「ま、まあそこは上手くやるしかないよマリス。ボクらじゃ流石にそこまではフォローできないし。」

それなんだよ。

誰かと一緒に出場とかならまだなんとかなるかもしれないが、僕一人だけだと必ずバレる。

上手く隠してるつもりでもジンやミアが言うには隠れてないそうだし。


「ちなみにボクらももうランキングに入れられてるよ。」

「え?どういうこと?」

「魔力量、使える魔法の種類と属性、入学時の試験結果を全部加味してランク付けされてるの。一級クラスは言わずとも全員が学園魔導位100位以内だけどね。」

学園の総生徒数は良く知らないけど、一学年100人いたとしても全部で500人だ。

その中の100位以内となると十分目立ってるな。


「月に一度魔力測定とかちょっとしたテストもあるがそれもランキングに反映されてるらしいぜ。」

「それってどこで見たらわかる?」

「ん?教員室の前のでっかい壁があるんだけどそこに行けば見られるよ。」

そんなの初耳だ。

いや、入学の時にしっかり説明を聞いていれば知ってたのかもしれないがあんなパンフレットなんか目を通すわけないだろ。

もっと周知しておいてもらわないと困るな。


「見ておけば自分の強さが今どのくらいかって分かるよ。ちょうどこの後行こうと思っててさ、一緒に見に行かない?」

ミアの言う通り一度は見ておいた方がいいかもしれない。

今の自分の位置を知っておきたいし。

もし上の方にいるなら今後テストとか魔力測定で手を抜いてランクを下げないと。

目立つ行為は出来るだけ避けるべきだ。



昼飯も終わり3人で教員室へ向かって歩いていると、見覚えのある顔が前から歩いて来た。

あんまり関わりたくなかったが無視するわけにもいかず、挨拶を交わす。


「どうも。リスティアさん。」

「あら?マリスさん。こんな所で一体何を?」

「教員室の壁に学園魔導位ってのが貼ってあるって聞いたんでそれを見に行こうかなと。」

「ああ!いいですわね。私もご一緒してよろしいですか?」

いや、無理です。とは言えるはずもなく了承し4人で向かう事になった。


「そちらのお二人はマリスさんのご学友ですか?」

「そうですね。二級クラスですけど僕の友達です。」

急に紹介されたからか動揺しながら挨拶をする2人。


「じ、ジン・カッツバルクです!」

「ミア・テ、テンセントですっ。」

「これはご丁寧に。私はリスティア・アルバートですわ。マリスさんとは同じクラスですの。私、こう見えて友達が少ないのですわ。お二人も仲良くしてくださいね?」

「「ぜ、是非!!」」

メンドクサイなと思ってるだろうな。

まあ僕は同じクラスだから慣れたけど普通はジンとミアのような反応が正しい。

そもそも公爵家の人と会話する事すらほとんどないのだから。

しかしそこは諦めてもらおう。

僕と友達ならば君達も同じ苦労を味わうんだ。


「ふふふ、マリスさんのお友達と仲良くできそうですわ。」

そう言ってにっこり微笑むリスティアさんの表情は天使の微笑みだとも言われている。

でも僕からしてみれば何を考えているか読めない不気味な人だ。


そんなぎこちない4人で喋っていると気づいたら教員室は目の前だった。


「私も今月に入ってからはまだ見てませんので楽しみですわ。」

リスティアさんは壁に貼られた大量の名前に指を添わせ自分の名前を探している。

僕らも習って探していると最初に見つけたのはリスティアさんだった。



「ありましたわ!えっと、私は……学園魔導位8位ですわね。う~ん、もう少しで5位以内だったんですが……。」

500人以上いる学園で8位?

数いる先輩たちを差し置いて?

化け物だなこの人。

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