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虹色魔導師は目立ちたくない  作者: プリン伯爵


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帝国の危機でも目立ちたくない⑧

人気のない裏通りで2人の魔導師が向き合う。

片方は十悪の1人リズリア。

もう片方は十二神の1人アスカ・シラヌイ。

魔導師同士の戦いというものは案外すぐに決着がつくことが多い。

いずれかの魔法が当たってさえしまえば、反撃する間もなく次の攻撃を喰らうことになるからだ。


先に動いたのはアスカの方であった。

「術式、水龍牙!」

魔法陣から生みでた水の龍は大口を開けてリズリアに襲い掛かる。


リズリアも龍の牙を突き立てられないよう岩の壁を創り出した。

隔てる岩の壁(ロックウォール)!!」

2人を隔てる岩の壁にぶち当たる水龍だったが、壁を壊しきれず霧散する。


リズリアも防戦一方ではなかった。

得意の火属性魔法を使い応戦する。

火炎放射(ファイアブラスト)!」

両手から放たれる炎は一直線にアスカへと迫った。

しかしながらアスカは水属性を得意とする為、リズリアにしてみれば不利な相手だ。

高温の炎はアスカに触れると途端に消える。

戦闘時は常に水の鎧を纏っている彼女にとって火は何の意味も成さなかった。


次第にリズリアの息があがってくる。

マリスに受けた魔法の傷は完全に癒えておらず、さらには帝都を火の海に変えようとした強力な魔法と学園の結界を破壊した四色複合魔法のせいで魔力は枯渇気味。

そこに加えて十二神との戦闘。

まともに戦える魔力など殆ど残っていなかった。


「ハァハァハァ……クソっ!なんでこんな時に十二神が現れるんだよ!」

魔法は使えて後数回、その程度で逃がしてくれるほど目の前の少女は甘くない。

苛立ちは募っていく。


「お姉さん、マリスを狙うのは流石に無理があるよ〜。十悪が彼の事を知ってた事は驚いたけど、ワタシ達十二神が知らないとでも思ったの?」

「……まさかあそこまで規格外だなんて思わなかったのよ……ねぇ、また日を改めないかしら?今は全力で戦えないのよ。」

最初からノーデンス、ロビクスと協力すれば良かったと今更ながら後悔する。

彼らもいれば、ここまで追い詰められる事はなかったはず。

最後の望みに賭けて、ここから逃がしてもらうように懇願する。


「え〜それは無理かなぁ。だってマリスの事また狙うじゃん?」

「もう手は出さないわよ……。」

「んー敵の言葉を信用してあげるほど、ワタシは甘くないよー。」

無理であった。

十二神が逃がしてくれるはずがなかった。

後ろを見れば、大きな道に出る。

魔力を全て使い目眩まし、からの逃走しか、もはやこの場を切り抜ける方法はない。


しかしながら、リズリアの不運は続く。

大きな道から声が掛かったのだ。


「む?アスカか?何をしているのだ。」

リズリアには聞き覚えがあった。

まさかと思い振り向くと、確信に変わってしまった。

豪華な装飾が目立つ剣を腰に差し、金と白を基調とした鎧を着けている。

胸には、虹色花弁のブローチ。

もう疑いようがなかった。


「あっ、帰ってきたんだ!レオニス!」

対峙していた少女の発言が決定的であった。

今リズリアの後ろにいるのは、帝国騎士団長レオニス・ワーグナー。十二神序列2位の男であった。


「うむ、何やら帝都で問題が起きたと聞いてな!部下を置いて私だけ先行して帰ってきたのだ!」

腰に手を当て豪快に笑うその様は不快でしかない。

もう何があろうとリズリアがこの場を切り抜ける術は失われた瞬間であった。


十悪の隠れ家で聞いていた話では、帝国騎士団が帰って来るのは早くても明日。

目の前に騎士団長がいることがイレギュラーだった。

そもそも騎士団長の能力を見誤っていたのだ。

彼は先程部下を置いて1人で帰って来たと言っていた。

本隊は未だ帰って来れていない。

彼だけが単独で駆けたようだった。


「いやーそれがさ、このお姉さん十悪なんだよ。で、現在戦闘中ってわけ!」

「何!?ならば私も手を貸そう!!!」

「もう過剰戦力じゃん……で、どうすんのお姉さん。まだ戦る?」

どう足掻いてもここから勝てるとは思えないリズリアは結界を解除し両手を上げた。


「やらないわよ、騎士団長相手に勝てるなんて自惚れていないわ……。」

「では私が牢に連れて行こう。アスカお前はどうするのだ。」

「ワタシ今身分を隠して学園に通ってるんだよね。だからそろそろ戻らないと。」

「何!?それはまさかグランバード学園か!!」

「そ、そうだけど……なに?」

「我が弟も通っているのでな。よろしく言っておいてくれ!!」

「言う訳ないじゃん!それワタシから伝えたら十二神だって事隠してる意味ないし!!」

もうリズリアはしょうもない2人のやり取りを聞く気にもなれなかった。



――謁見の間――

「皇帝陛下、ただいま騎士団長が帝都入りしたとの情報が。」

「早いな、レオニスだけか?」

「はい、他の騎士は置いて来た可能性が高いかと。」

相変わらずの身体能力の高さにガイウスは呆れた。

早くても明日だと聞いていたのに1日繰り上げて帰って来れるのはもう化け物でしかない。

それと同時に置いて行かれた副団長に同情した。


「他に報告は?」

「もう一件。此度のテロ首謀者をレオニス団長が捕らえたそうです。」

「帰ってくるのも早ければ仕事も早いな。それで?一体誰だったのだ。」

「十悪の一人、緋色の爆撃だそうです。」

想像していたより大物だったからかガイウスは頭を抱えた。

それを帰ってきて早々捕らえるレオニスに頭が上がらないなと別の意味でも頭を抱える事となった。


「被害状況はどうなった。」

「幸いにも死者は出ていません。ただグランバード学園の結界が破られたと聞いております。」

「緋色の爆撃が相手なら仕方あるまい。後で結界の修復に人を回せ。」

「ハッ。それともう一つ。」

「なんだまだあるのか。」

ガイウスの頭を悩ませる種がいくつも出てくることに辟易していた。

無視するわけにもいかず耳を傾ける。


「国境守護の任務に就いているクレイ殿から手紙です。」

報告の男から一枚の手紙を受けとる。

たまにクレイからこうして連絡を寄こしてくるのだ。

まめな男だと思いつつ封を開けると、またもガイウスは頭を抱えた。

その様子を見ていた報告の男は困惑している。

明らかにいい話ではないと皇帝陛下の動きから理解できたからだ。


恐る恐る男が質問をする。

「あの陛下……手紙にはなんと……?」


少し間を開けガイウスは口を開いた。

「ハルマスク王国が本格的に動き出したそうだ。」

その言葉が意味するところは、隣国との戦争であった。

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