パーティーでも目立ちたくない①
マリエッタさんに興味を持たれた僕は、なぜか知らないが貴族が一堂に会するパーティに誘われてしまった。
いや、僕としては断るつもりだったんだがなぜかミアが乗り気になったせいで魔法探求会全員が参加することになったのだ。
多分ミアとしては、男爵位の生まれでありそんな派手なパーティに出たくとも出れないジレンマがあり、誘われたのはチャンスだと捉えたのだろう。
マリエッタさんも全員で参加してほしいと言うし、断る隙などなかった。
ただ問題になるのは服装だ。
男爵家で生まれてるのだからそれなりの正装は持っている。
しかし、マリエッタさんがいうところのパーティは確実に伯爵や子爵といった僕の家より位の高い貴族が集まるパーティだろう。
そんな所に参加するにはそれなりに高級な服がいる。
別に何か問題があるわけではないが、貧相な服でいけば確実に目立つ。
だから出来るだけ周りに合わせた服装をしておきたい。
でもそんな服を買うお金など何処にもない。
それを理由に断ろうとも思ったが、僕やジン、ミアの服はマリエッタさんが用意してくれる事となった。
他の皆はそれなりの家柄で服なんていくらでも持っているだろうが、僕らは男爵家生まれだということを考慮し、マリエッタさんのご好意で用意してくれるらしい。
パーティ当日はクルーエル家の前に集合と言われたが、迎えもよこすとのことで至れり尽くせりだ。
いつもの3人で待っていると目の前に馬車が止まる。
家紋を見るとクルーエル家のものだ。
馬車から降りてきたのはメイドさんだった。
確かこの人は前回お呼ばれした際、紅茶を入れてくれてた人だった気がする。
「マリス様、ジン様、ミア様、お迎えに上がりました。どうぞ、中へ。」
淡々と喋るなこの人。
人かも疑わしいくらいに淡々と喋る。
(この男の子がマリス・レオンハート。話に聞けば恐ろしい力を持っているから手を出すなと言われているけど……そんな風に見えませんね。とにかく全ての行動をあの方に報告しなければ。)
メイドは声に出さず、じっくりとマリスを観察する。
馬車に乗り込んで数十分。
もうクルーエル家の門が見えてきた。
馬も特別な馬なのだろうか?
結構早いし揺れも少ないから僕の家で使ってる馬車より良いものなんだろうな。
ただ、何故かは知らないけど馬車に乗ってる間ずっとメイドさんが僕を見てた気がする。
顔に何かついてるのかと思ったけど、そんな事もなかった。
まあ気にするほどの事でもないか。
馬車を降りると、メイドさんに連れられて本邸へと向かう。
マリエッタさんが用意してくれた服に着替えろとのことらしい。
だから僕ら3人は皆の集合時間より少し早めに来ることになった。
「では、こちらの服からお好きに選んで頂き後ろの更衣室でお着替え下さい。」
そう言ってメイドさんは部屋から出て行ったが、今僕らの前に数十着の高そうな服がラックに吊るされている。
「おい、まじかよ。全部シルクで編まれてるんじゃねぇか?しかもここで選んだ服は持って帰っていいらしいな。流石は公爵家!太っ腹ってもんだぜ!」
ジンは大喜びで服を選び始めた。
ミアは既に吟味しながら服を手に取っていた。
僕も遅れるわけにいかないと、服に手をかける。
色も種類も豊富にあって選ぶのが難しいな。
無難そうな黒色の正装を手に取ると更衣室で着替えた。
鏡で全身を見てみたがなかなか様になっていてカッコイイ。
これ買ったらいくらになるんだろうか。
恐ろしくて金額は聞けないが、くれるというなら素直に喜んで受け取ろう。
「あ、マリス似合ってんじゃん!」
「そういうミアこそ、髪色に合ってて似合うドレスを選んだね。」
更衣室から出るとミアが感想を述べてくれた。
ミアの服装は赤いシンプルなドレスだ。
赤い髪のミアにはとても良く似合っている。
ジンも着替え終わり更衣室から出てきた。
金髪で粗暴な言動が目立つ彼だが、黒と白の装飾を誂えた服装を着ているとただのイケメンでしかない。
「ジンもなかなかいいね。カッコイイじゃないか。」
「ヘヘッそうだろ!この服めっちゃ気に入った!俺に似合いすぎてこえーくらいだな!これなら女の子もガンガン寄ってくるかもしんねぇ!」
喋らなければただのイケメンでしかないのに。
口を開くとアホっぽく見える。
「ジン、喋らない方がモテると思うよ。なんか喋るとあーなんか馬鹿そうって思われちゃう。」
ミアもそう思ったのか口に出す。
しかしジンも黙って聞いている訳もなく反論する。
「なんだと!そんなことねぇだろ!これでも座学では上位に食い込んでいるんだぜ!?」
意外と勤勉なジンは座学だけで言うと僕やミアより賢い。
人は見た目で判断するべきではないと教えられているようでなんかムカついた。
しばらく3人で雑談していると、扉をノックする音が聞こえた。
メイドさんがやって来たらしい。
「着替えは終わったようですね。では門の前へと向かいましょう。そろそろ他の方々も集まる頃です。」
門の前へと行くと既にフェイルが着いていた。
ロゼッタと喋っているようでまだ僕らに気付いていない。
遠くから声を掛けると気付いたのかフェイルが手を挙げる。
同じように僕も手を挙げ振り返した。
「おお!マリス!それにジンとミア!なかなかいい格好になったじゃないか!!」
「そういうフェイルこそ高そうな服を着てるな。」
金と白の線が服の所々に入ったトレンチコートのような服を着ている。
胸ポケット辺りに付いている金のブローチみたいなやつも当然本物の金だろう。
「まあ流石に俺は公爵家の人間だからな。相応の格好をしなければパーティで恥をかく。」
だそうだ。
貴族のパーティなどほとんど行った経験がないから分からないがそういうものらしい。
「孫にも衣装ってやつよ。」
フェイルの服装を見てロゼッタが悪態をつく。
彼女の服装は赤と白の混じったドレスだ。
もちろんシーラも似たようなドレスを着込んでいる。
「みんななかなかお洒落な格好だね。」
そう言いながら現れたのはルーザーとエリザさんだった。
皇族専用馬車から降りてきた2人はあまりに神々しくオーラを纏っているようにも見えた。
その後レイさんも到着し、全員が揃った。
みな口々に服の感想を言い合う。
貴族というのはみんなそうなのだろうか?
まず最初に見た目の感想から言い合うのは面倒で仕方がない。
正直着れたら服なんてなんでもいいだろ、と思った。
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