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虹色魔導師は目立ちたくない  作者: プリン伯爵


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クラブ活動でも目立ちたくない④

「な、何を言っているんだマリス?冗談にしてはあまり上手くないな……。」

フェイルは半信半疑といった様子で僕の反応を伺っている。

しかし周りを見ればなんとも言えない表情をしたレイや殿下達がおり本当の事なのかと信憑性が高まる。


「なるほど、マリスさん貴方の秘密というのはこの事だったのですね。あの時の私の勘は当たっていました。」

シーラはキャンプの時秘密がどーのこーのって話をした記憶がある。

既にその時から若干怪しんではいたのだろう。


「というわけで今後はよろしく。」

軽くそう言って次の話題に入ろうとすると、ロゼッタが割り入ってきた。


「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!虹色魔導師ってどういうことなの!?世界が驚愕するような話よ!こんな軽く済ませていいわけないでしょ!」

「まあまあ、そんなこともあるんじゃない?」

「あってたまるか!!!」

ロゼッタは相変わらずプリプリしているが、まあいつものことなので放っておく。


「じゃあ虹色の魔力を見せるよ、ほら。」

仕方なく僕は身体から七色の魔力を放出し本当の事だと証明する。

するとクルーエル姉妹とフェイルはもはや言葉も出ないといった表情だ。


「もういいね。で、これからなんだけど、」

「ちょちょちょ、それだけ!?アンタ虹色魔導師の自覚あんの!?」

やはり突っかかってくるのはロゼッタだった。

見せたら見せたで面倒くさいな。

そんな初めて見たみたいな反応しちゃって。


「初めてだからでしょうが!!!」

「まあとにかくこれが現実なんだ、受け入れてくれ。それでこれが世間にバレるとどうなるか……」

少し間を置き続きを話す。


「僕の平穏は(おびや)かされる。」

「それだけな訳ないでしょ……アンタ命狙われてもおかしくないのよ。」

知ってるよ。

だからこうして秘密を打ち明けたんだ。

守ってもらう為に。


「責任重大じゃないの……」

「そう、ここにいるみんなは今秘密の共有者になったわけだ。頑張って僕を守ってくれ。」

「ふっ、そんな事なら早く言いたまえ。俺がワーグナー家の出身だと忘れたか?守る事こそが魔導騎士の定め!!!!我が剣に誓ってマリスに傷一つ付けさせん!!!」

フェイルは思いのほか乗り気のようだ。

これなら万が一十悪とかいう悪そうな集団に目を付けられてもなんとかなりそうだ。

まだ一年生とはいえここにいるのは優秀な者ばかり。

ジリアン先生に至っては十二神の一人だ。

ロゼッタは面倒くさい事に巻き込まれたと嘆いているが、残念、僕と関わったことが運の尽きだ。


「じゃあグランバード伯爵に師事してたのは嘘って事ね?」

当然の質問だ。

今まで伯爵に師事してたからオリジナル魔法も使えたということになっている。


「あれは嘘だ。というかグランバード伯爵も知ってるよ。入学前に話はしておいたからね。」

「私なんて死の契約結ばされたのだけど……。」

そうだった、忘れてた。

レイさんには秘密を誰にも明かさない約束で死の契約を結んでいたな。

流石にここにいる全員にそれをするのは気が引けるし、レイさんのやつも解除できないものだろうか。


「解除できるわ。マリスが解除してくれたらね。」

「どうやってやるんですか?」

解除できるらしい、でもやり方がわからない。

そもそもここで全員に教える事になるなんて入学時は思ってなかったんだ。

解除のやり方なんて知るわけがない。


「契約解除の魔法は二年生になったら教えてもらえるはずよ。まあ私がお爺様に頼めば教えてくれると思うけど。」

「じゃあ教えてもらいましょう。流石にレイさんだけ契約が残ってて下手に口にできないのはかわいそうですし。」

しかしレイさんは首を振る。

もしも口を滑らしたら死んでしまう契約なんてない方がいいと思うけど。


「マリス、貴方はあまりにも危ういわ。ここにいるみんなだってまだ知り合って数か月なのよ?それなのに簡単に教えてしまうなんてどうかしてるわ。まだ虹色魔導師だということがどれほど価値のある事か理解できていないようね。」

レイさんからの説教が始まった。

他のみんなは目線を外し、雑談し始める。

レイさんはクールな女性だ。

怒っていると誰が見ても怖いくらいに目付きが鋭くなる。

みんなとばっちりを食らいたくないのだろう。


「簡単に言うわ。もしも貴方が虹色魔導師だという事が外部に漏れれば、確実と言っていいほど十悪が出てくる。貴方を殺すか引き入れる為に。平穏が脅かされるとか言っているけどそんな簡単な話ではないのよ。」

「でも十悪にはバレてないからまあ大丈夫かなと……。」

「今は……ね。こんな調子ですぐ秘密を打ち明けるようであれば時間の問題よ。言っておくけど十悪が出張ってくるのならここにいる全員でも貴方を守り切れない。自分で身を守るしかなくなるわ。その覚悟があるのかしら?」

レイさん、今まで以上に怒っているな。

しかしこれは優しさからくる怒りだ。

僕があまりにもだらしないせいで、呆れて怒っているだけ。

やはり一番信用できるのはレイさんだ。


「虹色魔導師だという事が外部に漏れれば貴方は静かに平和な暮らしが出来なくなるから目立ちたくないとよく口にしている。でもそれだけで済む話ではないということを覚えておきなさい。十悪は手段を問わない。もしも知られれば確実に殺しに来るでしょう。その時に貴方がどれほど抵抗できるのかは分からないけど、実戦経験の乏しいマリスでは能力で勝っていても殺し合いには負けるわ。」


空気が重くなった。

みんなそりゃそうだろうなといった顔をしている。

考えが甘かった僕に対して怒るレイさんはもはや保護者みたいだ。


「ここにいる全員と死の契約を結びなさい。それが出来ないと言うのならこのクラブから脱退してもらったほうがいいわ。貴方の秘密を守る事、それは何を置いても優先しなければならない事なのだから。」

「で、でもルーザーやエリザさんもいるけど……。」

「皇族であろうと関係ない。虹色魔導師が現れた時、皇族は指揮下に置くことが出来ないの。これは初代皇帝が決めた法よ。もしも自分以外の虹色魔導師が現れた時、国の道具にされないようにって作ったらしいわ。あまり知られてない法律だけどね。」

知らなかった。

じゃあ皇帝にバレるかもってそんなビクつく必要もなかったって事かな。


「ただこんな言葉もあるわ。凶悪な犯罪者が過去に残した言葉だけど、法は破る為に存在する、ってね。」

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