クラブ活動でも目立ちたくない③
オルバ先生に呼び出され授業終わり生徒指導室に連れて行かれたアスカとマリスは1時間にも及ぶ説教を受ける事となった。
「はぁ、今度バカな真似をしたら毎日放課後居残りで掃除でもさせるからな。マリスは行っていいぞ。シラヌイお前は残れ。」
僕だけ説教は終わりらしい。
まあ当然だろう。
そもそも発端はアスカだし。
「えー!ちょっとー!ワタシはまだ説教続くのー!?」
「てめぇが最初にあんな魔法使うからだろうが!!」
指導室を出る時に聞こえたやり取りだが、オルバ先生も大変だろうな。
あんな編入生だと苦労は絶えなさそうだ。
マリスが部屋を出ていくとオルバは真剣な顔つきに戻る。
アスカもふざけた態度を改め席に座りなおす。
「んで、何の真似だあれは?マリスに近付けって任務なのは知ってるがあれはやり過ぎだろ。」
「最初にマリス君の実力知っておきたくてさ。やっぱり自分の目で見ないと噂なんて信用できないし。」
アスカの言うことももっともだった。
虹色魔導師だと聞いただけだと普通は疑いから入る。
アスカもそのタイプのようだ。
「それにしてもやり過ぎだ。水龍蛇突を使っただろ。あれお前の得意魔法じゃねぇか。」
「だからこそだよ、一応威力は8割程度に抑えたけどまさか押し込まれるとは思わなかった。」
アスカが最も得意とする魔法でマリスの実力を測ったらしい。
オルバもまさか相殺どころかそのままアスカを吹っ飛ばすとは思ってもなかったが。
「マリス君、虹色魔導師だってのは本当だったね。ワタシが威力を抑えていたこともバレてたみたいだし。」
「やぶ蛇を突くような真似はするな。もし奴が本気だったらいくらお前でもやばかったぞ。」
「確かにね〜、もしマリス君が全力で魔法撃ってきてたら吹っ飛ぶ程度じゃ済まなかったよ。」
オルバはマリスに感謝した。
もし自分だったらこんなフザケたやつが絡んできてたら全力で潰してたかもしれない。
マリスは案外大人な対応が出来るやつかも知れないと少し評価を改めた。
「というわけで今後はもっとうまく仲を深めていくよ。あの子は必ず宮廷魔導師にスカウトしないとね。」
「簡単にいけばいいがな。ついでにアイツの周りにも気を配っておけ。最近十悪の動きが活発になってきているって噂だからな。」
「もしかしたらもうマリス君の事バレてんじゃない?」
その可能性も高い事は確かだった。
虹色魔導師は必ず十悪にとって無視できる存在ではない。
味方に引き込むかもしくは殺すか。
この学園には今や3人の十二神がいる。
簡単にマリスに接触できるとは思えないが警戒するに越したことはない。
マリスが教室に戻るとすぐにロゼッタから声を掛けられた。
「遅かったわね。」
「オルバ先生の説教だよ。疲れた。」
呆れた顔をしたロゼッタはアスカのことも聞いてきた。
「あのアスカって子、知り合いなの?」
「そんな訳ないだろ。なんでそう思ったんだ。」
ロゼッタ曰く、マリスの事を事細かく聞いてきていたらしい。
どんな魔法を使うのか、魔力量は多いのか、得意魔法は何かなどなど。
まだ付き合いも短いロゼッタが分かる範囲で教えてあげたらしいが、異様なまでにマリスの事を聞いてきた事が不審に思ったらしい。
「気を付けたほうがいいかもね。ああいうのは何処かに属していてアンタの事を調べるよう言われたとか、有り得る話だわ。」
それだったら、あんな派手に目立つような事をするだろうか。
もっと慎重に動くものではないだろうか。
マリスも実際のところは何も分からず、首を傾げるしかなかった。
1日が終わると放課後に入る。
マリスが発足した新たなクラブ、魔法探求会。
顧問を見つけるのが苦労するかと思えたがジリアン先生に声を掛けるとすんなりと引き受けてくれた。
メンバーにルーザー達がいれば嫌でも引き受けざるを得なかっただろう。
なので今日が初めてのクラブ活動になる。
ジリアン先生が用意した部室は10人は軽く入れそうな広さがあった。
中に入るとまだ誰も来ていない。
各々教室で友達らと雑談でもしているのだろう。
元々会議室として使っていた部屋だそうで結構綺麗にされている。
事前に買っておいた観葉植物を飾るとサッパリとしたシンプルな部室の出来上がりだ。
しばらく待っていると続々と皆が集まってきた。
ジンとミアはまだ慣れていないのかロゼッタやルーザー達と恐る恐る挨拶を交わしている。
全員が集まったところで僕が最初に挨拶をする。
「どうも、魔法探求会の部長マリス・レオンハートです。まあみんな普通に話す仲だし知ってると思うけど。」
挨拶が終わると当然の如く質問が飛んでくる。
「それはいいけど、このクラブは何をするところなのよ。アタシ達はまだ何にも聞いてないんだけど。」
そうだった、まだみんなにクラブ活動の指針を話していなかった。
一言詫びを入れクラブ活動の概要を説明する。
「このクラブは名前の通り魔法を探求していこうと思う。表向きはね。」
「表向きってなんだ?」
今度はジンから当然の疑問が飛んできた。
「表向きって言ったのは理由がある。あ、その前に遮音結界を張っておく。外から聞かれないようにね。」
外から聞かれて不味いことがあるのかと全員首を傾げる。
レイさんだけはなんとなく勘付いているようだ。
「このクラブの目的はある秘密を共有しそれを誰にもバレないよう守ってもらう事だ。」
そこまで言うとルーザーも気付いたようで、不安そうな顔を見せる。
ジンとミア、エリザさんも勘付き緊張が走る。
今この場にいる者で僕の秘密を知らないのはクルーエル姉妹とフェイルだけだ。
実はこのクラブ活動の真の目的、それはどうせならここにいる面子に秘密を明かし守ってもらおう作戦だ。
爵位も高いし個々の能力も高い。
守ってもらうには十分と言えるだろう。
「ちょっと……ホントにいいの?あんまり広まると不味いわよ。」
ジリアン先生の意見は最もだ。
しかしここにいる面子なら信用できる。
今後フォローしてもらうタイミングは数多く訪れるだろう。
その時に知ってる人が少ないのはデメリットしかない。
だからこそここで知ってもらう。
「みんな良く聞いて欲しい。といってもロゼッタ、シーラ、フェイル以外は知ってるけど。」
名前を呼ばれた3人は他のみんなの表情を見て、緊張した面持ちになっている。
意を決して僕は予め決めていた言葉を放つ。
「僕は今代の虹色魔導師だ。なんとか他の人達にバレないようフォローしてほしい。」
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