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虹色魔導師は目立ちたくない  作者: プリン伯爵


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第一章 エピローグ

帝国内の何処かにある地下施設で黒ずくめの格好をした者達が集まっていた。


「今代の虹色魔導師が現れた。」

そう口にしたのは黒いローブに赤い髪の男だった。

頬に傷があり、その目つきは歴戦の魔導師を思わせる。


「リーダー、それは何か根拠があるのか?」

当然の如く傷の男の言葉に疑問を持つ者がいた。

しかしその反応は予想してたかのように返答する。


「これを見ろ。ハスターが持って帰って来た、映像を記録する水晶だ。」

傷の男が魔力を流すと、水晶の中に映像が現れた。

2人の男が映っている。

正面で向き合い戦うようだ。


「このガキは?」

「良く見ておけ。」

それはマリスとガイの決闘時の映像であった。

決着は一瞬。

圧倒的に見える戦いはマリスの勝利で終わった。


映像を見せられた者達はこれが何を意味するのか分からなかった。

「仕方ありませんね、良く見て下さい。」

いきなり姿を見せたハスターが水晶に近づき何やら手をかざす。

すると、ある場面で映像は止まった。


「ここです、ここ。彼の手元を良く見て下さい。魔力を練った際の映像です。」

「ッッッ!!」

全員気付いたのかバッと顔を上げる。


「こいつが今代の虹色魔導師か……。」

ほんの一瞬でしかないが映像を止めて見れば手元に複数色の魔力が見える。

肉眼では見ることができないほど一瞬である為マリスは対策していなかったが、魔力を練り始めた瞬間だけは自分の持つ魔力全ての色が露わになる。

ハスターの持つ水晶でその瞬間を切り取れたからこそ分かった。



「どうする、リーダー。こいつを十悪に引き込むか?」

口を開いたのは、青い髪の男だ。

「そうだな。戦力増強という意味でも、敵に回さないという意味でも引き込めるなら欲しい人材だ。」

「じゃあ私がやろうか?」


眼帯を付けた女がマリスを十悪に引き込む為名乗り出る。

しかしハスターはそんな女に待ったをかけた。


「派手に動くのは辞めたほうがいいですよ。何しろ彼の周りには皇族どころか十二神もいますからね。」

「ハスターの言うとおりだ。その虹色魔導師の周りには常に1人十二神が付いている。」

「分かってるって。帝都で騒ぎを起こしてその隙にその男の子に接触するからさ。」


手をひらひらさせ、面倒くさそうに返事をする。

唯一マリスを自身の目で見た事があるハスターが口を開いた。


「リズ、貴方のその楽観的な考え方、私は嫌いじゃないですよ。ですが今回はその考えを改めた方がいいでしょう、何しろ彼は神獣を一撃で倒す化け物ですよ。十二神とは訳が違うんです。」

ハスターはマリスを正確に脅威と判断していた。

それと同時にリズには引き込めないだろうとも考えている。

リズのやり方は大体分かる。

大方女の武器を使って籠絡しようなどと考えているのだろう。


「まあ見てなさいって。帝都を火の海に変えてあげるから!」

趣旨が変わっているがもう何を言っても意味がなさそうなのでハスターは口を閉ざした。



リーダーと呼ばれていた、頬に傷がある男は未だに水晶に映ったマリスを眺めていた。

何か思うところがあるのかとハスターが問うと首を振る。


「十悪序列6位、緋色の爆撃リズリア。虹色魔導師を引き入れろ。出来ないようなら殺せ。」

「いいのぉ?殺しちゃっても。」

「殺せるのならな。出来れば欲しい人材だが敵に回るのであれば子供のうちに殺しておきたい。」

リズは舌舐めずりをし、いやらしい眼つきをする。

殺せるわけがない、と思ったハスターだがリーダーの言葉に意見するわけにいかず黙ったままだ。



「既に2人帝都入りしている仲間がいる。そいつらと対立するような真似はするなよリズ。」

「リーダー、私の事信用しなさすぎ!」

喋り方がバカっぽいせいだろ、とその場にいる誰もが思ったが、ここで突っ込めばまたリズから面倒くさい絡み方をされると思い全員心の中だけで突っ込む。


「え、てか帝都入りって誰なの?」

「灰色の城ノーデンスと白色聖槍ロビクスだ。」

「うわっ、あの2人かー。真面目ちゃんとはソリが合わないんだよねぇ。」


派手に事を起こすなと言われているがリズは派手にやるつもりだ。

十悪とはそもそもが世界の支配を目論む者達の集まりであり、マトモな者などほとんどいない。


少しずつ帝国に闇が迫りつつあった。




皇帝陛下の私室では、また夜な夜な2人の男が言葉を交わしていた。

アインと皇帝である。


「どうだった?そのマリスの様子は。」

「虹色魔導師であることは恐らく疑いようがありません。」

「ふむ、その根拠は?」

アインは決闘時の様子を語る。

三色魔導師であったガイを圧倒し、誰もが目を疑う程の速攻。

相応の魔力量がなければ不可能である戦い方は虹色魔導師であることを結論付けた。


「接触は図ったか?」

「いえ、下手に手を出せば返り討ちに合うかと。」

皇帝陛下は顎に手をやり少し考え込む。

帝国の戦力増強という面ではなんとしてもマリスは引き入れたい存在だ。

しかしマリスの不興を買えば他国に移ってしまう可能性もあり慎重な行動が求められる。

考えが纏まったのか、顔を上げアインを見つめる。


「十二神に彼と同じ歳の子がいたはずだ。その子を使う。」

「彼女ですか?……彼女は少し変わり者と言いますか、拙者はうまいくとは思えませんが……。」

「しかし歳が近いほうがマリスに近寄りやすい。シラヌイを学園に放り込め、ただし失敗は許されぬとも伝えておけ。」

アインは頷きまた霧のように消えていった。



アインは皇城の、ある部屋の前にいた。

シラヌイの部屋の前だ。

意を決しドアをノックするとすぐに返事は返ってきた。


「はーい、開いてるよー。入ってー。」

気の抜けた甘ったるい声だ。

アインのような真面目な者からすればあまり好ましいとは思えない相手だった。


「シラヌイ、お前に勅命だ。」

「お?てことは十二神としての仕事ってことだね?いいね〜最近暇だったからやっとワタシにも仕事が回ってきたか〜。」

「内容も聞いていないのに既に乗り気だな。まあいい、今回の仕事先はグランバード学園だ。虹色魔導師に近付いてもらうぞ。」


シラヌイは虹色魔導師と聞くと目を見開いた。

それもそうだろう、皇帝陛下ですら驚いていたのだから。


シラヌイは少し間を置き口を開く。

「それマジ?」


「大マジだ。」

アインはその軽い口調にイラッとしたが同じように返した。

これで一章は終わりとなります。

マリスの周りは徐々に変化していますね!

まだまだ続きますので二章もよろしくお願いします!!


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― 新着の感想 ―
[良い点] いつも同じ時間に投稿しているところが偉い。 [気になる点] 決闘の場にいた縦ロール髪の女がリズリア?。 [一言] これから、十悪と皇帝等のスカウト合戦が楽しみ。なんなら、他国やいろんな組織…
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