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虹色魔導師は目立ちたくない  作者: プリン伯爵


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決闘の時も目立ちたくない⑥

歓声はなかった。

それもそのはず、まさか2秒で片が付くとは誰も想像していなかったからだ。


マリスの作戦としては、出来るだけ決闘を素早く終わらし観衆の目に晒される時間を短くしようといったものであった。

だからこそ選んだ魔法は疾走雷撃(ショットボルト)

雷属性初級魔法であり、黄色の魔力を持っている者なら使えない者などいない程にポピュラーな魔法だ。

必要な魔力も少なく魔法発動までの時間が短い事でも有名で、先手を取るには最高の魔法でもある。

ただし威力はいわずもがな、初級らしい威力だ。

相手を昏倒させるなんてよほど魔力を込めて威力を極限まで上げなければ不可能。

マリスの場合、魔力量が多く高密度であり少し魔力を練るだけで100の魔力を溜めてしまう。

普通の魔導師であれば、100の魔力を溜めるのに10秒かかるとしよう。

マリスのような高密度な魔力を持っていた場合、10の魔力を溜めようとするだけで100の魔力を溜めこんでしまう。

ということは普通の魔導師に比べて10分の1の速さで同じ量の魔力を溜められるという事になる。

だからこそ2秒で魔法を発動することが出来た。

尚且つ2秒あれば200の魔力を溜めたということでもあり、疾走雷撃(ショットボルト)の威力も上がってしまった。


正確に眉間を撃ち抜いたのはマリスの類い稀なる魔法の才能であった。


「ふぅ、想定通りだな。」

辺りの静寂など気にもしていないのか、マリスは呑気にそう呟く。


「あれ?歓声とかないのかな。あ、そうか。あまりに呆気なく終わったから怒ってるのかもしれないな。さっさと退場した方がよさそうだ。」

オルバの勝利宣言を聞いてサッサと退場しようとしたマリスを止めたのは、ルーザーだった。


「待ってくれマリス!」

「ん?」

「今のはなんだったんだい……いやそんな事より、ガイに何を命じるかここで言っていかないと!」

なるほど、決闘が終わればその場で相手の沙汰を言い渡す必要があるのか。

良く分かってなかったからこのまま帰る所だった。


「んーじゃあこれからちょっかいかけないでね。じゃ。」

「ちょおおおっと待った待った!!!」

焦ったようにルーザーは僕の腕を掴み、その場に引き留める。

早くここから逃げたいのに、このままここにいたら目立つじゃないか。


「それだけ!?ガイの生殺与奪権はマリスが持っているんだよ!?」

「生殺与奪権があるってだけだろ?じゃあ別に殺すも生かすも僕次第なんじゃないの?」

「そ、そうだけど……。」

「じゃあそういう事で。」

それだけ言うとマリスはサッサと訓練場から出て行ってしまった。


訓練場は未だ静寂が包んでいる。

オルバもどうしたらいいか分からずただ茫然と退場していくマリスの背中を見つめていた。


「おいおい、やっぱりやらかしやがったじゃねぇかマリスのやつ……。」

「なんとなくこうなる事は想像できてたけどね……。」

ジンとミアも呆れた顔で退場していくマリスの背中を見送る。


「さっきのなにかしら?分かった?シーラ。」

「お姉様、恐らくあれは疾走雷撃(ショットボルト)でしょう。速攻をするのであれば外すことの出来ない魔法です。ですが、あそこまでの速さは……異常ですわね。」

「む?ロゼッタにシーラ、こんなとこにいたのか。マリスが勝ったではないか!やはり俺の親友は強かった!!!」

VIP席のような場所に座っていたロゼッタ達に、嬉しそうな顔で近づいて行くフェイル。


「あんたはホント嬉しそうね。」

「当たり前だろう!!俺の親友が決闘に勝ったのだぞ!!それも圧倒的な勝利でな!」

「それよ、黄色の魔色を持ってるアンタならどうなのよ、あの速さで魔法撃てる?」

「無理だな、どれだけ早く魔力を練ったとしても最速で5秒くらいはかかる。」

「そうよね、アタシも雷属性は使えるけどあの速さは無理。やっぱりマリスって何か秘密があるんじゃないの?」


彼らは決して非凡ではない。

三色魔導師という優れた者達であるが、そんな者達からしても2秒で魔法発動というのは異常であった。

威力が低く痺れさせる程度であればまだ分からなくもないが、マリスに至っては昏倒させられる程の威力であった。

それ程の威力をたった2秒で尚且つ眉間を正確に狙える技術を持つ者はそういない。


マリスの目立ちたくない行動が余計に目立つ行為となってしまった。


「こ、これで決闘は終了する!」

オルバの声が訓練場に響き、観戦していた生徒達は各々立ち上がり自分の教室へと戻って行く。


生徒達は何が起きたか良くわからず、首を捻るか周りに居た他の生徒と今見たのは一体何なのだと、話し合いながら歩く。

一部の者は、涙を流し両手を空に掲げ叫んでいたが、恐らくマリスに賭けていた者達だろう。

殆どの者がガイに賭けたようだったが、博打好きはマリスに賭けていた。

怒り狂い、喚き散らす者もいる。

その者達はガイに賭けた者達だ。

たった2秒で賭けた財産を失ったのだからその反応は当たり前だろう。


「あのバカ……」

レイはもはや何も言うまいと席を立った。

ルーザーはといえば、マリスの秘密を知っている数少ない1人であり、力を隠している事がバレたのではないかとオロオロしていた。


「マリス……か。ジリアンの言ってたヤツの可能性が高いかもな……。」

オルバは虹色魔導師の存在を探している。

ジリアンから聞いた話だと、対象は数人に絞られておりその中にマリスはいた。


先の戦闘を見る限り、一番可能性が高いのがマリスだ。

伝説の虹色魔導師は全属性使え魔力も総じて高いだけでなく、魔法のセンスも優れていたと記録に残っている。

もはやオルバの中では、マリスだとほぼ確信を持っていた。

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