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虹色魔導師は目立ちたくない  作者: プリン伯爵


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決闘の時も目立ちたくない⑤

決闘当日。

昨日は楽しみに思えていたが、実際に訓練場に足を運ぶとお腹が痛くなってきた。

観覧席には人人人。

どこを見渡しても人が居る。

学園の生徒がほとんど集まっているのではなかろうかと言わんばかりの人が観に来ていた。

よく目を凝らすとお金のやり取りをしている人達がちらほら見える。

みんな賭けているようだ。


「大丈夫?マリス。」

そんな僕は隣にいるレイさんに背中をさすられていた。

もう帰りたくなってきた。

待てよ?契約魔法を掛けられていない今なら逃げられるのでは?

そんな僕の考えを見透かしたかのようにレイさんが口を開く。


「今更逃げるなんて出来ないわよ。もしここで逃げようものなら敵前逃亡扱いよ。敵前逃亡は知っているわね?この国では死刑になるわ。」

辞めとこ。

死刑という単語を聞いたせいか、逃げたい気持ちは一切なくなった。

ああ、あの時手袋なんて拾ってなければなぁ。


「私はちなみに貴方に賭けたわ。ふふ、稼がせてもらうわね。」

それだけ言うと観覧席の方に戻って行った。

レイさんは賭け事なんて一切しないと思っていたが、意外とそういうのが好きなのだろうか。


訓練場の真ん中には一級クラス担任のオルバ先生が立っている。

あ、僕のいる反対側の入り口からガイが出てきた。

てことはもうすぐ出番か。

重い足取りで訓練場の真ん中へと歩を進める。

観客の歓声もより一層大きくなった。



「ふん、逃げずに来たことは褒めてやる。」

「どうも。」

ガイが腕を組み下賤な者と言わんばかりの目線を送ってくる。

今すぐにでも攻撃してきそうな雰囲気だが、オルバ先生が横にいる以上下手な事は出来ないだろう。


「よし、2人共契約魔法を施す。立ち合いは皇子がするということで間違いないですね?」

「ああ、私が言い出した事だ。契約魔法は私が行おう。」

オルバ先生に声掛けられ、入口付近に控えていたルーザーが姿を現すと黄色い歓声が大きくなった。


「じゃあ2人共いいかい?」

「「問題ありません。」」

皇子の手に魔法陣が展開されガイとマリスの足元にも魔法陣が出現する。

死の契約は一度学園長室で見たことがあったおかげかマリスは平然としていた。

逆にガイは初めて見たからか少し動揺した表情を見せた。


「これから行う決闘はお互いの生殺与奪権を掛ける。2人共相違ないか?」

「「ありません。」」

「では、その契約ルーザー・アステリアが結ぶ!」

その言葉と同時に魔法陣は赤く光り、消えた。

契約は結ばれた。

この時から、逃げ出そうとすれば死に至る。

もう逃げ場は失われた。


「審判はこのオルバ・クリストファーが行う。当たり前だが決闘は殺し合いだ。よし、お互い離れろ、死んでも恨みっこなしだぜ。」

ガイはすぐに訓練場の中央から離れ位置に付く。

僕も自分の位置まで行こうとすると、オルバ先生から小声で話し掛けられた。

「おい、マリス。俺はお前に賭けてっからな。負けんじゃねぇぞ。」

それでいいのか審判。

贔屓している訳ではなくただ賭けたとだけ伝えられるが、僕じゃなかったらプレッシャーに押し潰されていただろう。


僕が定位置に付くとオルバ先生が魔法を発動する。


決闘の際、白い壁のような物でお互いの視界を遮る。

その壁が消え、相手が見えた瞬間が開始の合図だ。


白き霧の壁(ホワイトカーテン)!」

オルバ先生が魔法名を唱えると、僕とガイを挟んで白い靄のような壁が築かれた。

この壁が消えた瞬間から殺し合いが始まる。

すぐに魔法を発動できるよう左手を壁に向ける。


先に詠唱等を行うのは決闘のルールに反する。

相手が見えないからといってこっそり魔力を練るのも禁止だ。

審判からはお互いの魔力が感知出来てしまい、バレる。

万が一ルールを破れば、その時点で敗北が決まってしまう。

だから誰もルールを破るような事はしない。


今は静寂がこの場を包んでいた。

あれだけ騒いでいた観客は誰も口を開かない。

決闘が開始されるその時を今か今かと待っているのだ。

審判のオルバ先生が僕らから離れた所に移動すると、ガイに目配せをする。

その後僕にも目配せをしてきた。

恐らくこれから始めるぞという最後の合図だろう。


緊張しない、とは言わないが案外僕は落ち着いていた。

気をつけなければならないのは、僕の魔法の威力が高すぎて即死させてしまうことだ。

それだけは絶対に避けなければならない。

流石にこの歳で人殺しにはなりたくないし。


出来るだけ殺さない程度の威力に抑える必要がある。

言うのは簡単だが、実行するのは割と難しい。

例えるとするならば、丸太二本使って豆粒を掴んでお椀に入れろと言われるくらい難しい。

箸を使えば簡単な事だが、丸太のような太く大きな物で小さな豆を掴むなんて至難の業だろう。

僕みたいな魔力量で殺傷能力を抑えるということはそれだけ難易度の高い事なのだ。


まあ僕なら出来てしまうのだが。


「決闘、始め!」

2人を遮る白い壁は消え相手の姿が見えた。

マリスの姿を視認したガイは既に魔力を練り始めている。


しかしマリスは素早く指先をガイに向けた。


疾走雷撃(ショットボルト)

一本の電撃がマリスの手から放たれ一直線に飛翔する。

ソレはまだ魔力を練り終わっていないガイの眉間を撃ち抜いた。


「ガッ!」


短い悲鳴を上げ仰向けに倒れピクリとも動かないガイを見て、観覧席にいた者達は固まる。

死んだのではないか?

そんな悪い想像が脳裏に浮かんだからだ。


すぐさまオルバがガイに駆け寄り体を調べる。

ホッとした表情を見せ、立ち上がると腕を上げ叫んだ。

「勝負あり!勝者はマリス・レオンハート!!」

あまりの出来事に観客は反応できていなかった。


それもそうだろう。

オルバですら呆然としたくらいだ。


決闘が始まり決着が着くまで、たった2秒であった。

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