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虹色魔導師は目立ちたくない  作者: プリン伯爵


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決闘の時も目立ちたくない④

ガイは3日後の決闘を控え、遂にやってやったと歓喜していた。

なんとか痛い目に合わせようと画策していたが(ことごと)く上手くいかなかったからだ。

そもそもマリスの周りには公爵やら皇族やらがうろついているせいで、手出しすることが難しかった。

しかし、マリスは何も知らず手袋を拾った。

笑い転げるかと思う程だった。

無知と言うのは罪というがそれを体現したかのような行動。

魔法を創り出しオリジナル魔法が使えるとは聞いているが恐らくそこまで強力な魔法はないだろうと思っているガイだが、念には念をという事で魔道具と魔法を駆使して戦うつもりだった。

伯爵ともなれば手に入る魔道具の種類は多く質も高い物が多い。

殺傷能力の高い魔道具だって手に入るのだ。


流石に決闘とはいえ学生同士。

いきなり殺すのはまずいことくらいガイでも分かっている。

いくら腹が立つからといって皇子の友人だと言わしめた彼を殺すことは躊躇われる。

しかし、呪いをかけてじわじわと死に至らせる事ができればガイにとって一番いい結果になる。

それを可能とするのが魔道具だった。

ガイには闇属性の適正はなく呪いに関する魔法は使えない。

だからこその魔道具頼りであった。

もちろん勝てそうであれば実力で押し切るつもりだが、念には念をいれるべきだと判断したガイは複数魔道具を用意していた。




決闘を明日に控えた今日。

僕はジンとミアと一緒に買い食いしていた。

呑気なものだと思うかもしれないが、今更何か変わるわけでもない。

勝てない実力差があるのならたった数日で変わる事もないし、いつも通りの日々を過ごせばいいと考えていた。


「やっぱり賭けはあるみたいだぜ。もちろん学校公認ってわけじゃないから堂々と言いふらすわけにはいかねーがな。」

どこからその情報を仕入れてきたのかとジンを問い詰めたくなったがぐっと堪える。

僕のお金も預けて一緒に賭けてもらうからだ。

今ここでジンの機嫌を損なう事は辞めておきたかった。


「全財産賭けても面白いかもな!」

それで僕が負けたらどうするんだ。

いらないプレッシャーをかけないでほしい。


「それで、マリスはどんな戦い方をするつもり?ボクはできるだけ早めに決着は付けたほうがいい気がするけど。」

「おいおい、観客を沸かせるのも大事だろ。」

ミアの言う通り僕は手っ取り早く終わらせるつもりでいる。

長引けば、注目を浴び続けることになり目立つ事必至であるからだ。

ジンはもうこの決闘を一つの娯楽として考えているらしい。


「ジン、悪いけどさっさと決着はつけるつもりだ。要は勝てばいいんだから。無駄に長引けば目立つじゃないか。」

「いや、今更じゃねぇか……?」

今更ではない。

まだそこまで有名人ではないはずだ。


「有名人だぜマリス。俺らの二級クラスは少なくとも全員知ってると思うぞ。賭けの話だってクラスの連中から聞いたしな。」

「ボクのクラスでも噂になってたよ。よくこうやって一緒にいるのを見られてたからかボクのとこにも色々聞いてきて鬱陶しくて仕方ないよ。」

「それは申し訳ない。でも僕を1人にしないでくれよ、寂しいだろ。」

ミアとジンには申し訳ないが、絶対に1人にはなりたくない。

1人になった途端、質問攻めが凄そうだし無駄な厄介事を抱え込みそうだ。


「そういや、決闘って何でもありなんだろ?マリス、魔道具は気を付けた方がいいんじゃないか?」

「大丈夫だ、僕には秘策があるから。」

「ちょっと……それホントに大丈夫なんでしょうね~?」

失礼な。僕がいつもやらかしていると思ったら大間違いだ。

確かによく失敗することが多いが今回は違う。

絶対に目立たない、最高の秘策があるのだ。


「大丈夫だって。この秘策があればさっと終わらせてすっと皆の前から姿を消せるから。」

ジトっとした目つきは辞めてほしい。

そんなに僕は信用ないのだろうか。


「「ないな。マリスの秘策は当てにならない。」」

2人が声を揃えて言う。

昔からの仲だし、僕の事は良く分かっている2人がここまで言うなんてどれほど信頼されてないのか。


「で、勝った時はどうするんだ?」

「ん?どうもしないけど。」

そう言うとジンは驚愕の表情を見せる。


「いやいや、決めとけよ!!勝てば相手の生殺与奪権を得れるんだぜ!!富でも権力でも奪ってやればいいじゃねぇか!」

「馬鹿だなジンは。そんなことしたら余計に憎まれるだけだろ。何もしない。それが一番いい結果を生むんだ。」

もしジンの言う通り相手の富を全て得ようものなら、後から何をされるか分かったもんじゃない。

後腐れなく終わるのが一番いいのだ。

理想としては、決闘が終わって僕がガイに何もしない。ただこれからは自分の事を認めてくれと言う。そうすると富や命を奪わなかった僕に感謝し、今後ちょっかいをかけてくることはなくなる。そういうシナリオだ。

我ながら素晴らしいシナリオを考えたものだ。

感動のハッピーエンドとはこういうことを言うのだろう。


「なんか変な事考えてない?」

「何も。まあ上手くやるから安心して見ててくれよ。」

怪しいと顔に書いてあるミアにそう言われるが、まあ見ておくといい。

僕の考えた素晴らしきシナリオを。


「ガイって人も哀れだぜ。喧嘩を売った相手がこんなんだからな。」

「確かに。可哀そうに思えちゃうな~、だってマリスからしたら楽勝でしょ?」

「楽勝かどうかはまだ分からないけど、苦戦はしないだろうな。」

ガイは男爵家の者達にこんな事を言われているなんて知りもしない。

もし知れば烈火のごとく怒る事だろう。


ああ、明日が少し楽しみになってきた。

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