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虹色魔導師は目立ちたくない  作者: プリン伯爵


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キャンプ中も目立ちたくない⑨

鳥のさえずりが聞こえる。

テントを出たマリスは大きく伸びをし、朝日を拝む。

とても気持ちのいい朝に、気分は爽快だった。


「あら、早いのねマリスさん。」

朝目が覚めて最初に顔を会わせるのがシーラとはツイてないな僕も。

昨日秘密がどうのって話をしたせいか微妙に気まずく今は顔を会わせたくなかった。


「あーおはよう。」

「おはようございます、よく眠れたかしら?」

「まあほどほどに。」

「皇子と同じ部屋で寝てほどほどに眠れるなんて、よほど肝が据わってらっしゃるのね。」

何が言いたいんだこの女狐は。


「流石は皇子が貴方の秘密を守ろうとするだけはありますね。」

「な、何のことかな。」

皇子に僕の秘密がバレている事を何故知っている。


「昨日の皇子の態度を見れば分かりますわ。明らかに貴方を庇っているような、そんな雰囲気でしたから。」

女の勘はあなどれないと言うがまさにその通りだった。

勘が鋭すぎる。

あまりシーラと仲良くするのもよろしくないかもしれないな。


挨拶もほどほどに顔を洗う為川へと向かう。

何となくだが気配が昨日より多い気がするのは気のせいだろうか。

朝は静かで神経が研ぎ澄まされるせいか今はジリアン先生以外にもう一つの気配を感じる。

立ち止まり気配察知の魔法を発動すると気配は消えた。

気のせいだったらしい。

昨日秘密がバレた事もあってかちょっとしたことで敏感になっているらしい。


顔を洗いテントへと戻るとみな起きたようで、眠そうな顔をしながら昨日食事をしたテーブルに着いていた。

ただ座ってあくびをしているだけに見えるが何か待っているのだろうか。


「あら、マリスおはよう。どこ行ってたのよ。」

「川に顔を洗いにね。」

「あ、そう。それで朝ごはんはどうするの?」

「どうするのとは?」

ロゼッタがそんな事を聞いてきたが、フェイルや皇子達も何やら何かを待っているような雰囲気だ。

まさかと思い尋ねる。


「朝ごはん、待ってたら出てくるとでも?」

「違うの?」

これが金持ちとそうでない者の差か。

こいつらは自分達で朝ごはんを用意するという発想が出来ないらしい。


「キャンプ中だぞ?勝手に朝飯が出てくるとでも?」

「あ、そっか。じゃあ何か作ってよマリス。」

この女……。

いっぺん頬をぶってやろうかと思ったがそれは辞めた。

横に座るシーラの目が怖かったから。


「はいはい、用意するよ。そこでおとなしく待っててくれよ。」

「流石マリスじゃない。やっぱり貴方と組んでおいて正解だったわね~。」

奴隷が出来て良かった、としか聞こえないがとりあえず無視することにした。


昨日の残った猪と大量に持ち込んでいた金持ち共の調味料を使ってシチューを作る事にした。

あまりがっつりした物は朝ごはんに似合わない。

あっさりしたシチューが定番だろう。

手伝いたそうなフェイルも椅子に座らせたまま黙々と料理をする。


日頃から料理は母の手伝いで作っていたおかげで慣れたものだった。

15分程で作り終え口を開けて待つ雛共の元へと持って行く。


「美味しそうですわ!流石マリスさんです!」

「褒めても何も出ませんよエリザさん。」

皆一様に匂いを嗅いでうっとりとした表情になっている。

我ながら上手くできたし味も自信がある。


「さ、食べてくれ。多分美味しいはずだから。」

そう促すと皆一気に食べ始めた。

お腹が空いてがっつくかと思いきや、そこは貴族。テーブルマナーは綺麗なものだった。


「美味しいわマリス!!あんたウチで雇ってあげようか?これなら十分料理人としてやっていけるわよ!」

「ふふふ、それがよろしいですわお姉さま。」

よろしくねぇよ。

何もよろしくない。クルーエル家で雇われでもしたらそれこそ奴隷のように働かされそうだ。


「すごい!これだけ美味しいなら城でも食べたいくらいだよマリス!」

「是非今度城へ作りに来てくださいませんか?」

皇子と皇女の元へ遊びに行くという事は、すなわち皇帝陛下の居城に行くという事。

そんなリスク侵せるわけもなく丁重にお断りした。


朝ごはんも食べ終え、昨日同様ティータイムで朝の一時を過ごす。

こればかりは持ってきたロゼッタや皇子に感謝だ。

やはり朝は紅茶で始まるものだ。


そんな至福の一時を過ごしていると誰かが近づいてくる足音が聞こえそちらに顔を向けると、レイさんが居た。

「おはようマリス。皆様方もおはようございます。」

貴族令嬢らしい一礼をし僕の傍まで来ると小声で耳打ちしてくる。


「ちょっとこっちに来なさい。」

ああ、多分昨日の事突っ込まれるなぁ。

皇子らに一言断りをいれてから席を立ち近くの木の陰へと赴く。


「昨日、とんでもない魔力を感じたけど貴方でしょう?」

「そうです。」

「何故貴方はすぐバレる様な事ばかりしでかすのかしら?」

「成り行きで……。」

神獣が現れた事、ジリアン先生には既にバレていた事、そしてあのアホ教師が結界に音の遮断を施していなかったせいで皇子達にバレた事を説明するとレイさんは呆れた顔を見せた。


「神獣が現れたのは想定外ですが、もっとやりようはあったでしょう?」

「いやそれがねレイさん、神獣なんて初めて見たしどれだけ強いかも分からなかったから全力でいこうと思いまして。」

「貴方の全力は街一つ壊滅させることができるのよ。あれだけ気を付けなさいと前にも言ったはずよ。」

確かに僕の魔力は膨大だ。

使い方を間違えれば街一つ壊滅してもおかしくないが、僕はそんなヘマはしない。多分。


「皇子皇女にバレたのであれば、皇帝陛下に報告されなければいいけど……。」

「ルーザーとエリザさんはそんな事しないって言ってくれた。」

「言うのは簡単よ。それに監視の目が付いていないとでも?」

ジリアン先生の事を言っているのだろうか?

それならば大丈夫だ。

昨日少し脅したし滅多な事では喋らないだろう。


「違うわ。ジリアン先生じゃなくて他の監視よ。この国の皇子と皇女よ?そんな重要人物に十二神が一人だけしかつかない訳がないわ。」

「でも気配察知には誰も引っ掛かりませんでしたけど。」

今日の朝には変な気配を感じたが気配察知を行うとすぐにその違和感は消えた。

昨日に関してはジリアン先生以外何も感じなかったが。



すると、レイさんは真剣な顔付きで恐ろしい事を言い出した。

「十二神には気配遮断に長けたアサシンもいるわ。そんな彼がついていたのであれば皇帝陛下に報告されるのも時間の問題よ。」

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