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おっさんと彼女と異世界チャリ  作者: モロコロス
おっさん、チャリをパクられる
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魔王に仕事をぶん投げる

 無茶を言うクライアントに対してどう説得するかって技術がある。無茶をそのまま通すべく頑張るのが日本式ソリューションで、その無理は下請けにどんどんかかってくる。一方で「その無茶ではこのようは弊害が出ます、御社が多少ここを我慢すれば、効率的に安く確実に運用できます」とか、「もういっそのこと別のアプローチとればいいんじゃないですか、例えばコレ」みたいな事言う人間は、外資系では昇進するが死ぬほど仕事増えるし、日本の会社では左遷される、らしい。大変だね。


 同じく、魔王様が引き起こした色々も、ジェムジャラムリンに説明出来ないし、説明しても信用できないと思う。どうしたもんかなあ。今回のクライアントにどう説明すりゃいいのか悩む俺だった。


「ゴブリンはもう街には来ない。俺達が森を歩いてる時も一切遭遇は無かった。変な音をたてたのは謝るが、あの音はこの街には関係ない。木が数本倒れただけだ。扉を閉める必要は無いと思うぞ」

「言う、わかる。しかし、無理、信用です。調査、確認、難しい、です」

「そりゃそうだ」

「とりあえず木材あれば門を塞ぐくらい、出来ると思う」


 本上さんが言った。根本的解決の難しさを納得させてから、具体的な解決アクションを提示するのだなあ。まあ扉を壊したの本上さんだけどね。ビジネススキル関係なく「自分のやった事に責任持ちなさい」って奴だ。


「木材、ない。扉、直す、すごく金、必要、領主、許すない」


 うっそー、じゃあ森で何本か木、切ってくるかと呟く本上さん。そうすっかあ、など考えているうち、遠くの方から先程の衛兵みたいな恰好をしたのが十人ほど、何かを引き連れてやってくるのが見えた。衛兵に引っ立てられているのは、縄で縛られた人間っぽいのである。


「まさか、あれって」


 本上さんの顔色が少し悪い。いやーいい感じにメタボだった筈のあいつなわけないじゃん。ガッリガリじゃん、とフォローしつつ、きっとあれがアレなんだろうなあ、と思う俺である。そりゃ奴隷っていうか飼育されてたんだからなあ、そうなるよなあ。


 縄で縛られたそれがよろよろ歩くんだが、構わず引き立てる衛兵の皆さんである。数分で目の前に到着し、俺達の目の前に現れたのは、やはりその禿げきった頭に見覚えのある、ガリガリに痩せてしまった全裸を見せつける、足首に鎖がまきついた元日本人、現リアル奴隷の犯罪者こと元同僚のオッサンだった。可哀想に。


「ごぶりん。喚く。仕事する、ない。番い、子供、ない。お前、探す、これ?」


 言葉の拙い衛兵が単語をつなげて質問するが、不思議に思った事があったので逆に聞いてみることにした。


「なんでこれゴブリン?」

「毛、ない。弱い。言葉、ない。ごぶりん」

「エラい乱暴な結論だな」

「少し、毛、ある。珍しい」


 本上さんも顔をしかめている。まあ当然っちゃ当然、死んでてもいいや、とは思っていたが、流石にまさかの奴隷以下落ちの現状に、どうしたもんかなあ、と思ってるはずだ。


「おーい、生きてっか?」


 日本語で呼びかけるも、その反応は薄かった。んあって感じで顔をあげたのが、呼びかけてから数秒してからだ。こっちを見る目もぼんやりしていて、焦点があってない。


 しかし紛れもなく元メンバー、行方不明になった同僚その人の顔だった。


「仲間、これ」

「お前、同じ、ごぶりん?」

「同じ」

「同じ、ごぶりん」

「喋る、ごぶりん、珍しい」

「高い、売る」

「だま、でっでるどがき、いらづまれ、とこっかす!」

「とこってまれ」

「とこってまれ!」


 ジェムジャラムリンが止めようとしてくれているようだが、他の衛兵は途中から東方語で、何だか煩そうに騒ぎ出したり、槍を構えたりしている。どうしよっかなあ。


「どうする」

「そりゃあ、もうこれっきゃ無いでしょう、魔王様〜!」


 まあね、奴隷にするゴブリンが増えた、喋るし高く売れそうだなどとホザくこいつらに捕まるわけにはいかないし、本上さんに触らすわけにもいかんのだが、変に殴るとこの間の異世界同様、きっとこいつらの首が飛んでしまうのだ。怪力のせいで。


 そんな状況、解決は俺達に怪力(チート)を授けた魔王様のお仕事ではないかと部下は愚考する次第。エスカレしよう、そうしよう。

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