おっさんと彼女と、クトゥじゃねえや魔王様。
若いときに子供が出来てたら、これくらいの年なんだろうか、と俺はそんな事を考えた。
現れたのは、パジャマみたいな薄着の十歳くらいの幼女だった。なぜ薄着?
あざとすぎる幼女が近づいてくるのを見守る。一方で本上さんの目線はちょっと高くて、顔を少し赤らめている。幼女に顔を赤らめるなんて、本上さんて実は変態?
「違うわよ何言ってんの、あれキョクドラ攻略対象ナンバーワン王子様!」
「え、王子様?女の子なのに王子様?」
「女の子?」
何かよく分からないが、本上さんが昔やってた乙女ゲーの攻略対象の、大層なイケメンが目の前に居るらしい。困った。人によって見かけの姿が変わるなんて、闇キャラ、ていうかここだと魔王本人ぽくないか?
「はずかしながらその通りです」
幼女は少し目を伏せて正解を告げる。声質は子供だが語り口は大人だった。
「魔王がその姿だったら一番嫌だなあ、と思う人の心を読み、その姿を見せています」
「えーと、じゃあ真の姿とかは」
「正気度ロールに二十回連続成功しないと、体中の穴という穴から血を吹き出し死にます。その魂は多幸感に包まれる中、永劫の業火に焼かれ続けるでしょう、とこしえに」
「なにそれ怖い」
本上さんが乙女世界から戻ってきて呟いた。怖いですね確かに。
「あと、子供は殺せない、という意味だと考えていんだよね?まさかとは思うけど」
「ロリじゃねえし。いやあ流石にこんな小さな子供はちょっと無理」
突然のロリ疑惑に俺は思わずついタメ口で答える。ロリじゃないけど、可愛い子供を殺せって言われてもおっさんには無理。妹んとこの長女がちょっと大きくなった感じで、姪っ子を思い出した時点でもう駄目だ。そう伝えると本上さんもそりゃそうか、て顔をしたんだけど、昔やってたゲームの攻略対象だったら一番嫌だという本上さんの方が闇深くないですかね。抉るつもりは無いのでこれ以上は何も言わないけどね。
「この度は、大変申し訳ございませんでした。しかも城の乗っ取りを企てたチンピラもとい龍一族まで退治いただいて本当に感謝の言葉もありません」
「え、あれ城攻めだったの?」
「はい、本上様が真っ先に倒された巨大な黒竜が、龍王でして」
はあ、チンピラなのに龍王なんだ。魔王の感性ヒドス。




