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ボケルト異世界狂想曲〜手違いで死んだ俺は生き返るためにツッコミを入れる〜  作者: 仮面大将G
第一楽章 オトボケ村のプレリュード

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第25話 熱血指導!経営学

「では早速経営学を教えていくよ! コインランドリーに着いて来るんだ!」


「みっちり頼むよシジボウ。しっかり学んで、俺たちもオンセンの事業を成功させないとな」


「私のオイスターソース専門店もですよ玄司様」


「お前のはどうでもいいわ! あとお前の店ウスターソース専門店じゃなかった!?」


 シジボウは教壇に立ち、チョークを取り出した。そして壁に貼り付けられた赤い板に何かを書いていく。


「いやなんで赤いんだよ! 黒板とかじゃなくて赤板!? ホラー映画のタイトル画面か!」


「玄司様、ボケルト王国ではこれがスタンピードです」


「スタンダードじゃなくて!? こんな赤い板が一斉に突進して来たら怖いわ!」


「ボクが通ってた大学では、赤板じゃなくて金板だったね」


「読みにくいだろそんなの! シリアルナンバーか!」


「オイラは学校に通ったことは無いけど、電車のモニターでやってる音無し番組で勉強してたゲートウェイ!」


「お前やっぱり山手線乗ってない!?」


 開幕早々うるせえなこいつら。赤板がまずやかましいわ。見た目的に。なんで赤なんだよ見にくいな。まあでも、これに慣れないと勉強できないってことだもんな。目チカチカするけど仕方ないか。


「まず君たちに問おう。経営に最も大事なことは何だと思うね?」


「経営に最も大事なこと……? 考えたこともねえから分かんねえな……」


「私は分かりますよ玄司様。経営に最も大事なことは、振り抜く瞬間まで体を開かないことです」


「それバッティングで大事なことじゃねえ!? 経営と何の関係があるんだよ!」


「ボクも分かるよ。経営に最も大事なことは、最後にポンって鳴るまで使い切ることだと思うよ」


「それは無くなりかけのマヨネーズじゃねえの!? お前ほんとマヨネーズの話しかしねえのな!?」


「オイラはがっつきすぎず、メッセージのやり取りを重ねて信頼を得て、ここだと思ったタイミングでアタックすることが大事だと思うゲートウェイ!」


「なんでお前は恋愛テクニック語ってんだよ! 誰も経営やる気ねえのこいつら!?」


「どれもなかなか大事だね」


「そんなわけねえだろバカ! 教える時はボケるのやめてもらえる!?」


 シジボウはその名の通り指示棒を取り出し、赤板に書いた文字を指した。


「経営において最も大事なことは、諦めずに何度もアタックすることだ」


「お前も恋愛テクニック語ってない!?」


「振り向いてもらうためには、それ相応に自分磨きをする必要がある。相手のレベルに達してから、改めてアタックを重ねるのがいいと思うね」


「なんでずっと恋愛の話してんの!? 経営の話どこ行った!?」


「何を言ってるんだね救世主様。これはあくまで経営の話だよ」


 はあ? こいつこそ何言ってんだよ。ずっとオンセンに乗っかって恋愛テクニック語ってるだけじゃねえの? どう聞いても経営に必要なことだとは思わねえけど……。


「経営というのは、自分磨き……というより、お店や会社磨きと、顧客や取引先へのアタックが大事なんだ。恋愛と同じさ。だから敢えてオンセンくんのボケに乗っからせてもらったんだよ」


「経営が恋愛と同じ……? どういうことだよ」


「玄司様、経営をしていると、取引先のことを考えて夜も眠れなくなり、いつ返事を返してくれるのと1分おきにメッセージを送ってしまうんです。恋愛と同じです」


「なんでメンヘラの恋愛なんだよ! 絶対そういう意味じゃねえだろ!」


「救世主様、そういう意味だよ」


「そういう意味だったのかよ! お前らはもっとメンタルを鍛え直せバカ!」


 なんだよこの経営学……。俺別にメンヘラの恋愛を学びに来たわけじゃないんだけどな。合宿が終わる頃には無駄にメンヘラの扱いが上手くなってそうだな。そんなの求めてないんだけども。


「ではまず、会社やお店の内面を磨くことについて考えてみようじゃないか。この内面磨きというのは、どんなことが考えられるね?」


「ボク的にはやっぱり、リーダーの質が問われると思うよ。リーダーができるやつじゃないと、メンバーも着いて来ないからね。例えばどんな料理でもマヨネーズでアレンジできるとか」


「マヨネーズ以外に何か考えてることねえの!? 無駄な大卒だなお前!」


「オイラはチームの仲を深めることが大事だと思うゲートウェイ! みんなで温泉旅行に行ったり、そこで気になる女性にアタックしてみたり、そういうのがチームビルディングだと思うゲートウェイ!」


「お前また恋愛の話してない!? それチームビルディングどころか下手したら気まずくなるぞ!?」


「私はフォロースルーの形にまで拘ることが大事かと」


「バッティングの話やめろお前! お前が1番関係ねえ話してんだわずっと!」


「打った後に走り出す意識が強すぎると、走り打ちになってしまうから気をつけないといけませんね。左打ちで足が早いタイプの経営者ならそれでもアリですが」


「なんだ左打ちで足が早いタイプの経営者って! 経営で聞いたこと無いワードすぎるだろ!」


「コインランドリー的にはそれで内野安打を狙うよりも、しっかり振り抜いて力のある打球を飛ばすことが大事だと思うね」


「野球の話やめられる!? てかお前らなんで野球知ってんだよ!」


 こんなんで本当に経営学なんか学べるのか……? ずっとふざけてるんだけどこいつら。これでオンセンの事業が成功したら逆にビックリだわ。


 不安になりながらも、シジボウの授業は進んでいく。そんな内容を聞かされて3日後——。俺たちはついに合宿所から出た。

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