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ボケルト異世界狂想曲〜手違いで死んだ俺は生き返るためにツッコミを入れる〜  作者: 仮面大将G
第一楽章 オトボケ村のプレリュード

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第19話 教師に会いに

 教師のところに向かって歩く俺たち。さっき温泉で疲れが取れたのか、歩く足取りは軽い。これもオンセンのおかげだな。こいつのためにも、ちゃんと教師のところで学んでいかないと。


 すると前を歩く高橋が突然口を開いた。


「玄司様、あの巨大ロボットを見てください」


「なんで巨大ロボットあるんだよ! 異世界感ねえなおい!」


「あれはこのオトボケ村の象徴で、アカンゲリオンと言います」


「弱そうな名前! 漏れる直前じゃねえのそれ!?」


「実は私はあのアカンゲリオンの初代パイロットで、オトボケ村に迫り来るチンチラ軍団の脅威を退けたんです」


「なんだそのユルい脅威は!? そもそもあれ本当に動くやつなんだ!?」


「玄司様もアカンゲリオンに乗ってみますか? 原付免許があれば乗れますよ」


「原付免許で巨大ロボ動かしちゃダメだろ! あれ1日で取れる免許だぞ!?」


「ボクは普通自動車免許を持ってるよ」


「お前そんなちゃんとしてんの!? 大卒で免許持ち!? その蹄でどうやって運転するんだよ!」


「オイラは電車派だゲートウェイ!」


「だろうな! お前語尾がもうほぼ駅名だもんな!」


「そしてあれは紙製のプラネタリウムです」


「関係無さすぎるわ! どうやって紙でプラネタリウム作ってるんだよ!?」


 ハチャメチャなオトボケ村の景色に翻弄されながらも、俺たちはどんどん歩を進めていく。アホな会話をしながらだが、これでも生き返りゲージは溜まるんだもんな。ちょっとしたボケも拾っていかないと。


「玄司様、そろそろ着きますよ。心と松ヤニの準備はよろしいですか?」


「何俺今からハンドボールすんの!? え、その教師ってハンドボール部の顧問だったりする!?」


「いえ、軽音楽部です」


「じゃあ何に松ヤニ使うんだよ! 無駄にベタベタさせんなよ!」


「それでは早速裏口から侵入しましょう」


「なんでお前正面から入れねえの!? 侵入経路ばっかり探ってんなよ!」


「オイラここで温泉掘ってみてもいいゲートウェイ? なんかホワイトムスクの香りがするゲートウェイ」


「それ多分温泉じゃなくて香水じゃねえ!?」


 木でできた広めの平屋に入ると、教室のような部屋がいくつかと、奥に職員室と書かれた部屋がある。本当に学校なんだな。なんか懐かしい感じだ。


「玄司様、廊下で十種競技しませんか?」


「しねえよ! 廊下走るぐらいならよく見るけど本格的な陸上競技するやつ見たことねえだろ!」


「オイラは小学生の時やってたゲートウェイ」


「ボクも大学でやってたね」


「何この世界って廊下で陸上競技すんのがスタンダードなの!? なんでグラウンド使わねえんだよ!」


 そんなことを言っていると、職員室のドアが開いて、メガネをかけてスーツを着た男が出て来た。こいつが教師か?


「なんなんだ君たちは! 廊下で騒ぐんじゃない! 廊下では十種競技と円盤投げ以外は禁止されているだろう!」


「その2つも禁止にしとけよ! 円盤投げとかめちゃくちゃ危ねえだろ!」


「全く常識の無いやつらだ。私はもう帰るから、静かにするんだぞ」


「あ、ちょっと待ってくれよ。あんたが教師だろ? ちょっと教えて欲しいことがあって……」


「玄司様、あれは教師ではありません。ただのサラリーマンです」


「教師じゃなかったのかよ! だとしたらなんで職員室から出て来たんだよ!?」


「ああ、ちょっと2者面談で」


「お前生徒なのかよ! 高橋、ちなみにここは何学校なんだ?」


「ここは美容専門学校です」


「斜め上の学校だった! え、そんなとこにいる教師が経営学とか教えられんの!?」


「郵便局の経営ならお手のものと聞いてますよ」


「なんで美容室じゃねえんだよ! あとこの世界の郵便局個人経営なんだ!?」


 無駄に情報量が多いな……。結局関係無いサラリーマンのことは見送って、俺たちは改めて職員室の前に立つ。なんか久しぶりだからか分からないけど、職員室に入る時ってめっちゃ緊張するよな。特に今回はここの学生でもないからなあ。


 俺が躊躇しているのを見かねて、高橋が先陣を切った。


「お待たせしましたー! 背脂の定期配送でーす!」


「どんな宅配だよ! え、その教師って背脂のサブスク登録してんの!?」


「そうらしいですよ。なんでも、背脂を直飲みするらしいです」


「なんでここのやつらってマヨネーズとか背脂とか全部直飲みすんの!? もっと料理にかけるとかすればいいのに!」


「そ、その手がありましたか……!」


「ああそもそもこの世界では調味料とかの認識じゃねえんだ!? 背脂はラーメンに入れたら美味くなるぞ?」


「じゃ、じゃあもしかして接着剤も……」


「それはもう食うのやめろ! 死ぬから!」


 そういうことだったのな。ここ異世界なの忘れてたわ。そもそもマヨネーズとか背脂は直飲みするものっていう共通認識があるんだな。めんどくせえなあ、だったら中途半端にマヨネーズとか無い方が良かったわ。俺の中の常識が勝手に叫び出しちゃうから。


 どうでもいいことを考えていると、職員室のドアが開き、メガネをかけてスーツを着た男が出て来た。


「……いやさっきのサラリーマンじゃねえか! お前まだいたのかよ!」


「サラリーマン……? ああ、あれは兄だよ。コインランドリーはここで教師をやっている者だ」


「なんでお前一人称コインランドリーなんだよ! クセ強すぎるだろ!」


 でもこいつが目的の教師か。……ん、ちょっと待てよ。一人称のインパクトでスルーしてたけど、こいつさっきのサラリーマンが兄って言ってたよな? 弟が兄に勉強教えてんの!? なんか複雑じゃねえ!?


 まあ一旦それは置いとくか。こいつになんで俺たちが来たかを話さないとな。

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アカンゲリオン乗りたくてたまりませんww免許はあるんですけどねぇ??? しかもチンチラってもう可愛いの詰め合わせみたいなのが脅威なの平和すぎて!!! しかもコインランドリーって8文字の一人称、ワンチャ…
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