表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
連載開始 1巻4/10発売!【完結】魔王様、溺愛しすぎです!  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
34章 魔王に対する侮辱

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

463/1398

461. 気遣う優しさは諸刃の剣

 魔の森を抜けた先に転移したとき、すぐに出迎えに来たのはタカミヤ男爵モレクだった。最初の戦闘に参加したエドモンドと交代の形で、モレクが神龍族(シェンロン)を率いている。


 もっとも彼らの交代は「そっちばっかり狡い。こっちにも出番を寄こせ!」が理由であり、負傷者ゼロのドラゴン側は魔王城の会議に参加したのだ。先にミヒャール国を攻撃していたモレク達は、建物より人々を狩るほうをメインに動いた。


 この時点で魔王による攻撃魔法の話を知らない彼らが、城の破壊を後回しにしたのは、単に強者に追われて逃げ回り疲弊した精神に最後の(くさび)を打ち込む方がより効果的――という、なんとも残酷な配慮だった。


 以前に鱗目当てに子供の龍を狙われたシェンロンにとって、人族はいつか叩きのめしたい種族なのだ。今回もドラゴンとの交渉は苛烈を極め、エドモンドが苦笑いして引いた理由もそこにある。恨みを持つ種族は多数いるため、互いに譲り合う様子はエルフや魔獣の間でも見られた。


「陛下、露払いの栄誉を与えていただき感謝の念に堪えませぬ」


 己の弟が仕出かした反乱が一族の名誉を地に落とした。泥に塗れた栄誉を取り戻すため、シェンロンの中でも選りすぐりの優秀な若者を選抜している。モレクにとって最高の晴れ舞台なのだ。


「うむ。ご苦労だった」


 表面上は普段通りに取り繕ったルシファーが声をかけて労い、斜め後ろに控えるアスタロトはほっと胸を撫でおろした。無関係の誰かに八つ当たりする人ではないが、わずかでも態度に滲んでいたらモレクは気にしただろう。穏やかな笑みを浮かべて労う姿は、平常通りの魔王だった。


「城は残してありますわ」


 言いつけを守った、とベルゼビュートが豊かな胸を張る。


 ガブリエラ国の城はドワーフがかなり破壊したが、ミヒャール国は森との間に作った壁が壊された程度で、大きな損害は少ない。見た目は十分機能性を保った城や教会が残されていた。


 ばさりと黒い翼を広げる。2枚1対ではなく、4枚がゆったり広がって影を落とした。腕の中のリリスは着替えをして、黒いワンピース姿である。白い襟がついたワンピースには、薄いピンクで刺繍が施されていた。濃淡が美しい刺繍は、彼女の肌をより健康的に見せる。


「魔王陛下、魔族の退避を完了いたしました」


 ベルゼビュートの報告をもって、ルシファーの右手に魔法陣がひとつ呼び出される。緻密な模様は左右に逆回転した魔法文字が踊り、機械仕掛けの時計に似た美しさがあった。


 傷ついた痛みの裏返し、ですね。魔法陣の威力に気づいたアスタロトが肩を竦めた。憂さ晴らしにしても、威力が大きい。周囲の汚染も激しいだろうが、止める気はなかった。


「アスタロト」


「はっ」


 頭を下げて続く言葉を待った。


「汚染を浄化する結界を張る。少し離れろ」


 浄化は吸血種族にとって苦手な属性だ。しかし耐えられないわけではない。知っていて離れるように命じるルシファーに、アスタロトは「かしこまりました」と答えて距離を置いた。気遣う優しさが、今の彼を傷つける棘になっているのに、まだ他者を気遣うのか。


「……諸刃の剣ですね」


「あの方は承知の上で、それでも優しさを捨てないのよ」


 アスタロトの隣に転移したベルゼビュートが、悲しそうに吐き捨てた。アスタロトは否定も肯定もせず、ただ目を伏せる。


 ルシファーの手から放たれた魔法陣が、街の大きさに合わせて広がっていく。拡大された魔法陣の隙間を埋めるように、新たな魔法文字が湧き出て塞いだ。月光に似た金を帯びる銀色の魔法陣が街を覆い尽くした。

いつもお読みいただき、ありがとうございます(o´-ω-)o)ペコッ

感想やコメント、評価をいただけると飛び上がって喜びます!

☆・゜:*(人´ω`*)。。☆


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ