表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
連載開始 1巻4/10発売!【完結】魔王様、溺愛しすぎです!  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
32章 怯える聖女、追う幼女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

434/1398

432. 間違いに気づいて方向修正

 都の壁をあらかた破壊し終えたところで、エドモンドが疑問をもった。


「あの城の塔、屋根が青くないか?」


「青いですね」


「青だわ」


 そこで彼らは間違いに気づいた。ここはガブリエラ国ではなく、手前のミヒャール国じゃないか? 見回した周囲はすでに破壊が尽くされ、魔の森との境にある壁は瓦礫と化している。


「全員、一度空中で待機!」


 命じたエドモンドに、ドラゴンがすべて上空へ舞い上がった。掴んでいた壁を砕いて飛び上がる彼らに青い屋根のミヒャール国じゃなく、あちらに見える赤い屋根のガブリエラ国へ向かう旨を伝える。しかし首をかしげる者もいた。


 間違っていようと、人族なのだから結果は同じ。ドラゴンは豪気で大雑把な性格の者が多いこともあり、半分ほどは「いいじゃん、もう滅ぼしちゃえば」という恐ろしい意見を口にした。


 毒ガエルを退治に行くついでに普通のカエルを見つけたけど、同じカエル族だから絶滅させればいいじゃないか。そんな乱暴な理論が魔王や側近相手に通るはずがない。説明しようとして言葉を探したあげく、エドモンドは強烈な一言を放った。


「お前らがアスタロト閣下に具申(ぐしん)するなら構わん」


 ある意味開き直ったエドモンドに、青ざめた全員が首を横に振った。舞い上がったドラゴン達は、豆粒ほどの大きさに見えるガブリエラ国へ向かって移動を始める。


「どうなさった、エドモンド殿」


 龍形態のタカミヤ老男爵モレクの問いかけに、エドモンドは苦笑いしながら説明を始めた。


「なんと、都違い?! (おく)れを取るでない。皆の者、あの小さな赤い屋根に向かえ!!」


 巨体をくねらせながら移動する龍の群れを見送り、足元の魔獣達にどう伝えたらいいか迷った。大きな声で伝達すると、人族にも間違いがバレてしまう。仕方なく足元におりると、ベルゼビュートを探して声をかけた。


「ベルゼビュート大公閣下」


「なに?」


 忙しそうに魔獣に聖女を探すよう指示する彼女に、言葉を選びながらエドモンドは切り出した。


「ここはミヒャール国で、目的のガブリエラ国はもっと東側の海寄りです」


「え?」


「簡単にいうと、攻め込んだ国間違いです」


「…………ガブリエラ国へ向かいましょう。陛下がお待ちだわ」


 わずかな沈黙が葛藤の証だろうか。近くにいたセーレに指示を出し、遠吠えという形で変更連絡を済ませた。長く響いた遠吠えで、魔獣達の攻撃はぴたりとやんだ。顔を見合わせた後、東へ向かって走り始める。崩した街や倒した人に見向きもしない。何が起きたのか理解できずに慌てる人族を残し、魔族はきれいさっぱり姿を消した。


「後れを何とか挽回しないと、鬼に殺されるわ」


 エドモンドの背に乗ったベルゼビュートが、ひとつの魔法陣を魔獣の群れに投げた。地面に触れるなり大きく広がって魔獣を包み込むと、詠唱なく展開して発動する。瞬時に消えた魔獣達は、ガブリエラ国の首都外壁前に出現した。


「失態を取り戻せ!」


 焦ったドラゴンと龍が外壁を叩き壊してくれたため、その隙間を縫って都に飛び込んだ。都違いを指摘されたので、今度は塔の屋根色が赤いことを確認する。間違いないと頷きあい、彼らは近くの人族に襲い掛かった。






「……あいつら、襲う都を間違えたんだな」


 眉をひそめるルシファーだが、眠くなってぐずるリリスをあやすのに手いっぱいだ。そこへ飛び込んだ聖女発見の一報に、追及を後回しにした。護衛に獣人とエルフを2人ずつ付けた勇者アベルを振り返る。


「聖女の顔を見れば判別できるか?」


「はい」


「ならばついて来い」


 魔法陣で彼らを包むと一緒に転移する。商家の扉にはルキフェルが到着していた。珍しく角や翼を出しているルキフェルが、中を指さす。


「地下牢にいた。逃げた貴族を狼獣人が追ってる」


「なるほど、彼女と民を見捨てて逃げたのか」


 舌打ちしたい気分で吐き捨てる。民の頂点に立つ者が真っ先に逃げるなど、ルシファーからしたら考えられない愚行だった。これは魔族共通の考え方だ。


 強者は弱者を守る義務があり、弱者は強者に助けを求める権利がある。弱者を逃がすまで、強者は盾となり戦うからこそ、権力を揮うことが許されるのだ。人族のように有力者が民を見捨てて逃げるなど、唾棄すべき愚かさだった。


「案内せよ」


 ぐずるリリスをあやしながら、地下への階段を下りる。2階分を下ったあたりで、横へ続く廊下を歩き始めた。埃と汚物の臭いが充満する地下は、あまり掃除や換気をされていないらしい。魔法で浄化しながら進むと、一番奥の牢の前に獣人達が待っていた。

いつもお読みいただき、ありがとうございます(o´-ω-)o)ペコッ

感想やコメント、評価をいただけると飛び上がって喜びます!

☆・゜:*(人´ω`*)。。☆


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ