表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
連載開始 1巻4/10発売!【完結】魔王様、溺愛しすぎです!  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
31章 異世界召喚は違法行為?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

412/1398

410. 異世界の作法と名前

 お土産よろしく持ち帰られた勇者は、予想外の好待遇にびっくりした。魔王を倒しに来た勇者が魔王城で与えられる部屋は、地下の牢屋だと思っていたのだ。それが普通に窓の外は庭で、1階の客室らしい。


 逃げようと思えばいつでも外に出られる環境で、しかもベッドが柔らかかった。ふかふかの絨毯が敷き詰められているので、思わず靴を脱いで座ってしまう。高そうな家具が備え付けられた部屋を見回しても、牢屋という表現は似合わなかった。


「贅沢だ」


 前世界もアパートじゃなくて一軒家だったけど、こんな立派な部屋じゃなかった。絨毯に座ってきょろきょろしていると、案内して姿を消していたルキフェルが戻ってくる。


「あれ、なんで床に座ってるの?」


「靴も? 異世界の作法でしょうか」


 やたら美形のすらりと背が高い銀髪のお兄さんと、愛らしい水色の少年はまるで主従のようだ。少年はタメ口で、年上のお兄さんが敬語だった。しかし彼らの会話から推測すると、対等の地位らしい。魔王の隣にいた赤い瞳の綺麗だが怖い兄さんもそうだが、城仕えが長いと敬語になるのかも知れない。


「僕のいた世界は部屋の中で靴脱いで、床に座る習慣がある」


「ふーん。あんたがいいなら、僕は気にしないから好きにしたら」


 ルキフェルは他人にあまり興味を持たないらしく、突き放した口調で近くのソファに近づいた。しかし座らずに待っている。何を待っているのかと首をかしげた勇者の前で、ベールがルキフェルを抱っこして座った。


 兄弟や親子でも同じことをするのに、恥ずかしい気がして目を逸らしてしまう。


「ところで、あんたの名前は? 誰も聞いてないよね」


「……阿部瑠海(あべるかい)


「アベル? カイ? どっちが名前」


「ルカイが名前」


 切る場所が違ったらしい。異世界の発音は難しいと「ルカイ、ルカイ」とルキフェルが繰り返す。どうもしっくりこない。


「アベルじゃだめ?」


「……それでいい」


 諦めた勇者の名は、本日からアベルになった。この世界で使うなら、こちらの響きの方が皆が覚えてくれるだろう。苦笑いして受け入れたアベルだが、考えてみれば囚人であり研究動物(モルモット)である自分の名を覚えたり尋ねる必要はないことに気付く。


「どうして名を聞く?」


「?? 呼ぶのに不便だから」


 意味不明の質問をされたと顔に書いたルキフェルの対応に、アベルは想像と違う……と内心で首をひねる。やたら待遇のいい捕虜みたいだ。馬小屋の隣みたいな部屋と残飯生活だったので、余計に恐い。どんな実験に協力させられるんだろう。


 実験とやらの後、召喚直後に放り込まれたボロ小屋に入れられたら、より辛く落差を実感するはずだ。


「ご飯、食べたいものある?」


「えっと……残飯以上なら文句ないです」


 気の毒そうな顔をするルキフェルの視線が突き刺さる。後ろのベールは絶句してから、大きな溜め息を吐いた。仮にも勇者として戦わせるために召喚したのなら、最低限の面倒は見るべきだろう。衣食住に不自由させないのはもちろん、死なない程度の訓練も必要だ。


「本当に人族は魔物以下の屑ですね」


「いつものことじゃん」


 2人の会話の意味がわからない。異世界に召喚されて、魔法陣から引きずり降ろされ王様に命令されてから、ずっと隔離されていた。この世界の常識や強さのレベルも何も知らずに連れ出されたのだ。知識などなかった。


「苦痛がなければ全面的に実験に協力する、から……よろしく頼む」


 きょとんとした顔のルキフェルはすぐに笑い出し、「別に解剖したりしないよ」と冗談交じりに告げた。後ろから水色の髪を撫で続けるベールは、しばらく考え込んだ後呟いた。


「宣伝効果は高いかもしれませんね」

いつもお読みいただき、ありがとうございます(o´-ω-)o)ペコッ

感想やコメント、評価をいただけると飛び上がって喜びます!

☆・゜:*(人´ω`*)。。☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ