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連載開始 1巻4/10発売!【完結】魔王様、溺愛しすぎです!  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
93章 大規模視察、留守番は誰

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1273. 魔王を監視する軍務

 ドラゴン主体の精鋭部隊は、押し付けられた魔王ルシファーの監視に余念がなかった。魔族に君臨する最強の魔王で、膨大な魔力と寛大で公平な思考を持つ稀有の主君だ。忠誠を誓うに何の不満もなかった。


 過去にふらりと風に吹かれて外出した魔王が、数日ほど行方不明になった事件があった。その際は森の隅から隅まで、魔王軍の総力を挙げて捜索したという。偶然の行き違いと、人族の領地にまで足を伸ばしていた魔王の自由奔放さに惑わされ、大公達が転移を駆使して追いかけ回したと伝え聞いた。わずか数百年ほど前の話だ。当時の護衛は胃に穴が空くほど悩んだことだろう。


 魔王ルシファーの大いなる欠点は、身軽なことだ。圧倒的な魔力と豊富な魔法陣の知識で、ほとんどの事象を自分で解決する。そのため勇者が攻めてこようが、魔族の反乱が起きようが、自ら出向いて戦う人だった。人族の王侯貴族のように「戦ってこい」と命じる傲慢さはない。


 ゆえに……こういう騒動が数年に一度起きるのだ。魔王軍の名は魔王に従う軍だが、裏の意味もあった。魔王を監視する軍――不名誉なのか名誉なのか。判断に困るが、これも重要な任務のひとつだった。


 アスタロト大公直々に運んだ、大公の署名が並んだ命令書を握り締める。胃がキリキリと痛むのを撫でながら、将軍職に就くグラシャラボラスは溜め息を吐いた。その肩を、同職のサタナキアが叩く。無言だが頷く彼の瞳には「お役目ご苦労、わかるぞ」と同情が満ちていた。


「お前も監視対象だぞ」


「なんだと?」


「陛下と一緒に動かずにいてくれ」


 うぬぅと呻きながら、サタナキアはルシファーを振り返る。リリスと一緒に軍のテント前でフェンリルに凭れる姿は、変わらず美しい。魔力に満ちて輝く純白の髪を風に遊ばせ、高貴な銀の瞳を細めて婚約者を見守る。慈愛に満ちたその表情や所作から、仕事を放り出して飲み会に興じる人物とは想像出来なかった。


「ところで……ご令嬢は美しくなられたな」


「残念だが婚約者がいるぞ」


 歳若くして将軍職に就いたグラシャラボラスは、まだ独身だった。以前に娘イポスと見合いをさせてくれと言われたことを思い出す。


「なんと! 相手は誰だ?」


「研究所のストラス殿だ」


 頭脳派の研究所と聞いて、グラシャラボラスの目が細められる。決闘でも申し込めば勝てると思ったのだろうが……相手が悪すぎた。


「言っておくが、ストラス殿はアスタロト大公閣下の末っ子だ。魔力量も強さも並ではない」


 研究職で体を動かす機会は少ないが、ストラスは魔王軍の予備役登録をしている。数年に一度は演習に参加するし、手が足りなくなれば戦闘に参加することもあった。その際は、サタナキアの将軍補佐または参謀役である。頭の良さを生かした上で、緊急時に指揮を取れるだけの強さも人望もあった。


「……イポス殿は、その」


 ご令嬢から名前に変わった呼び方を咎めることなく、サタナキアは頷いた。残酷なようだが、真実を誤魔化すのは悪手だ。諦めてもらった方がいい。アスタロトの血を引く以上、大人しそうに見えるストラスも独占欲が強い厄介な男だろう。


「惚れている」


 がくりと頽れたグラシャラボラスを慰めるため、魔王ルシファーと飲み会を催した。監視対象ということは、仕事をすればそれ以外は見逃してもらえる。何度も魔王監視任務を経験したサタナキアは、収納から取り出したチーズやワインを提供し、ルシファーも取って置きのハイエルフ特製ワインを樽で取り出した。


 男達の飲み会はとても盛り上がるが、大きな樽の裏で酔っ払ったリリスが発見される。樽にコップを持った手を突っ込む婚約者の姿に青ざめたルシファーは、悲鳴を上げた。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] あれ?グラシャラボラスってベルゼの聖剣の名前もグラシャラボラスでしたよね?
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