表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
連載開始 1巻4/10発売!【完結】魔王様、溺愛しすぎです!  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
91章 天才恋愛作家現る?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1246/1398

1240. 提案書は書き直し

「なるほど……発案の趣旨は理解しました」


 参考資料として提示された恋愛小説を速読しながら、アスタロトが呟く。隣のベールも別の本を読みながら頷いた。ルキフェルは無言で読んでいる。現在、財務関連の計算に取り組むベルゼビュートは「気が散るから後にして」と発言し、執務室から出て来なかった。


 大公3人の承認が取れれば、ベルゼビュートの署名は後回しで構わない。リリスに率いられた大公女4人はドキドキしながら、答えを待った。新しい試みなので、まずは予算をあまり使わない小型のプランでスタートする。その後、成果を見ながら徐々に予算を獲得する案だった。


「この辺はルシファーの案なのよ」


 内緒だと言われたのに、あっさりバラすリリス。苦笑いするルーサルカと青ざめるルーシアの横で、シトリーが額を押さえた。翡翠竜が「あちゃー」と呟いてバッグに顔を埋め、レライエは緊張した面持ちで大公達の顔色を窺う。緊迫した場面で、ベールが口を開いた。


「この案を修正する気はありますか?」


 言外にこのままでは通せないと言われ、大公女達は肩を落とした。かなりよく書けたと思ったのに。がっかりしながらも、本分は見失わない。大切なのは完璧な書類を作ることではなく、この案を軌道に乗せることだった。


「修正箇所をご指示ください」


「折角だ。問題だと思う場所を自分達で探してみろ」


 黙って見守っていたルシファーが口を挟んだ。あっちか、こっちか。迷いながら彼女らは話を纏めていく。こういった経験が積み重なれば、いずれ大公の代理権を預かることもできるようになる。育てるつもりで、まずは簡単なところから提案させた。


「私は、この予算額じゃないかと思うの」


 リリスが指差した。話し合いの当初から、リリスは額が小さすぎると主張している。多数決で一度は折れたが、問題点として再び提起した。ルーサルカは考え込む。


「予算額は足りていると思います。最初から大掛かりに募集しても、動かすノウハウがありませんから」


 少人数で始めるべきだ。その主張にシトリーとレライエが同意した。だがルーシアが迷いながら呟く。


「私は倍くらいまで規模を大きくしてもいいと考えます。理由は小さすぎる試みでは、人々の意識に残らないからですわ。もっと大きな……例えば選考会をお祭りにして盛り上げるとか。そういう予算も組んではどうでしょう」


 前向きな意見が出てきたため、大公女達は議論に熱中する。その間に、選考対象として渡された小説を読み終えたアスタロトが、愛娘にヒントを与えた。


「予算は余っていると仮定し、どうやったら新しい文化が根付くかを重視してください」


「……アスタロト、それは答えだぞ」


 むっとしたルシファーが睨みつける。大公女が考えて到達すべき結論を、大人が口にしたら意味がない。いくら義娘が可愛くとも、やりすぎだ。指摘したルシファーへ、アスタロトは素直に謝罪した。自覚はあったらしい。


「アシュタが言うんだもの、予算はふんだんに使いましょうよ」


 ふんだんに余っているとは言っていませんよ。そんな文句をスルーしたリリスは、お祭りの案を盛り込もうと必死だ。ルーシアの加勢に、迷いながら翡翠竜が参加した。ここで3対3になるが、読み終えたルキフェルが予算増額に賛同したため、一気に情勢が傾いた。


「よし。纏め直して再提出だ」


「「はい」」


 ルシファーの号令で、再び書類作成に戻った少女達を見つめ、リリスがこてりと首を傾げた。


「ルシファー、私も書くわ」


「……ああ、うん。その……書くのはルーシアに任せよう」


 リリスが書くと、文字がベルゼビュート級に酷い。読めなくはないが、解読作業が必要だった。今後のために、署名くらいは手直しするか。ルシファーは勉強の思わぬ落とし穴に、溜め息を吐いた。


 誰にでも欠点はあるものだ。仕方ない。同様に苦笑する大公を見回し、ルシファーは肩を竦めて話を打ち切った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ