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連載開始 1巻4/10発売!【完結】魔王様、溺愛しすぎです!  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
79章 先祖返りが増えてませんか

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1092. 後でお話があります、再び

 店主自身にも攻撃が降り注いだため、事故だった可能性を考えて保護する。確信犯なら改めて処罰すれば済むが、偶発的な事故なら店主の死は取り返しがつかないのだ。


 最悪の事態を考えて動く側近を見守りながら、ルシファーは咄嗟に出た本音を取り繕う方法に悩んでいた。まずい、あの表情は怒ってる。絶対に後で説教されるぞ。


 唸るルシファーの腕をしっかり捕まえて、リリスは下から見上げた。身長差は20センチほど。今日はお出かけ用のヒールなので、もう5センチ縮まった。背伸びして、ルシファーの頬に唇を押し当てる。


「リリス?」


「アシュタに謝った方がいいわ」


 ね? 一緒に謝るから。そう言われてしまえば、逃げる余地はない。苦笑いしてリリスの頬にキスを返した。


「そうだな」


 犬獣人の店主を結界に入れ、自分も守りながら無事帰還したアスタロトに「悪かった」と頭を下げる。しばらく無言が落ちて、アスタロトは「誰の入れ知恵でしょうね」と笑った。許してくれるらしい。


 緊急事態だったこともあり、アスタロトはさほど怒っていない。民を守るために手っ取り早く優先順位を決めたルシファーの判断は、間違っていなかった。ただ気分的にむっとしたのはしょうがない。逆に笑い過ぎて、動けなくなったのはベルゼビュートだった。


「お義父様、ケガはありませんか」


 駆け寄ってくれたルーサルカに微笑んで頷き、店主を結界から出した。転がるように地面に手をついた店主は、まだ呆然としている。


「ケガはないか?」


 ルシファーが尋ねると、目を見開いたまま頷いた。ぎこちない様子から、まだ混乱しているのが窺える。攻撃ではなかったらしい。


「あの簪に似た商品は、なんだったのだ?」


「あ……えっと、すみません。あれは魔法を販売しようとして……うちの子のアイディアなんですが」


 事情をよく聞くため、ルシファーは店主の獣人男性を伴い、近くの店を借りた。飲食店なので、ついでに食事を済ませる算段でもある。


「ルシファー、プリン!」


 真っ先に果物が乗ったプリンを注文するリリスに、アスタロトがストップをかけた。


「リリス姫、お食事をした後のデザートにしましょう」


「何を言ってるの? プリンを食べて、ケーキを食べて、最後にデザートの果物を食べるのよ」


「何ですか、そのメニューは」


 いけませんと叱るアスタロトに頬を膨らませ、リリスは内緒の話を口にした。


「だって、こないだアシュタがいない時に、屋敷で食べ……もごっ」


「な、何でもないぞ」


 慌てたルシファーが口を塞ぐ。だがほぼバレた状態で、これは悪手だった。にっこり笑うアスタロトは再び「後でお話があります」を発動する。項垂れたルシファーをよそに、大公女達は各々食べたい物を注文し始めた。リリスも魚料理とスープ、パンを注文する。


 ルシファーの分だと言って、肉と温野菜の蒸し物も追加したリリスは、何も注文しないイポスを手招きした。


「ご用ですか」


「ええ。イポス、30分ほど休憩して。その後デザートに付き合って欲しいの」


 休憩時間に食事をして、デザートに付き合うのは仕事として提案する。素直に食事しなさいと命じてもいいけれど、それは何か違う気がした。でも休憩時間が長すぎると、彼女は遠慮する。隣に座るようお願いし、リリスは仕事モードに入った2人から少し離れた。


「わかりました。ありがとうございます」


 以前は頑なに断ったイポスも、だいぶ慣れてきた。この主人は何を言っても、最後は自分の思うように叶えてしまう。それが無理矢理ではなく、叶えられる範囲の我が侭だから困るのだ。突っぱねられる内容なら、イポスも折れることはなかった。


 ベルゼビュートがさり気なくフォローに入り、結界を張りながら食事を始める。安心したルシファーは店主と向き合った。

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