表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
連載開始 1巻4/10発売!【完結】魔王様、溺愛しすぎです!  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
77章 解決すれば問題ない

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1062/1398

1056. 追い出されたくない

 リリスの呼ぶ声に転移で飛び込んだルシファーは、足元に置かれた靴箱に躓いた。見本の靴を並べる最中だった室内は、箱や包装紙が散乱している。それらを飛び越えてリリスに駆け寄った。


 室内に控えていたアデーレの指示で、男性スタッフをすべて外へ出す。ルシファーは婚約者の肩書ゆえに免除された。


「リリス、痛いのか?」


 おろおろするルシファーが手を触れようとすると、リリスが身を竦める。触ることもできずに、檻の中の猛獣さながら狼狽始めた。


「陛下、邪魔ですわ」


 アデーレに一蹴され、手が届きそうで届かないギリギリの位置で床に正座する。リリスは涙を流しながら蹲っていた。腹を押さえる様子から、腹痛かと推測する。しかし部屋の中は血の匂いがした。


 吸血種ほど敏感ではないルシファーが気付くのだ。それなりに出血していると見て間違いない。だが近づこうとすると、アデーレだけでなくシトリーやルーシアも阻んだ。


「大丈夫、落ち着いて。深呼吸しましょう」


 リリスを宥めるレライエが、背中をそっと抱き寄せる。その時外で騒ぎが起きた。アスタロトが駆けつけたらしい。中に入れろと告げる声をアデーレが追い払った。ついでにルーサルカに部屋へ男性を入れないよう言い聞かせ、扉の番を申しつける。


 周囲に口止めするほど、リリスの状態は酷いのか? もしかしたら転んで腹に何か刺さったとか?! あたふたと近づこうとしたルシファーは、再度叱られて床に正座し直した。


「陛下、大人しくしてくださらないなら外へ出しますよ」


 アデーレの叱責に小声で謝り、部屋にいたいと呟く。現状でリリスの姿が見えない場所に行くのは怖い。素直にそう告げると、アデーレが少し考えてから言葉をくれた。


「リリス様は危篤ではありません。緊急を要するケガもありませんが、心の傷が残らぬよう女性が手当てしなくてはいけません。わかりますね? 婚約者でなければ、陛下も外へ出される状況です」


「よくわからないが、わかった」


 リリスの容体はまったくわからないが、邪魔をせず大人しくしろと言われたのは理解した。その上で、どうやら男性は手出し無用らしい。心の傷と言っていたから、治療中の姿を見せるのが恥ずかしいのかもしれない。


「えっと……後ろを向いた方がいいか?」


「珍しく気が利きますわね。陛下、ぜひそうしてください」


 慌ただしく入室したベルゼビュートが、笑顔で人差し指を回す。円を描く彼女の指先が示すのは、反対を向けという合図だった。正座を崩して膝を抱え、反対を向く。それでも耳は後ろの音に釘付けだった。


「リリス様、これは……よかったですわ。遅いから心配してましたのよ」


 ベルゼビュートに任せれば、治癒に関しては問題ない。精霊と同じ癒しの魔力を使えば、致命傷以外は治してしまうだろう。ほっとしながら、意味不明の言葉を頭の中で繰り返す。


 遅くて心配した、でも今の状況はよかったと表現した。つまり……めでたいことか?


「ひとまず服の血を消してしまいましょう。それから、こちらの魔法陣を使ってください。血を転送する便利な……あら、魔力を封じられていましたわね」


 困ったようなアデーレの口調に、振り返ろうとして背中に何かが当たる。正確には結界に当たった。


「振り向かないで!」


 厳しい叱責の声はレライエか。そういえば、彼女はいつも翡翠竜を持ち歩いていた。まさかとは思うが、彼がリリスを見たり……さっと血の気が下がる。部屋から男性をすべて追い出す治療の中、愛しいリリスが彼の目に晒されたら! 確実に殺す。


「悪い。えっと、アムドゥスキアスは?」


「アドキスなら窓の外です」


 言われて、そっと首を動かす。室外でガラスに尻を押し付け、しくしくと泣いている翡翠竜がいた。中を見ないよう背を向け、両手で頭を抱えて俯いている。レライエに命じられたのかも知れない。先ほど殺気を向けそうになった相手に、心の底から同情してルシファーも顔を手で覆った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] リリス嬢、女性特有のアノ日(初)でしたか。 おめでとう、お祝いですかね?。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ