表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/107

097  初めていいねされた日


 チビは自己アピールを忘れない。なぜならば誰かに認められたい欲求が強いからだ。なのでチビは自身のフェイスブックに努力や練習している風景の写真を撮影してそれを投稿していた。そこには『自分はこんなに頑張ってるんだから誰か認めてくれ』という悲痛な思いが現れているようだ。しかしこういう人間が真の成功を収めるためにはネットの時間を削減しなければならない。インターネットには様々な知識が集中しているので、知識太りになる可能性があるからだ。それに自分の部屋にこもって一心不乱にキーボードを叩く姿は滑稽である。客観的に自分を見るとかなり異常な状態だ。一日の大半をパソコンの前で過ごすのはいただけない。やはりインターネットの時間を削減しない限りは真の成功は現れないのだ。ところが、今の時代はパソコンが主流となっているからインターネットをしないのはモヤモヤとした気分にはなる。だが胸に抱えているその不安感こそがネット依存の症状だと理解出来る人間は少ない。ネット依存で成功している人間などいないので、まずは依存からの脱却が必要だった。そのためチビは徐々にインターネットの利用時間を制限していた。そんな事をパソコンの前で考えていると、フェイスブックに珍しく「いいね」が押されていた。チビには友達なんていないので誰も見てくれないと思っていたが、意外にも誰かが見てくれていたようだ。


「ボクの投稿が初めていいねされた!」


 1年以上も毎日フェイスブックを利用していいねを押されなかった人物はチビぐらいかもしれない。それぐらいチビは無視され続けたのだ。人間、何が一番辛いかと言えば無視される事だからそれ故に今回のいいねはかなり嬉しかった。チビはパソコンの前で阿波踊りをしながら「えらいこっちゃ、えらいこっちゃ」と鼻歌を唄っていた。あまりに嬉しさに血迷ったかと言われそうだが、これぐらい嬉しかったのだから仕方がない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ