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048  レベルの差


 野球選手としてのゴールは何なのか。最近、チビはそれを思うようになっていた。まだ1軍の試合にも出場した事の無いペーペーかもしれないが、それでも終着点を決めておくのは悪い事では無いと思っているからだ。せっかくの機会なのでそれを聞こうとも思っていた。


「やっぱり1軍時代を知っているからこそ、あの舞台に戻りたいという気持ちが高くなるのかもしれない。もう一度あの舞台でヒットを打ちたいと思っているのが私のモチベーションになってる」


 ミラベルは肉を焼きながらそう言っていた。あの栄光時代を取り戻すために自分は野球を続けているのだと。しかし、ハッキリ言ってミラベルが2軍で試合をしているのは1軍で通用していない訳では無い。少なくとも守備は一級品なので守備固めとしては優秀な人材だろう。試合数が圧倒的に増えたこのご時世で、レギュラーを休ませるためのスーパーサブのポジションは必要である。だが、ミラベルがそれを出来ないのは2000本安打を放ったという功績があるからこそ首脳陣も守備固めとして使うのを嫌がっている。なぜならば、若手が下がって老いた選手が守備に就くというのは選手にとって何よりも屈辱的な采配だからだ。ストレスも相当溜まるし、出来る事なら首脳陣もやらせたくはないだろう。だからミラベルは1軍に出場できないのだとチビは考えていた。しかし、全盛期のバッティング技術を取り戻せば、何があろうともミラベルは1軍に復帰できるだろう。あの一級品の守備力と安打製造機と呼ばれたバッティング技術を生かせば彼女の右に出る者は現状的に考えていないからだ。


「やっぱりそうですか。1軍は活気に溢れた凄い場所なんですね」


 まさしく2軍とは全然違う。別世界と言っても過言ではない。それぐらい環境が違うという事は1軍と2軍ではまったく戦力が違うという訳だ。現に2軍で3割を打っているミラベルにお呼びが全くかからないのはそういった理由である。2軍で3割程度のアベレージではとてもじゃないが1軍では通用しないだろうという考えがあるからミラベルは1軍に出場できない。現時点で打率.188のチビはもう論外という訳だ。


「一度あの興奮を味わえば誰も2軍には戻りたくないと考えるわ」


 ミラベルはそうだと言うのだった。



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