2章~ここまでのあらすじ
かなり大まかになりますが、あらすじを挟ませていただきます。
密護衛の最中。謎のフードの人物から「ルシウス」という名を与えられた経緯をユリウスは思い出す。
その人物はリクサの使者だった。
リクサは秩序神テミスの化身であるとリーベは語った。
彼女にもカロンにも、双方の利があるときに「提案」をしてくるという。
その彼女が提案してきたのが、とある謎の女性3人組の首都までの護衛だった。
そこに暗殺ギルド員が襲撃してきたが、シュトルツが難なく撃退。
うなじの下側に闇の魔鉱石が埋め込まれている者のほとんどが、暗殺ギルド員だと思っていい。
エーレはそうルシウスに教えた。
その道のりにある、交易都市ラデスタでルシウスは、情報屋トラヴィスに引き合わされる。
そこで帝国、王国、聖国の現在の状況。そして暗殺ギルドが帝国か聖国と繋がっていること。
聖国の過激派「新啓派」が、保守派「聖律派」を狙っていること。
現在護衛中の3人がその聖律派であることをルシウスは知る。
その後、たどり着いたのは鉱山都市トルゲン。
鉱夫特有の病気とその惨状を知って、衝撃を受けるルシウス。
そこで見た3人組の女性のうちの一人――ミレイユの魔法を見て、ルシウスは彼女が「聖女ミレイユ」であると知る。
ルシウスとリーベを残して、ミレイユとエーレ、シュトルツがどこかへ向かったことを翌日、何気なく尋ねたルシウスに、冷酷な現実をつきつけたのはミレイユだった。
終身奴隷。そのうちの死を望むものの’’命の鎖’’を絶ってきた。
そんな判断をした彼女たちを受け入れられずに騒いだルシウスに、ミレイユはぴしゃりと言う。
「思いあがった理想はいつしか、貴方と仲間たちの進む道を足元から崩す楔となるでしょう」
そんな彼女が続けた言葉。
「大切なものを大切にしすぎて、壊してしまわないように」
それを聞いたエーレたちは押し黙った。
エーレたちはルシウスに、ほんの少しだけ過去を話す。
今までルシウスに何も話してこなかったのは、足手まといだとか、軽んじてるからではないと。
過去に全てを話し、無駄に荷を背負わせたことで、魔法を暴走させて死んでしまった仲間がいたと語った。
それを聞いて、ルシウスは安堵を覚え、エーレたちが話してくれるまで待つと告げた。
更に翌日、ルシウスはシュトルツから手半剣をもらうことになる。
その剣身にはどこかでみかけたことがあるような、鷲の紋様が刻まれてあった。
次に着いたのは湖上都市フィレンツィア。
自然遺産ヴェリタス湖がある都市だった。
湖には伝説があり「新月の夜に湖を覗くものは未来の自分の姿を見ることができる」
そして、それとは別にシュトルツは3流の怪談のような話を持ち出して言った。
「資格のないものが湖を覗き込むと、精霊が怒って引きずり込む」と。
珍しく平穏な時間を過ごした彼ら。
ルシウスは悪夢を見て、夜中に起きてしまい、夜風を浴びようと宿の外に出た。
そこで身売りの少女に声をかけられ、咄嗟に逃げた方向がヴェリタス湖であった。
奇しくもその日は新月。
ルシウスは恐る恐る湖を覗き込んだ先には、自分と全く同じの――けれど、確実に自分とは違うルシウスが映っていた。
湖に映されたルシウスは、何かを告げて去っていこうとする。
咄嗟に手を伸ばすと、そのまま湖にひきずりこまれてしまった。
湖の底で自分と全く同じ生命力を感じたルシウス。
その先から全く自分と同じ声が語り掛けてきた。
「ユリウスにもルシウスにもなれないなら。僕が君を終わらせる」と。
そこに助けにきたのは、リーベだった。
溺れる前に引き上げられたルシウスは、リーベに抱えられて、体を乾かすために湖の中央の孤島へと向かう。
そこで湖にリーベが映っていないことに衝撃を受ける。
未来を映すと言われている湖に姿が映らす、その先には夜空が映っている。
リーベは語った。
神や精霊には時間という概念が存在していない。
彼らはあらゆる可能性の世界軸に同時に存在している、と。
つまり、湖に映らなかったリーベは、あらゆる可能性の未来に存在していないことになる。
運命には法則が存在している。自分たちはその法則を打ち破ってくれる存在を探している、とリーベは続けた。
翌日。ルシウスは仲間に勧められるまま街へと新しい服や必要なものを買いに出かける。
その帰りに魔鉱商へ立ち寄り、そこから帰る先で、呼び止められた。
そこには、ルシウスの護衛騎士隊長――アルフォンスの姿があった。
カロンの3人が帝国皇太子――つまりルシウスを拉致した容疑で捕縛命令が下りている。
アルフォンスはルシウスにそう告げた。
帰らない、と首を振るルシウスに、「大切に思うなら、殿下が身を引くべきだ」と引かないアルフォンス。
深夜0時にここで待っています。
それだけ言ってアルフォンスは姿を消した。




