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調和の王〜影から継がれたもの〜  作者: 俐月
1章

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25/204

ここまでのあらすじ(prologue~レネウス編)

 

 ラクセンベルク帝国――皇太子ユリウスは、とあるキッカケから城を飛び出した。


 父である皇帝からの支配から、当てもなく逃げていたのだ。



 彼は、追手に追われて逃げた森の中で、魔物に襲われる。

 魔法を、未だにうまく制御できないユリウスは死を覚悟したが、謎の男3人に助けられる。



 エーレ、シュトルツ、リーベと名乗った彼らに、押し切られる形で、同行することになるユリウス。


 どこからともなく現れた彼らが、どうしてユリウスと行動を共にしたがるのか。

 ユリウスは、名前以外は明かさず、何も話さない彼らを不信に思い、何度も逃げ出そうとする。



「君の置かれた状況は、よーくわかっている」



 ユリウスを引き留めたのは、シュトルツだった。

 尚更、身の危険を感じたユリウスだったが、彼らと進む森の中で逸れ、また魔物に襲われてしまう。

 そこに危険を顧みず、助けてくれたのもシュトルツだった。



「君の恐れていることは絶対に起きない。

 俺たちのことを見て、判断してほしい。逃げるのはそれからでも遅くないでしょう?」



 そう言った彼の言葉にユリウスは少しだけ、心を開き始める。




 たどり着いたのは、帝国最南端に位置する――湾港都市レネウスだった。


 彼らは、レギオンに所属する傭兵のグループであり、クラン名は「カロン」というようだ。

 3日後には王国に渡る船に乗る――という彼ら。

 それまでの間、ユリウスはリーベに、魔法の制御を教えてもらうことになった。


 リーベと魔法の訓練に向かう前に、2人はエーレとシュトルツがどこかへ行くのを見かけた。

 怪しい2人の後を追うと、彼らが貧民に食料を施しているのを目撃する。

 意外すぎる一面に愕然としていたユリウスに、リーベは「独善」であると非難する。



 城で何不自由なく、暮らしていたユリウスは目の当たりにした現実に、迷いを覚えることとなった。



 魔法の訓練中、やってきたエーレとシュトルツが、近日中に群れの嵐(ホルデンシュトゥルム)が街を襲うという、事実を告げた。

 しかし、彼らは面倒ごとに巻き込まれる前に、街を出ると言った。

 大事が起きることを知って、知らないふりをしようとしている彼らに、ユリウスは激怒する。



 対して、「エーレの決定は絶対」という彼ら。

 気絶させられてしまったユリウスが、次に目を覚ましたとき――すでに街には魔物が押し寄せてきていた。




 ユリウスは門のすぐ先で、繰り広げられる乱戦――


 街でしばしば見かけて、食べ物を与えていた犬が、魔物化していることに気づき、咄嗟にその中に飛び込んでしまう。

 その魔物だけでも、どうにかしようとしたユリウスに、辺りの魔物が一斉に牙を向いた――

 間一髪のところで助けたのは、エーレだった。



「さっさと終わらせるぞ。力を貸せ」という彼に、ユリウスはわけもわからないまま、援護する。


 どうにか無事、魔物の群れを浄化し終えたエーレは、何故か苦しみだし、その場で倒れてしまった。



 エーレが目が覚めるまで出航が延期になり、ユリウスは下手に迷うことをやめて、自分に今、出来ることをしようと決心する。

 そうしてレギオンの食堂で働かせてもらっている間に、ユリウスはおかしなことに気づく。



 魔物を退けた功労者が、エーレではなく、街を空けていたはずのレギオン職員――ダリアだということになっていた。

 ユリウスは、何かによって、まるで事実が塗り替えられているような、気味の悪さを覚えた。




 出航の日――ダリアに尋ねると「私にも詳しくはわからない。カロンに説明してもらいなさい」と告げられる。

 貨物船に乗りあったユリウスとエーレ率いる2人。



 ユリウスは、目の当たりにした不思議と、彼らの抱える秘密を聞き出すために、彼らの部屋へと向かうのだった。








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成長/革命/復讐/残酷/皇族/王族/主従/加護/権能/回帰/ダーク/異世界ファンタジー
― 新着の感想 ―
短編集「Unremarkable」の感想投稿以来、お久しぶりです。 こうしてまたお話を振り返る機会をいただけて嬉しいです。 あらすじをまとめることで、まるでアニメの総集編のようにストーリーの全体像…
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