平穏の音が止まるとき~2章完結までのあらすじ
暗殺ギルド襲撃をどうにかやり過ごした彼らは、首都目前にして奇妙な少年と遭遇する。
身の丈に合わない法衣、白髪ウルフカット、灰色と金色のオッドアイ。
少年はエーレたち3人を見て「久しぶり」と言った。
回帰している彼らの背景を知るような素振りの少年に、エーレは神の権能を持っていることを悟る。
無邪気に楽しそうに振舞う少年に、3人が振るう剣は届かず、少年はルシウスはエーレの仇敵であるとほのめかした。
何故ならエーレは、帝国皇帝が裏で糸を引いて滅ぼした、王国の前王室の生き残り。第一王子であると。
「ゲームをしよう! 僕たちの存在を賭けた神々の椅子取りゲームだ!」
謎だけ残して、少年は消えた。
首都についたルシウスは一人、空を見上げて思考をぐるぐるさせる。
夜空に浮かぶ星の軌跡を見て、この旅の始まりを思い出し、エーレに話を聞こうと決意。
そこにシュトルツがやってきて、ルシウスを外へと誘いだした。
そこにはすでに待っていたエーレとリーベ。彼らが向かったのは、王国の王城――その裏にある小さな森を抜けた先だった。
今は使われていない、捨てられた連絡塔。
昔のことを懐かしそうに話す3人を見て、彼らが幼少期からの仲であったと気付くルシウス。
そしてエーレは自分の本名と出自、過去を語った。
闇の本質を生まれ持ち、存在を隠蔽されていた王国第一王子――シオン・ルクリツィア・アルバ・ディ・エーベルシュタイン。
シュトルツは王家の剣としての出自であり、シオンの従者だった。
リーベは王家と姻戚関係のある公爵家嫡男。
エーレの末の妹――アイリスの婚約者であった。
前王室が滅んだあと、クロノスの加護をも持つアイリスとリーベは軟禁され、エーレは闇の本質の利用価値を見い出されて、皇帝に連れ去られた。
シュトルツは事件より2年前に廃嫡されたため、全てが起きてから事実を知り、当時のエーレを探したという。
そして彼らは続けた。
俺たちはもう死んでいる、と。
クロノスの権能は命と引き換えであり、もう俺たちはこの世にはいない、と。
そして今回が6度あるうちの4度目の回帰だった。
混乱するルシウスは、自らがエーレの敵であることに衝撃を受ける。
しかし「俺はエーレであって、シオンではない」とのエーレの言葉。
ユリウスではなく、ルシウスーー古代言語で「光を持つ者」だった。
そしてルシウスは自らの過去を語り出す。
父である皇帝に認められたい一心で頑張り続けてきた過去。
塔の地下で知った真実。自分は’’成功作’’であっただけで、’’失敗作’’の兄妹がすぐ近くで殺されたという事実。
兄妹に憎しみをぶつけられ、城から逃げ出した臆病者である、と。
全てを聞いたエーレの「よく頑張った」にルシウスは自覚する。
父を憎んでいる、けれどそれだけではない。自分は父に愛されたかったのだ、と。
整理も出来ず受け入れきれないことも多いが、それでも全てを受け止めて。ユリウスの全てを引きつぎ、ルシウスとして生きていくことを再度誓うのであった。
号泣して疲れて眠ってしまったルシウスの傍らで3人は短い話をする。
代償のことをルシウスに隠したままにする。その決定。
エーレは最後に2人の仲間に向けて、覚悟の言葉を告げた。
翌日、カロンの4人はミレイユに連れられて、リクサへと合いにいく。
その時、ルシウスはゼファがエルフであることを知る。
そして打ち捨てられた教会から繋がれた、エルフが作り上げた空間の中にリクサはいた。
老婆か少女かわからない顔をベールで隠した不思議な女性。
エーレはレナータの裏切りについて言及する。
リクサが知らなかったはずがない、と。
いくつかのやりとりで、エーレはリクサに激昂し、剣を抜いた。その時――進み出てきたゼファの霊奏によって圧倒的な力の差でねじ伏せられる。
ルシウスは見ていられず、エーレを庇うように飛び出した。その時リクサの制止がかかる。
そしてリクサから再び、エーレたちのこと、そして首都目前で介入してきた奇怪な少年のことを聞くのであった。
話が終わり、エーレたちがゼファから報酬を受け取るのに別室へ向かう。
リーベとルシウスはリクサが残され、リクサは自らの正体を明かした。
彼女は2000年前、レヒト教会を立ち上げた教祖。神の灯と呼ばれた聖アメリアという偉人であった。
リクサにも一つ、目的がある。
けれどクロノスの権能を放置するのは、秩序を司る神としてテミスは許容できなかった。
だからリクサを通して、彼らに協力する形をとっている。
リクサの目的は、彼らの望む未来の先にある、とも語った。
別室にいたシュトルツとエーレは、よく知る真っ白な部屋で昔のことを思い出す。
エーレを当時、暗い牢獄から助けだしたばかりの時の記憶。
過去を想起させ、シュトルツは再び、自らの今の名前にかけて覚悟を決めなおした。
教会を出た先には、ミレイユが待っていた。
法衣を脱いだ彼女は、今までとは一変。厳格で正しさのイメージを脱ぎ捨てて、年相応の女性の表情を見せた。
驚愕するルシウスに対して、シュトルツとリーベは、あれが彼女の素だと教える。
聖女ミレイユと今のミレイユは別人であると語ったミレイユに無理やり連れられ、街に繰り出すことになった。




