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25 妖精ロリのエントリー

 ◆◇◆


 翌日の放課後。

 アニ研の部室。


「こんちはー」

 俺がガラガラと戸を開けて入っていく。


 窓際にセーラー服姿のニーナちゃんが立っていて、逆光で銀髪ツインテールが(きら)めいてる。この世のものと思えない美しさ。


 いつも俺が現れるなり、ニーナちゃんはトタトタ走ってくるが今日は来ない。


 ニーナちゃんは俺を一目見てうつむいた。

 俺は頭を掻きながら、ニーナちゃんのそばに歩いて行く。

 他の部員は離れたところにいる。


「きのう、弁護士さんが来たです。わたしがゆきとさんのお嫁様候補に選ばれたって」


「驚かせてごめん……当然、お断りだよね」

 俺はニーナちゃんが参加者に含まれているのを見て驚いた。


 でも、ニーナちゃんは絶対に参加しないと思い直した。

 北欧の妖精さんが俺なんかのお嫁様になろうと思うはずがない。


 もしニーナちゃんと結婚すると、ノルウェー人と日本人の国際結婚になっちゃって大変そう。

 ニーナちゃんの親が反対する。いくら親日家でも、大事な娘を嫁にやろうとまでは考えない。


 つくづくお嫁様バトルロワイヤルが憎い。

 氷室さんがニーナちゃんに参加を要請しなければ、ニーナちゃんとは友達でいられたのに。


 ニーナちゃんに参加を断られて、お互いに気まずくなってしまう。


「わたしは、参加(エントリー)させていただきますです」

「えええっ!?」

 俺はめっちゃびっくりしてニーナちゃんを見る。ニーナちゃんも俺を見返す。


「勘違いしないでくださいです。わたしはお金のために参加するんじゃないです。ゆきとさんが大好きだからなのです」

 ニーナちゃんが想いを伝えてくれている。


 ツンデレのセリフを擬装しているけど、ニーナちゃんはツンデレじゃない。厨二病が入っているだけだ。

 それにツンデレだったら「お金のためなんだからね。ゆきとさんは好きでもなんでもないんだから」と言うところだ。真逆である。


 確かにニーナちゃんは以前から俺に好感を持ってくれて、(した)ってくれているようだったけど、これほどだったとは……


「お父さんとお母さんは反対しないの?」


「親は関係ないのです。わたしがしたいからするのです。ゆきとさんと結婚するのが、わたしの運命なのです」

 ニーナちゃんがこんなに自己主張する子だったなんて衝撃を受けている。


「で、でもやっぱりお父さんお母さんが反対しているんじゃダメだよ」


「お父さんとお母さんは賛成しているのです。ゆきとさんがお皿洗いをがんばってたから。ゆきとさんなら、わたしを任せられるって」


「ま、まじ……?」

「ゆきとさんは、ほんとうはお金持ちだったのに、下積みを経験してえらいって言ってますです」


 なんと……俺は皿洗いをひたむきにやってたのが、ものすごく信頼を獲得してたんだね。

 下積みもやっとくもんだなぁ


「でも、ゆきとさんはお皿洗いのアルバイトを辞めちゃうんですよね?」

「ま、まあ。そのうち辞めるって言おうと思ってたんだよね」


 俺は1兆円持ってるからね。今まで使ってもらって申し訳ないが、もはや働く必要がない。

 週に二、三回、2時間ほど働かせてもらってたけど、これからは家でゲームでもしてたいね。


「やっぱり……でしたら、なおさらわたしもバトルロワイヤルに参加しないといけないのです。ゆきとさんと一緒の時間をいっぱい過ごしたいです」

「ニーナちゃんもタワマンに引っ越して来るんだ?」


「はいです。わたしはもうお店の手伝いをしないのです。わたしの全力をもってして、ゆきとさんのお嫁様に選ばれるよう、がんばりますです」

 格闘マンガみたいなセリフを口にするニーナちゃん。


 俺は震えが来る。


 ニーナちゃんも決意を抱いて参加してくれるなんて……

 まさに英霊級の戦いになってきた。


 本命は千紘姉さんだけど、ニーナちゃんなら対抗しちゃいそう。勝るとも劣らないビジュアルだから。しかもどっちも天然の良い子だし。


「わたし、選んでもらえて、うれしいです。よかったのです」

 ニーナちゃんは熱く語ったのが恥ずかしくなったのか、小声になる。顔を赤くしてうつむいた。


「ありがとう、ニーナちゃん。タワマンで楽しく過ごそう。多分暇だから、一緒にアニメ見たり、ゲームしたりできるよ」


「はいっ 夢のようなのです」

 ニーナちゃんが喜んでくれて、俺もうれしい。


 かわゆいニーナちゃんとの関係が気まずくならなくて、本当にホッとした。

よろしければブクマ、ご評価をいただきますと励みになります。

面白くないんじゃと不安でいっぱいです。

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