26 ギャルが添い寝
…………
「も、もう大丈夫だよな」
俺は理性を振り絞って、桃香の両肩を押さえて引き離した。
「う、うん。大丈夫。ごめんね、倒れちゃって」
桃香の顔が真っ赤だ。
「いや、俺が1時間も正座させたせいだし」
「立ち上がるまでは何とか耐えられてたんだけどな」
「もはや感覚がなくなってたんじゃないかよ……」
苦笑してしまう。桃香ってけっこう頑張り屋さんだ。
「えっと、ゆきとは温泉に行くんだよな」
「あ、ああ。桃香も入ったら」
温泉に入るつもりだったことを思い出す。お互いにちょっと恥ずかしい。キスしそうな空気になっていたから。
俺と桃香はタオルを持ってもう一度温泉に行く。
屋内風呂と露天風呂を何往復もして、のぼせ上がるまでつかっていた。
ふぅ……温泉旅館って楽しいな。
麿莉奈と日帰りデートで温泉旅館に行った時も楽しかったけど、お泊まりするとさらにのんびりできていいや。
◆◇◆
部屋に帰ると、やっぱり桃香の方が先に戻っていた。俺と2人きりでいられる時間がちょっとでも欲しいんだね。
歯磨きして、寝ることにする。
「おっおやすみ」
俺はさっさと布団に入ってしまう。起きていると桃香とやらしい気分になりかねない。
「なあ、ゆきと。お願いだから、ゆきとの布団で寝させてくれないか?」
「は……?」
「何もしないし、ゆきとがあたしに何もしなくてもいいからさ。あたし、ゆきととお泊まりできるのをずっと楽しみに待ってたんだ」
桃香が切ない声で訴えて来る。桃香の手は俺の布団をまくり上げて、入って来る気まんまん。
お泊まりデートの課題が決まってから桃香は自分の番が来るのをワクワクしていたらしい。
普段タワマンでは、別々の部屋で寝ているもんね。待ちに待ったと言われちゃうと、とても断りづらい。
「俺はほんと眠いんで、寝ちゃうけど」
実はあまり眠くなかったりする。さっき1時間寝たし。
「うん、ゆきとは寝ててよ。あたしはゆきとにくっついて寝られたら、とても幸せな気持ちになるから」
桃香が俺の右側に仰向けに寝そべり、肩が触れる。
俺はちょっと左にズレて、桃香が寝るスペースを作ってやる。桃香がまた俺の方へ寄って来た。
「布団狭くない? ちゃんと寝れてる?」
「大丈夫だよ、ありがと。あたしのこと、嫌いじゃないよな?」
桃香は俺がエッチなことをしないから不安を感じているみたい。
「なわけないでしょ……正直俺は桃香が気になってしょうがない。バトルロワイヤルの勝負を公平にしないといけないってことだから、わかってくれ」
「良かったぁ ゆきとに嫌われたら、あたし生きていけないよ」
「ははは、嫌いなわけない」
「ゆきと、大好き♡」
ほっぺにチュッとされた。
「えっ!?」
「ありがと、おやすみ、ゆきと」
桃香がびっくりしている俺に構わず寝る宣言。
多分桃香は、俺にもお返しのほっぺチューをして欲しいんだろうけど、しなくていいと伝えている。
俺の立場上、桃香だけ特別にチューするとかできないとわかってくれているのだ。
桃香は俺に気を遣わせないで、やさしい子だよ。エッチしろとせがまれると困るから、桃香が一方的にほっぺチューするので済ませてくれてとても助かる……
俺は寝てるふりをすることにした。
隣でドエロなボディの黒ギャルが浴衣姿で寝ていると、やっぱり寝られない。無防備どころか、俺に手を出されたい子だからね。
俺の下半身を抑え込めるかどうか。さっきからドキドキしっぱなしで、テント張ってる状態。高校生男子だから、しょうがない。
藍と麿莉奈とお泊まりした時よりも我慢するのが大変。
お嫁様選びって、つらいなあ……
◆◇◆
昨夜は悶々としてしまい、明け方になってようやく眠れた。
桃香はすやすやと寝ているから、起こさないようじっとしてないといけなかったし。
目が覚めたのは9時過ぎ。
桃香は先に起きたんだけど、俺が寝ているのを起こさないでいてくれたみたい。
朝食は9時半までだから、俺たちは急いで大広間に食べに行った。
朝ご飯を食べた後、もう一回温泉に入る。
チェックアウト時間の11時近くまで、部屋でダラダラした。
私服に着替えて、出掛ける準備は完了。
「ゆきと、今日はどっか行く?」
「ん? デートプランを考えてくれてるんじゃないの?」
俺は女の子に丸投げして、気楽な立場である。
「2日目は特にこれってのがないんだ。一応、近くの観光地を調べてはあるけど」
「ふうん、どんなとこがあるの?」
「東尋坊、永平寺、丸岡城……」
桃香がスマホを取り出して読み上げる。
「渋いな。東尋坊って自殺の名所だろ。俺でも知っているくらいだから超有名」
デートで行くところなのかは疑問。行くカップルもいるんだろうけどさ。
どこも行ったことないから行ってみてもいいけどね。
永平寺は確か座禅で有名なお寺じゃなかったけ。高校生が就学旅行で行ったりするところだ。
俺も座禅をして、「喝っ」って木の板で叩いてもらったら煩悩が退散するかもしれないな。
でも、美少女5人と同棲しているから、座禅くらいで煩悩が無くなるとは思えない。
「越前松島水族館があるけど、水族館は日帰りデートで行ったし。芝政ワールドが柚子香のおすすめなんだけど」
「おおっ いいじゃん。プールだ」
俺は地元のテレビで芝政ワールドのコマーシャルを見たことがある。
ウォータースライダーから若い女性が滑り降りてくるのだ。遊園地もある複合レジャー施設である。
8月で暑いし、天気は晴れるらしいからちょうどよい。
「でも旅行に来てプールっていうのも……ゆきとを疲れさせちゃうし」
桃香は意外に遠慮をする。
「まあ今岡市の近くにもプールはあるけどさ。せっかくこの辺に来たんだから、芝政ワールドに行こうぜ」
「マジでいいの? あたしとだけプールに行くなんて」
桃香は俺とプールに行くのが特別なことと思っているみたいだ。プールに男女2人で行くと、彼氏彼女で付き合ってるってことだから。他の4人の女の子がめちゃくちゃ羨ましがって、怒るかもしれない。
「桃香の考えたデートプランてことにすれば文句は言われないでしょ。他の子もプールに行きたいって言い出したら今岡市のプールにみんなで行けばいいし。あ、でも水着持ってこなかったか」
「実は、水着を持ってきたんだ。ゆきとの分もあるよ」
桃香が恥ずかしそうにする。
本音では桃香は俺とプールに行きたかったのだ。でも俺がプールで疲れちゃうと悪い気がして、桃香からは言い出せなかった。いじらしい子だ。
「ははは、ありがとう。じゃあ行こうぜ。柚子香ちゃんのおすすめなんだし、きっといいところだ」
日帰りデートで、柚子香ちゃんおすすめの能登島水族館に行ったのは素晴らしかった。柚子香ちゃんはずっと入院してて、俺とデートする妄想に浸っている子だ。
色んな行先をシミュレーションした結果、選ばれたところであればいいところに違いない。桃香は、柚子香ちゃんという心強い味方が付いているね。
「柚子香の話だと、芝政ワールドのプールは夜にライトアップして、すごく綺麗らしいよ」
「ナイトプールってやつだ。おしゃれだな」
リア充っぽい。ぜひ桃香と行ってみたくなる。
ブラック労働のため鬱状態がひどくなり、しばらく投稿をお休みしてしまいました。申し訳ございません。
今後も投稿を続けて参りたいと思いますので、ブクマ、ご評価を付けていただくなど、励ましていただきますと大変ありがたいです。




