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11 完璧な嫁

「や、止めて下さい。女の子がドン引きしちゃいます」

 俺とその女の子の淡い恋心が砕け散ってしまうんじゃ……怖いよう。


「ふふ、大丈夫ですよ。絶対に話に乗ってきます。女の方が男より成熟が早くて、幸斗様の好意に気づいていますから。今さら恥ずかしがることはありません。あと、男の子はいくつもの恋を持っている生き物だってことも理解してますって」

 氷室さんはニヤニヤして、おばちゃんぽく(さと)してくる。


「そ、そうなのかなぁー」

 女の子って男より大人な感じがするのは認める。

 男がチラ見しているのは、全部気づかれているらしいしな。


「大事なことを付け加えておきますと、1年後、幸斗様はこの5名全員を愛人にするというハーレムエンドは禁止ですからね。誰か1人をお嫁様に選んでください!」

 氷室さんがびしぃっと言い聞かせてくる。


「そ、それは当たり前ですけど……」


「しかも離婚は禁止です。選んだ女性とは一生添い遂げていただきます。離婚したら全財産は没収ですよ。おじい様の遺言に書かれてますから差し押さえますね、ふふ」

 氷室さんの目は笑ってない。


「言われなくても離婚はしたくないですって」

 せっかく愛し合って結婚したのに別れるのは悲しいからね。


「お嫁様バトルロワイヤルは、幸斗様にとっても一回切りの真剣勝負。素晴らしい女の子たちばかりですから、お嫁様を決め難いでしょう。ですが1年後、幸斗様は決めないといけません」


 うう……

 俺の緊張感が高まっていく。


「よくあるハーレム物のようでいて、実は純愛物語なのです。おわかりいただけましたでしょうか?」


 女の子5人を競わせることは問題じゃないかという俺の疑念について、氷室さんは答えを匂わせている。


 お互いに1番愛し合える人を決めるわけだから、純愛を求めていると言えなくはないかもしれない。


 そして1人に決まった後は完璧に純愛だね。


 でもさぁ……何が採点する俺の方は気楽な立場だよ……全然気楽にできないじゃん。


 女の子をえらそーに採点できるなんて、超自己中の傲慢な男だけじゃん。

 俺には無理でーす。


 お嫁様候補の筆頭は千紘姉さん。

 直感的には千紘姉さんの圧勝と思っちゃうけど、他の参加者もかなり強力そう。

 彼女らの繰り出す必殺技を適当に受け流すなんて失礼なことは許されない。


 俺もバトルロワイヤルの当事者として、真剣さが求められるはずだ。

 ぶるっと震えが来た。


 しかし……

 お互いに好意を持っている女の子が集められるというのに、1人だけ俺の知らない子がいるのは一体どういうことなのか。


「こ、この御池(おいけ)磨莉奈(まりな)さんて誰なんですか……」

 俺は紙を持つ手が震え続けている。


 そこで氷室さんは隣に座った美少女をちらっと見る。


「ウチです。ウチはおじい様の勧めやから例外的に参加させてもらいます。幸斗さんとは初対面で若干不利やけど」

 美少女が顔を赤くさせて呟いた。


「き、君が……」

 俺が知らない名前の女の子は、この美少女なのだ。ウチって、関西弁で私のことだよね。


「ふ、ご紹介が遅くなり申し訳ございません。こちらの女性が御池麿莉奈様。京都の由緒ある名家のご令嬢です」

 氷室さんは何がおかしいのか微笑を浮かべている。


 麿莉奈っていかにもお嬢様って感じの名前だよね。御池って、どっかで聞いたことがある。御池電機……よくテレビとかでコマーシャルやってる会社があるけど……


「ご明察。御池電機ですよ」

「……氷室さんは超能力者ですか……俺の考えていることをことごとく当ててくるんですけど」


「たまたまですよ。御池電機は経営不振に陥って、六文銭ホールディングスに救済を求めました。おじい様は、御池電機を救済することにしました。麿莉奈様を幸斗様のお嫁様として差し出すことを条件にして」

「いいいっ!?」


「御池家のご令嬢は財閥や政治家との政略結婚のため、どこに嫁に出しても恥ずかしくないよう完璧な教育がなされます。おじい様が大事な幸斗様のお嫁様候補として目を付けるのは当然でしょう」

総合評価が100Pに達しました。

たくさんのブクマ、ご評価ありがとうございます。

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