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19 優等生にざまぁする2

「本当だ。邪魔すんじゃねーよ。金田は女の子3人とよろしくやっとけば」

 俺も言い返す。


「ふ、そうだ。僕は合コン中でね。イマイチ高の女子がぜひ今岡高生と合コンしたいと言うからね」

 金田が髪をかき上げて、虚勢を取り戻そうとする。


「へえ。男は金田1人かよ」

「ああ、他の男は都合が悪くなってねぇ。だが女の子たちは僕1人でもいいってさ。僕は将来医者になるからねぇ」

 金田は得意の絶頂。


 俺は女の子3人を横目で見る。イマイチ高生だと言われてみれば、どっかで見た気がする。同じ2年生で別のクラスだろう。

 女の子たちはひそひそ話し合っている。


「あ、あの、六文銭幸斗さんですよね。2年B組の」

 女の子の1人が話しかけてくる。


「そうだけど、何か?」


「やっぱり」

 女の子3人がとてもうれしそうな顔をする。


「ん、ど、どうしたの?」

 金田は女の子たちの俺に対する好意的反応が理解できずに戸惑っている。


「ねえねえ、六文銭さん、私たちと遊びましょうよ」

「ぜひぜひ」

「タワマン最上階に住んでるんでしょ。お部屋を見せて下さいよぉ」

 3人とも身を乗り出して来る。


「え? 今、金田と合コン中でしょ」


「どうでもいいです。こんな上から目線のゴミ」

「こいつはせいぜい勤務医なんで、六文銭さんには遠く及びません」

「医者になって稼げるまで10年も待てないしー」


 女の子たちが雪崩(なだれ)をうって寝返ってきた。俺の富豪ぶりはイマイチ高で知れ渡っているようだ。


 女の子って、ちゃっかりしてる。金田の将来性よりも、俺の金に目が(くら)んでいる。

 普段の俺だったら、金目当ての女は相手にしないんだが、金田が隣にいる。

 女の子3人を奪ってやるか。


「いいよ、一緒にどっか遊びに行こう」


「「「やったー」」」

 女の子3人が大喜び。


「ふふ」

 千紘姉さんも薄笑いしている。俺の(たくら)みをわかってくれたね。孤児院と呼んだ奴に天罰をくれてやるのは構わないんだろう。


「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ。君らは僕と」

 金田が狼狽(うろた)えまくっている。


「まだいたの?」

「あんたなんか、親ガチャにたまたま当たっただけなんだから偉そーにしないでよ」

「キモいから早く消えて」

 嫌われまくっている金田。


「そ、そんな……どういうことなんだ……」


 女の子に見捨てられ、打ちひしがれる男を見るのって心地よいね。積年の恨みに加えて、千紘姉さんとのせっかくのデートを邪魔された不快感を晴らせた。


「さ、行こう」

 俺はコーヒーを急いで飲み終えて立ち上がる。


「「「「はーい」」」」

 一斉に立ち上がる女の子3人と千紘姉さん。


 俺は女の子4人を引き連れてミスドを出る。

 振り返ると金田がテーブルに突っ伏している。全否定されて泣いているな、ククク。


 この世はしょせんガチャに当たるかどうか。上には上がいると思わなかったのは愚かだな。


 勤務医って過労死するほど忙しいと聞いたことがある。人の役に立つ偉い仕事だと思う。

 金田が過労死したら、尊敬してやってもいい。女にモテるためとか思わず、心を入れ替えて頑張ってほしいものだ。


 金田は俺がどうにかするまでもなく、倒してしまった。金田が弱いんじゃない、俺が強すぎるんだろうが……さて、どうしたもんか。女の子3人を引き連れていたら、千紘姉さんのデートプランが狂ってしまう。どうにか穏便(おんびん)にお引き取りいただかないと……そうだ。


 俺たちは歩いて、すぐ近くにある今岡駅前のデパートに入る。田舎でも地場のデパートがあるのだ。


 俺は振り返って女の子3人に向き合う。

「悪いんだけど、俺はデート中でさ。このデパートでなんか欲しいものがあったら……」


 財布から名刺を取り出す。デパートの外商の人の名刺だ。先日、なんか欲しい物があれば呼び出せばいいと氷室さんから名刺を渡された。


 財布は誕生日プレゼントで麿莉奈がくれたブランド物だ。


「あ、六文銭さんの財布……」

「素敵」

 女の子たちは、ぱっと見ですごい財布だとわかったみたいで感嘆している。俺は女子に驚かれていい気分。


「ふふ、デパートの人にこの名刺を見せて、俺の名前を伝えれば、お持ち帰りしていいよ。好きなようにお買い物して」


「ふえぇ」

 名刺を受け止った女の子が驚いている。


「六文銭さん、いいんですか?」


「いいよいいよ、金田にざまぁできた御礼だから、服でも、アクセサリーでも何でも選んだら」


「すごすぎ」

「かっこいい」

「さすがぁ」

 女の子たちが尊敬の眼差(まなざ)しで見て来る。


 ちょっと気前が良すぎるかもしれないけど、女の子たちを穏便にお引き取りいただくためだからな。何十万円と買い物されても、俺にとってはゴミのような金額だし。


「「「わーい」」」

 女の子3人は大喜びでデパートの奥に進んで行った。


 俺は千紘姉さんの方に軽く頭を下げる。

「ごめんね、邪魔が入っちゃって。また2人きりに戻れたから、デートを再開しよう」


「幸斗は人気者ね」

 千紘姉さんが左手を差し出してくれる。


 俺は右手を出して繋ぐ。


「俺は千紘姉さんだけがいい。姉さんはデパートで買い物は?」

 デパートはデートプランにないんだけど、せっかく来たから買い物して行ってもいい。


「ううん。私はお買い物に興味ないから。早くデパートを出た方がいいんじゃない? さっきの子たちにまた捕まっちゃうよ」


 千紘姉さんはブランド物とかに(あこが)れは全くないらしい。金のために俺と結婚したいわけじゃないから、俺本体を好きでいてくれてるんだなと感じる。


「じゃあ次はカラオケだね」

「行こ、幸斗」


 今日はあくまで高校生らしいデートをする。

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