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17 千紘姉さんとプリクラ

「私もやってみていい?」

「やってやって」


 俺は千紘姉さんのために100円玉を入れてあげる。

 意外にも千紘姉さんが上手にクレーンを操作。


 またしても箱の外側をクレーンが挟むことに成功。

 箱が持ち上がる。


「いい感じじゃない!?」

「うん。さっきよりゴールに近いから行けるかも」

 ゴールまであと数センチだ。


 ズズズ、ボトッ


「あああああ」

 千紘姉さんが悲鳴。


「やっぱ、難しいね」

 俺としてはフィギアをゲットできなくても、千紘姉さんの反応を見ているのが楽しい。


「うう……」

「もっかいやる?」


 千紘姉さんが首を振る。

「もう十分よ。ねえねえ幸斗、あれってプリクラって言うんでしょ」

 指さした先にあるのは、キラキラした女の子の写真の白い機体だ。


「へえ、姉さんもプリクラを知ってるんだ」

「クラスの女の子が見せ合ってたの」


「今どきは女の子どおしで撮るんだろうね」

「私、幸斗と一緒に撮りたいんだけど、いいかな?」

「もちろん! 撮ろう撮ろう」


 俺たちはずらっと並んだプリクラの機体の一つに入る。『ずるいくらい可愛くなれる』機体だ。


「一回500円もするんだ」

 右側に立つ千紘姉さんが驚いている。姉さんの金銭感覚では大金だが、俺にとってはどうということはない。


 俺が500円入れると、機体からアナウンスの声が流れてくる。


「背景を選んでね♡」

 女の子の甘えるような声だ。


 画面に背景の色の候補が表示されている。

「うーん、意味がわからないわね。愛されピンク、愛でられオレンジ……普通のピンクとどう違うのかな」


「女の千紘姉さんにわからなかったら、俺はなおさらわからない。姉さんが決めてよ」

「じゃあ、愛されピンク」

 

「カメラを好きな角度に調整できるよ♡」

 またアナウンスが流れる。次はカメラのアングルを決めるらしい。


「私にはどの角度がいいのかわからないわ」

「基本は正面でいいんじゃないかな」

 俺たちは画面を下手にいじらないことにした。


「ポーズを決めて、撮影ボタンを押してね♡」


「幸斗、くっつこ」

「うん」

 狭い空間で、俺たちは身を寄せ合い、顔をくっつけた。俺はピースする。


「撮影ボタン押すね」

 千紘姉さんが右側にあるボタンを押す。


「3♡、2♡、1♡……」

 画面になぜかハートマークが付いた文字表示とアナウンスが流れる。


 目の前でフラッシュが焚かれる。


 画面に俺たちの写真が表示された。

 キラッキラで白い写真だ。


「俺が、ずるいくらいに可愛くなっているな……」

 女の子みたいに画像が改変されている。

「幸斗が女の子みたい。おもしろーい」


 一方、千紘姉さんは女神のように美しく輝いている。


「このタッチペンで落書きをするんだな」

「小顔レベル選択ってなんだろ?」

 千紘姉さんが指で押すと、俺たちの顔が変わる。(あご)が細くなっって、俺がますます女の子みたくなる。


「完全にフェイクだな」

「おもしろーい」

 千紘姉さんは小顔レベルボタンを連打。見比べてみるが、結局、小顔なしを選択した。


 俺はタッチペンで落書きしている。千紘姉さんの隣に、白色でハートマークを書いた。


 千紘姉さんは天然で鈍感だからな……ハートマークを書いても俺が姉さんを好きすぎるってことが伝わらないかもだ。ただの落書きだと思われてそう……


「LOVEのスタンプも押しておくか」

 俺は千紘姉さんの周りにLOVEの字を表示しまくる。


「瞳うるうるだって。あ、ほんとに瞳がうるうるになってる。おもしろーい」

 千紘姉さんは顔の改変に夢中。


 俺たちは時間の限り盛りまくった。


「プリができるまで、ちょっと待ってね♡」

 アナウンスの後で俺たちは機体から出る。


 待つこと数分で、写真が出てきた。

 俺が写真を取り出す。


「うわ、白い」

 画面で見ていた以上に、全体的に白くて光沢のある写真が出来上がった。俺は自分じゃないようで、気持ち悪く見えるんだが……


「幸斗がかわいいよー」

 千紘姉さんが喜んでいるから、まあいいか。

 

 機体にハサミが差してあったので、俺は写真を二つに切った。

 片方を千紘姉さんに渡す。

 

「私、この写真を宝物にするね」

「俺もだよ」

 写真を財布にしまっておく。部屋に飾っておこう。

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