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時間をおいてから


 私は、一週間の休みの後、会社に出社した。一営の課長に頭を下げて、更に課長と一緒に第二営業部長の所にも行って頭を下げた。


 二人共、私の体を心配してくれていて、一週間休んだ事については何も言われなかった。事務の同僚からも心配されていたこともよく分かった。



 午前中は、私が居ない間に処理された事務の説明とその後の引継ぎとかして、お昼は皆で昼食を摂りに行った。


 皆と別れた後、多分来るだろうと思った男から声を掛けられた。


「西島さん」

 私は振り向いてから


「不同意性交罪の渡辺さん、何か用ですか?」

「っ!随分強気じゃないか」

「当たり前です。あんたとの事は彼にバレました。もうあんたなんかに付き合う必要はありません。もう二度と私の前に現れないで下さい」

「大きく出たな。あれをネットに上げてもいいのか?」

「どうぞご自由に。その時点で私はあなたを警察に訴えます。勿論社内にも思い切りばらします。奥さんとお子さん、悲しむでしょうね」

「ちっ、股ユル馬鹿女が」


それだけ言うと渡辺は、去って行った。


 私は、会社を休んでいる間に、この男にどう復讐するか考えた。まず私から遠ざける事。そして会社を首になる覚悟で警察に被害届を出す事だ。幸い、あいつのスマホとPCに私との事が保存されている。


 そして、お父さんとお母さんに相談して弁護士を探して貰った。この手の事件を扱う弁護士は多く、弁護士協会から紹介してくれた。


 そして事の次第を全て話した。今日にもあいつに逮捕状が出るだろう。それも帰宅後に逮捕するようお願いした。会社の中で騒がれても困る。


 渡辺と別れてから数日して弁護士より、スマホと自宅に有ったPCから私との関係を撮った動画がいくつか見つかったそうだ。


それからは弁護士に全てを任せた。慰謝料もたっぷりと取ってくれとお願いした。いずれ会社の中に噂は広まる。その時、会社を辞めても生活に困らない様にしたい。


 社内では、懲戒解雇された渡辺の事が噂になったが、相手が誰かは分からない様だ。でも時間の問題だろう。


それまでは勤める事にした。後はりゅうとの関係をもう一度修復したい。時間はかかるだろうけど。でも今は冷却期間だ。直ぐに会いに行っても会ってくれないだろうから。





 俺は、スナックの武石優香さんと関係を持ってしまったけど、彼女は積極的に俺にべたべたするような事はなかった。


 日曜日に別れてから一回も連絡がこない。こっちが遊ばれたのかなと思った。幸い武石さんのお陰で、精神的にスッキリした所もある。


いずれお礼を言わないといけないが、今は会社で一日とは言え、休んだ分を取り返さないといけない。



 月曜日に出社したけど、室長も同僚もいつもと同じ対応だったのが助かった。それから一週間程して室長に呼ばれた。


「神崎、この前USで打合せに上がった課題だが、BCPとコンテンジェンシーの所でもっと詰めたいと言って来た。また行って来てくれ」

「WEBでは出来ないのですか?」

「WEBで出来るならお前に行けとは言わない。立場は、こちらとのカウンターパーソンだ。宜しく頼むぞ」


「あの、どれ位の期間?」

「進捗次第だろうが、一応二ヶ月と言って来ている」

「二、二ヶ月ですか?」

「不満なら他の人間に行かせるが?」

「いえ、ぜひ行かせて下さい」

「そうか、今回は一人だからな。宜しく頼む」

「はい」



 俺は自席に戻ると二ヶ月か、嫌な事も有ったし、忘れる為には丁度いいだろう。一応武石さんには伝えておかないと。


 その日の内にスナックに顔を出した。

「神崎君来てくれたんだ」

「はい」



 カウンタに座っている俺に顔を俺の耳元に近付けて

「あれからしてないね。今日あたりいいかな?」

「えっ、でも、ちょっと時間遅いし」

「大丈夫、君さえ良ければ、十時に上がるから」


 俺はママさんの方を見るとニコニコしてる。さてはバラされたか。仕方なく

「じゃあ、俺、帰って待っている」

「駄目、十時までは居て」

「分かった」




 武石さんと一緒に俺のアパートに来て、二回ほどした。終わった後、

「来週からUSに二ヶ月ほど行って来るので、その間は会えないです」

「えっ、USへ二ヶ月も。いいなぁ。私も行きたい」

「遊びじゃないので」

「そっかぁ」


 やはりこの人はお金持ちのドラ息子じゃない。相当に頭も優秀みたいだ。本気を出すかな。


「ねえ、帰って来る時はお土産忘れないでね」

「もちろんです」



 彼女は午前零時過ぎに帰って行った。送って行くと言ったけど、近いと言ったので、一人で帰って貰った。



 二日ほどして御手洗さんが俺の所にやって来た。

「りゅう、フライトチケットと向こうの宿、ロングステイだから、ある程度自炊も出来るホテルにしたわ。もちろんホテル内にはレストランも有るけど」

「ありがとうございます」

「ねえ、今日退社後会えないかな?」

「今、向こうに行く準備で忙しくて。すみません」

「そっかぁ。そうだよね」

「じゃあ、今度ね」


 何故か、諦めがいい。おかしいな。


 そして俺は、翌日曜日に成田からUSに向かった。


―――――


投稿意欲につながるので少しでも面白そうだな思いましたら、★★★★★頂けると嬉しいです。それ無理と思いましたらせめて★か★★でも良いです。ご評価頂けると嬉しいです。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。

 



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