1話 天下りという名のリスキル
俺は泣きまくっているロリ女神ゼアミと共に上空の彼方に飛ばされた……。
遥か彼方の上空を叫びながら落ちている。
「あああああああああああああああああああ‼︎」
落ちている、落ちているよ。
雲が浮かんでいる所から鳥が飛んでいるところまでの間に落ちているよ。
背筋はゾッとするわ玉ヒュンするわ普通に恐怖体験。
飛び降り自殺をする人は途中で気絶してサクッと死ねるとか言われているがそんな事はない。
逆に目が覚める、モン○ターエナジーなんて目じゃない。
こんな事を競技や遊びにしている人をTVで見たことあるが一体何が楽しいのだろう。
怖がりの芸能人たちが途中で立ち往生やビビりまくって動かなくなる理由が、今よく分かる。
快楽か?快楽かなのか?
快楽のためなら一度は紐無しバンジーかグライダー無しでやってみて欲しい。
絶対トラウマになるから。
ある程度の青年であっても怖いものは怖い。
「俺このまま落ち続けるんか。落下死するのかぁぁぁ」
最高神に床に魔術陣で初期地点に送られるかと思っていた。
だがしかしあの時、穴が空いてそのまま落ち続けている。
高高度からの落とし穴だ。
ドッキリならどれほど良かったのだろう。
罪人の象徴である鎖が付いたままだ。
このまま落ちてしまえば生きている可能性は頭に隕石が落ちてくる確率と等しい。
確かギ○スとかに載っていたような。
一万mから落ちても生きていたという奇跡。
そんな幸運を俺が引き当てられる訳がない。
ゼアミはゼアミで俺の上の方で叫びまくっている。
「いやぁぁぁぁ。落ちてるよぉぉ。本当に私天降りしちゃってるよぉぉ。もう天界に戻れないの?最高神様ぁぁぁ」
落ち続けてからずっとあのままだ。
あった時は笑って最高神に会って泣いて。
アイツ喜怒哀楽が激しくて人生楽しそうだな。
さっきまで泣きじゃくっていたのに。
ただ俺と違ってゼアミは女神だ。
神通力とかなんかのパァァァ的な力で自分の身の安全は守れるだろう。
だから俺は自分の心配をしなくては。
「おいまじでこのまま落ち続けたらスクラップになるぞ。ロリッ娘。何ぞ方法はないんか」
「知らないわよ。あとロリッ娘言うな。私のことを女神と呼んでよ。いつもは魔法陣で初期街にテレポートさせて送るはずなのに落とされちゃったんだから。私達はこのまま雨水みたいに弾け飛ぶんだわ」
「まじかよ。そんなん嫌や。ファーストキスが地面なんて絶対に嫌だー」
心の底から叫んでも減速せずに加速する体。
落ち続けていると俺のファーストキス候補の地面が見えて来る。
生き返って死ぬってとても辛いのだが。
一瞬、二度目の死が訪れたと思いながら、落ち続けて体感距離1mの所になった時。
体は急に止まった。
「へっ?」
それは一瞬のことであったが浮いていた。
しかしすぐに俺の体は重力に引っ張られて地面に落ちた。
「なんとかなったみたいやな」
仰向けになりながら安心する。
流石に最高神様はリスポーンキルは好みではないらしい。
もしそれだったら鬼畜ゲームすぎる。
体も乱雑されたパズルピースみたいにならなかったのを安心したのか溜息を出していると。
「ああああああああああああああ」
ゼアミが大口開けて叫びながら俺の所に落ちてくる。
この声量をあの小さな体からどうやって出してんだよ。
まさかとは思うけど俺の所に落ちてこないよな。
どう見ても俺の腹をクッション代わりにしていないか。
こっちは色々なことが起こりすぎて脳の整理と休みが欲しいのだよ。
半目になりながら体を動かそうと思うが動かない。
一難去ってまた一難とか、いい加減にしてくれ。
そう思っていると俺と同じようにゼアミが一瞬浮かぶ。
「へっ」
つい先程俺が出した台詞を言って。
そして…………。
ドンッと俺のムスコの上にゼアミの石頭が落ちて当たった。
この衝撃にこの痛み。
男という性を持ったものならばわかるだろう。
「ゔぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
クッソ痛てーーー。
途中から声が途切れ途切れになる程痛く悶絶してしまう。
異世界に転生して三十秒、もうだめだ俺は死ぬんだ。
そんな悶絶している俺を露知らず。
頭を抱え飛ばされたことによって乱れた髪を整えながら。
「ちょっと貴方、避けるなりなんなりしなさいよ。神聖な私に恥を掻かせるつもり?」
「そないなこと出来るわけあらへんやろ。あかんクッソ気分悪い」
涙を浮かべながら言ってくるゼアミ。
どうやら紐無しバンジーは女神でも堪えるらしい。
俺は別の理由で泣きそうなのだが。
「何よ、何よ。貴方のせいで落とされたのも同じなのに。どうして、どうして私だけこんな目に遭わないといけないわけ?私が何をしたって言うのよ〜」
「いやいやお前の場合自業自得の何もせんやないやろ。お前が他人の大筆をペチったのやから落とされんねん。俺のせいにしんといてほしい」
「だから私は盗んでなっ……」
俺を見ていた口うるさいゼアミの口が上空を向いて止まる。
何かがあるのかと俺も同じように空を見上げると何やら黒い物体が高速で落ちてきている。
この速度であのサイズに当たれば死ぬのは明白。
なので少し離れて落下物を見てみようと思う。
数十秒経って轟音と共に俺たちの前に落ちた。
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