八話 お喋りキャラでした
「いや早や、棺桶も手に入ったし、飼い主も見つけた、美味しい飯もありつける。実に良い限りだ全く」
「うん、言っていることは良い事この上ないんだが。口の周りにケチャップ付けながら言うのはやめような。こっちが笑っちまう」
俺達は朝の騒動の後T-34の持ち物である棺桶を手に入れてからギルドの酒場に来ていた。
そして目の前の獣人はホットドッグを食べ、唇にわざとなのかケチャップ付けながら言う。
「ふ、ふ、ふ、同志は冗談がキツイな。私がそんなポンコツ染みた事を………って本当に付いているではないか!」
わざとではなかったのかよ。
T-34のポンコツ具合はどうなのか知らないが今のでポンコツポイントが入ったな。
「では同志!今まで見ていた情報によれば同志は屋敷を手に入れて数日と聞くではないか」
「ちょっと待て、見ていたってどういう事や」
「む、同志と我が飼い主がこの街のギルドに来た時からだな。最初からいずれは接触しようと思っていたがな。まさか先手を打たれて飼い主に拾われるとはな」
なんか変な視線はお前が犯人かよ。
特にギルドから出る時に誰かが見ているなとは思っていたけど。
「聞くところによれば同志は屋敷を手に入れて数日と聞く。と言う事はだな、屋敷とはいえ基本構造は一般庶民の家と同じ。火は火属性の魔術石、電気は電属性の魔術石、水は水属性の魔術石に魔力を定期的に流す事で賄われている。しかし魔術石というのは使っていればいつかは無くなってしまうもの。それが巨大な屋敷となれば尚更で多くの魔力を消費する。謂わば消耗品というわけだ。なのでいつかは調達せねばならない。しかし魔術石は高価だ。つまり金を稼がねばなるまいな」
「縮めて金稼ぎに行こうって言えへんのかお前はよ」
要らない所を話さなくて良いみたいな考えは無いのだろうか。
要約という概念を知らなさそう。
「資本主義は死んでしまえ」
「資本主義は関係ないだろう」
「同志が資本主義だからダメなのだ。よって資本主義、有罪」
「唐突な共産主義者による資本主義への悪口」
これだからコミンテルンは資本主義に負けるんだよ。
もうちょっと資本主義の事を勉強してあげたらどうだろうか。
「何を言っているのだ同志。海外の翻訳小説を読んだことがあるか。あれは本土の様に一つの台詞で改行はせず会話文だけで何ページも続く。そう例えるなら買い過ぎたレシートの様に続くものがあると言うと聞いたことがあるでないか」
「俺は外国人ではないんやけど」
「む、そうだとすれば文章構成に支障が出るな。であればあれか?よもや下書き紙の大半が空白部分にすれば良いのか。神戸の独自にあるノート。自由帳みたいに使われるスペースが必要なのか?」
おう、そのわかるようで分からない例えはやめて欲しかった。
神戸には独自の学習ノートがあるみたいだがこれはあまり認知が無い。
と言うかT-34の話が一つ一つ長い。
こんなキャラだったとは、飼い主に似ているな。
「ごめん、途中から聞いてなかったわ」
「どこから聞いていなかったのだ」
「スペースが必要なのか?のところからやな」
「ほぼ全部聞いているではないか」
全部聞いていたけど右耳から左耳に通り抜けた。
上の空みたいな感じで、授業を聞いているようで聞いていない学生みたいな。
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