十二話 仲間との合流
「ただ怯えるだけ、もうそんな悪霊退治はうんざりや」
そう思いなが筆で建築物破壊用のハンマーを描き召喚して扉を無理矢理破壊する。
こんな小さい悪戯を考えてくる悪霊も可愛いものだが。
「ゼアミちゃんを泣かせたやつはダレダーーー‼︎」
「トキマサさん。私はまだ泣いていないんだけど」
こんなことを言っているがグズグズと鼻水音がするのである程度は泣いていたのだろうに。
俺の期待を裏切った罪とゼアミを怖がらせた罪とサンサンを拉致った罪がある。
そのまま部屋を出て早足で一階の廊下を歩きながら部屋を開けていく。
「サンサン、どこやーー。返事してくれ」
ロビーで叫ぶが反応は無し。
「ゼアミ、パッと見て一階にはおったか?」
「いなかったわ。あの子本当にどこ行ったのかしら」
「ほんまか、ちゃんと見てくれたか?」
「トキマサさんにしては諄いわね。ちゃんと目を3にして見てたわよ」
「寝ぼけてるじゃねえか」
眼鏡キャラが眼鏡外した時の目になってるじゃねえかよ。
そんなことは置いておいて一階にはいないと判断にしておいて。
いると思われるのは未だ探索していない二階にいる。
ともすれば、あの変態メイドを捕まえておくにはどの部屋が最適か考えてながら探していく。
すると、南京錠がかけられた鉄の扉を見つけた。
なるほど、この部屋の中が防音になっていればいくら叫んでも伝わらないだろう。
誰が見ても明らかに監禁されているような部屋に着いたようだ。
「ビンゴやな」
「いやリーチね」
「おい、謎の抵抗やめろや」
「後一個で揃いそうなの、待ってくれない?」
「それ一番、ハラハラするヤツ」
ゼアミには気を紛らわせるため俺のスマホを渡して入っていたビンゴアプリで遊んでいる。
いちいち泣かれると困るのでこれで少しは和やかになってくれることを願っての事だ。
異世界の南京錠は見た目は似ているが江戸時代の錠に近い物。
構造は簡単でそこらにあった釘で無理矢理開けた。
「サンサン、いるか?」
「あっ!ご主人様〜〜‼︎」
鉄扉を勢いよく開けて生存確認を取る。
いつもの何も考えていなさそうな元気な我が変態メイドの声。
その声の主は十字架に磔にされ手足が錠でくくりつけられていた。
一般人なら泣き叫ぶなどして混乱状態に陥るはずだろうがこのメイドは一味違うからな。
「サンサン、無事か?」
見た感じ外傷は無いように思えるが念のため。
「大丈夫アルヨ。何もされてないネ」
「それは良かったんやけどな。いつの間にここにおったんや」
連れ去れたのならサンサンを拉致った犯人をその時見たはずだ。
ただ、声も出さず煙のように消されたわけだから起こしたままではないと思っている。
望みは薄いが念の為に聞いておかねば。
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