四話 ル○ージマンション
「トキマサさん。本当に行くの?」
「おうさ。行くで」
「ほんっとうに、行くの?」
「行くに決まってるやろ。イイイイヤッホーーーーイーーー」
背中に背負わされガッチリ縛られられたゼアミが聞いてくる。
ゼアミの願いは非常に簡単で俺から絶対に離れないようにするという簡単なものだった。
受付嬢クロエとこの辺を管理している不動産からの直々悪霊討伐クエスト。
内容は至極簡単で街の郊外に孤高の存在として佇む一軒屋敷に発生した悪霊の浄化と成仏。
クロエさん曰く屋敷の広さに比べて部屋の数は少ないと言っていた。
だがその言葉が嘘の様に目の前の広さが想像以上で日本の市民広場よりも広く感じる。
ここで関東の者は東京ドーム何個分とか言うかも知れないがそんなもの関西人には分かるか。
クエストの舞台となる悪霊現れる例の屋敷の前に着いた。
外見は良くテレビで見ていた○談レストランそのものな西洋屋敷に苔や茨で囲まれた様子。
ジョークで犬小屋と罵られた日本の建物だがそう言われてもしょうがない。
かつてはこの屋敷は王国で名の知れた娯楽主催者だったらしくこの屋敷に住んでいたらしい。
だがいつ日かその娯楽主催者が神隠しみたいに居なくなってしまったとの事で。
持ち主は行方不明でただただ時が過ぎていき、そのままにしておくのも億劫。
壊すにも費用が掛かるので売り飛ばそう、改築しようと思った矢先、幽霊悪霊騒ぎの事。
俺たちから見れば損壊箇所は見当たらないのに禍々しいオーラを醸し出している。
そのような感じを全員が感じているようだがそれでも、俺は行きたい気でいっぱいだった。
武者振るいと言うものだろうか持っている掃除機もカタカタ音が鳴ってしまっている。
「せや、引き受けてもうたもんは仕方ないやろ。それにな、こういうリアルお化け屋敷なんて、オラ、ワクワクすっぞ」
「ワクワクしないで。そんな人が一番最初に呪い殺されるのよ」
ホラー映画やアニメなどではこういう忌み地へ行こうとか最初に言った奴が死ぬ。
ただし、俺にはそのような事には絶対にならない安全第一な備えがあった。
「安心せえ、そのためのゼアミちゃん人形持ってきたんやろ」
こういうこともあろうかと作って置いたゼアミの髪の毛が入った藁人形。
ギルドに見せた後、ゼアミからせめて見た目だけは変えて欲しいと言われた。
そんなので良いのかとも思ったが当の本人がそれで良いと言っているのでそれだけで。
要望も応えて神器と俺の創造性を使いゼアミに似た可愛らしい人形に変えた。
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