二話 奇跡の出会いだねぇ‼︎
液晶画面に限らず生で見たとしても女優やアイドルなどと呼ばれる人間。
彼ら、彼女らが出せる領域を徒労にしてしまうほどだ。
その美しさ、可愛らしさでは太刀打ち出来ない美貌、逆転不可能の上位互換だ。
まぁ、全部引っ括めて言うと絶世の別嬪という事だ。
白い肌に朱を薄く混ぜた白桃のような肌。
だが毛先に近づくほど紅色にグラデーションしていく整った長髪。
不要な脂肪は全て落とし、未だ成長途中な胸とそれをバランスよく整えられた軀。
その肉体に秋を連想させる生地、紅紅葉色、黄紅葉色、青紅葉色。
縁には金で装飾を施された巫女服。
それをふんわりと完璧に着飾っていた。
美しい美貌に合わせられた清澄な赤眼を瞬きしながら、台に立つ俺を見ている。
想像とは違う厳正な裁判官とは真反対の存在。
俗に言われるロリっ娘が判決槌を持って俺を見下していた。
しかしその容姿とは違って神々しい雰囲気を醸し出している。
背中から仏像のパァーみたいな光背と呼ばれるものを放射状にオーラが出ている。
そして俺はその思ったことを心に留めておく事は出来ずに口にしてしまった。
「ロリっ娘やん」
「ん?今なんて?」
「いやロリっ娘やん、て言いましたけど」
「ちょっ、待てよ。ロリっ娘じゃ無いし」
「いやロリっ娘やん。あの、どなたか親御さん知りません?子供が悪戯で裁判官席にいるんやけど」
「いえ、あの方が裁判官ですよ」
今まで俺の声に無反応だった天使がそう割って入る。
「異議あり‼︎っていうかお前がいうんかい!」
「そうです、私が言うのです」
そこの天使の皆さん、さっきまで無言貫いていただろ。
そこはロリッ娘本人に認めて欲しかった。
という事だな、俺は。
腕を組んで見下しているロリっ娘の判決を真に受けなければならないのか。
あの子に裁定されるって俺の処置が酷すぎません?
裁判できるのか、六法全書をちゃんと覚えているのか。
確かにここは日本じゃないと思うけど。
この世なりあの世なりの裁定基準とかあると思うけどさ。
出来れば日本の法の下で最高裁判所で裁定されたかった。
しかもここでは長官がロリっ娘というオチよ。
これがあれですか、一時期アニメで流行っていた○転裁判というやつですか。
いや、もしかしたら見た目の幼さに反してキチンと裁定してくださるかもしれない。
ここは少しでも極楽へ行けるように考えを変えて頂かないと。
「こんな開廷直後ロリっ娘呼ばわりされるとは思っていなかったけど。罪状や業の裁定は面倒くさいから放っておいてと。さてと死後の行先を決めないとね」
「えっ?」
「えっ⁈」
そんな、俺の生前の罪状、業を無視しちゃっていいの?
裁判は?裁定されないの?と心のどこかで裁かれるのを期待した俺がいた。
「えっ、て何?もしかして裁判されたいの?今まで犯してきた罪や行いを全て一言一句残らず目の前に晒け出されたいの?」
「そないなことありまへん」
誰が好き好んで今までの行いを晒されなければならないのか。
あれもこれも他人に知られたくないことばかり。
それを自分から公に公表するとは何という羞恥プレイだよ。
これは仏教での一時的修行体験で聞いた坊さんの話だが。
仏教の六道のうちの一つ地獄道への入り口。
閻魔庁では罪人である亡者の悪行を晒す浄玻璃鏡とやらがあるらしいが。
そこはやはり地獄の前、強制だが此処では任意で有れば無理にされる事はない。
「そう。じゃあ死後の行先を決めましょう」
「ちょっと待ったぁーー」
待て待て待てぃ。
俺はこの裁判官に聞きたいことがあるんだ。
正直、俺もこのままの流れ作業のように進めてもらっても良かった。
しかし次に進む前に一つの要望を聞いて欲しい。
「何よ、まだ何かあるの?私、早く終わらせたいのだけど」
そんなにツンツンしなくても良いじゃないか。
まぁ全部俺のせいだけど。
「此処って死後の世界って言ってたやんな?」
「そうよ」
「死後の世界って事はあの世やんな?」
「概念的にはちょっと違うけど、うん」
「じゃあ俺は死んでいるという事か」
「そうよ、っていうか何度も言っているのに。今気づいたの?遅すぎよ、遅すぎ」
「いや、死んでいるっていうのはわかってるんやけど。死んだ時が分からんくってな。アハハハハハハ」
そうか俺はやっぱり死んでいたのか。
なんかあまり実感が湧かない。
生きていた時と今ではあまり感覚が変わっていないからな。
よく霊体になってふわふわしている印象があったからな。
「貴方よく笑っていられるわね。自分が死んでいるのに。私なら号泣しているところだわ」
「ポジティブシンキングやねんよ、俺」
起こってしまったもの、死んでしまったものはしょうがないしな。
ここで泣いたり、発狂したりして生き返るならするけどそんな事は無いだろう。
○龍に頼んで生き返らせてもらうなんて事は絶対ない。
他のことや俺の遺体のこと、過去の事は生きている人に頼もう。
「ただ、一個聞きたいことがあってやな」
「何かしら?」
「俺の死因ってなんなんや」
そう俺は気づいた時に此処にいた。
まるで寿命を迎えた老人のように眠ったまま死んで苦しまない病気でサクッと楽になったみたいな感覚。
しかし俺みたいな若くて元気なやつがそう簡単に死ぬわけがない。
「そっか、貴方は記憶がないのね。そう言えば貴方の死因の場合死者は大体死ぬ直前の記憶消失を起こすんだったっけ」
「そ、そうなんや。あれか俺の頭は消失した的なグロいもんか」
「いや貴方の場合は結構特殊なんだけどね」
「はえ⁈マジですか?」
結構特殊ってなんだ。
空から隕石が降ってきて丁度頭に当たった殴殺、丁度真下のガス管が爆発しての爆死か。
「しょうがないわね。このままじゃ納得いかなそうだし、お気の毒様だからね。貴方の死に方を見せてあげるわ」
ロリッ娘はテレビのリモコンのような物を取り出して上に向かってスイッチを押した。
何もない天空のような天井からは映写機がゆっくりと降りてくる。
意外とハイテクになってんだなあの世は。
あれこれ何かのドラマで見た事があるような気が。
確か死んだ主人公が自分の死ぬ瞬間を映画で見ているとかいうホラー映画だった。
そして白い壁に映写機から出た光で俺の死因が映し出された。
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