三十三話 夢ならばどれほど良かったでしょう〜♪
そんな凄技を披露したサンサンはいつもの調子で此方に聞いてくる。
なんだよ、今日は俺の可愛い園児達が覚醒する日なのか?
それとも、俺はとてつもなく長い夢を見ているのか?
正直、異世界で機械歩兵とか戦車とか航空機とかあり得ないもんな。
うん、頬っぺたをつねってみても覚めることはなく現実である。
「ご主人様、これどうすれば良いアルカ?」
「サンサン、それをあの戦車に投げ返せ」
「OKアル。ピッチャー投げたアル」
キャッチボールをするかの如く三発の砲弾を残りの戦車達にお返しした。
砲弾のクーリングオフだな。
これで残り二両の戦車が残っている。
次弾を撃ってこないあたり装填中なのだろうか。
「サンサン、お前に俺のスキル全部使って攻撃力と幸運値をめっちゃ上げたるから〈鎧袖一触〉食らわせてやれ」
「良いアルカ?不発してしまうかもネ」
「失敗しても良え。その時はお前を大筆でしばいてあの戦車二台に向かってかっ飛ばしてぶつけるから」
「分かったアル」
最後の文言を聞いて喜ぶサンサン。
成功してもデバフとして激痛が、失敗しても俺からの暴力が飛んでくる。
サンサンにとってどちらを選んでもハッピーエンドだった。
対して俺はスキル〈無惨武者〉〈四神相応〉〈一本勝負〉をサンサンに付与。
これでサンサン自体の攻撃力と会心率は向上したはずだから前回の〈鎧袖一触〉よりは強力。
元々の確率が一割程度が五割くらいになっていている事を望む。
「肉は水、骨は風にその肉体は風水の如し。我が太極の拳はあらゆる肉体を水に帰し全ての鎧も打ち砕く。蒼雷太極奥義」
ギガントクリオネ討伐時と同じようにサンサンの周りの空気が振動し始める。
マッカーサーも何かを察したのか背中からジェットを出して非難する。
敵ながら周囲を判断して対応するのは良いな。
「〈鎧袖一触〉」
そうサンサンが叫んだ瞬間、前回の〈鎧袖一触〉よりも大規模な爆発音と砂煙が起こる。
先程まで行われていた戦車の総合火力に比べれば此方の方が断然強いだろう。
まるでダンバールで作られたプラモデルのように戦車二両がバラバラになって散っていった。
また衝撃波は逃げたマッカーサーにも当たった様子で何かしらの魔術を唱えて防御している。
「今の魔術は一体、なんだ!」
見たことが無かったご様子で叫ぶマッカーサー。
そして此方も此方で叫んでいる娘がいる。
「ああああああアル〜、フフフ」
笑いと悲鳴が交差するというなんともカオスな大声。
叫び出して攻撃した腕を押さえつけて叫んでいるサンサン。
今回のは威力も威力で腕が前よりシュウシュウと音を立てて煙立てている。
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