二十七話 異世界版戦車?
「なんじゃあ、アレ」
「何、アレ。見た事ないんだけど」
機械歩兵はオートマタとしてこの街の人たちには知られていたようだが戦車は違ったようだ。
未知で巨大な機械が煙を上げながらこちらに向かってきている。
それは当然、異世界の人たちは戦車という概念は知らないだろう。
ゼアミと俺は驚愕の顔をして声が出せないでいる。
サンサンは今にでも突っ込んで行き下敷きになりに行きたそうに俺の腕に掴まれている。
T-34は目を輝かせて撃ち壊そうと棺桶を構える。
さっき地上戦力用の兵器は無くなったとか言っていたような。
どうしよう、どう戦えば良いのだろうか。
戦争ゲームとかでは飛行機とか爆弾とかで対処していたけど今の此処にはそんな大層な物。
呆気に取られている冒険者を見て喜ぶマッカーサー。
「フハハハハハハ、慄いたか。冒険者諸君。これを動かすにはコストパフォーマンスがかかるものだが機械歩兵がやられたのなら仕方ない。まずはあの忌々しい城門を破壊せよ」
どうやらマッカーサー率いる戦車隊は城門を破壊してから入場していくらしい。
こんな前日まで平和そのものだった街に反撃施設なんてある訳。
先程言われた通り、アイスクリーム片手に見ているだけになるのか。
ただ、俺たちのパーティは血気が盛んな娘が二人いる。
サンサンは戦車に撃たれたいのかまた囮スキルを発動。
T-34は弾切れのはずの棺桶を担いでいる。
「T-34。弾切れなんやろ。もう他の民間人と一緒に逃げとき」
「同志よ。………………それは死亡フラグだぞ」
お前達は先に行けって言う殿キャラは基本的に死ぬもんな。
そもそも殿って時間稼ぎのための捨て身の為に考案された。
「案ずるな同志。確かに地上戦力用の弾頭は無いが戦車と戦う程度の弾頭はまだある」
「何両台あるんや」
「20000台倒せる」
「元々何と戦うつもり用にそんなに製造したのかを説明してくれ」
20000台って俺がいた現実世界の軍隊全部を合わせても無かったような。
魔王帝国はこんな奴らと戦っているからやはり恐ろしさがある。
「製造番号、2548〜2578。あの城門を撃ち壊せ」
マッカーサーが戦車隊に指示を出す。
戦車隊の前衛隊全部が城門に向かって砲塔を回し照準を構えた。
経験30門の砲門からの砲撃で一斉射撃されたら一秒と持たないだろう。
「ヤバい、皆んな城門から逃げろ」
戦車の危険性を知らない冒険者に避難するように指示する。
俺の慌てようを見て何かを察したのか全員が蜘蛛の子を散らすように離れていく。
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