七話 スキル訓練開始ィィィ‼︎
「ほな、スキル強化訓練をやるで〜」
「トキマサさん、そんな京都弁と大阪弁のハイブリッドみたいな気持ち悪い方言やめて」
「全部、大阪弁やで」
京都弁と大阪弁は若干似ているが発音の仕方などで違いが明確で。
大阪生まれの俺が京都弁使うと京都人に殺されそう。
そんな事をゼアミに言われながら俺は持っている全スキルを発動させる。
「よし、一番最初の絵は〈富嶽三十六景・甲州三嶌越〉これだけ小さい富士山なら叩き壊せるやろ」
そう俺が言いながら筆を動かすと少し小型の富士山と杉の大木を顕現させた。
そしてゼアミとサンサンに向かって予定通りに放り投げる。
葛飾北斎の代表作群の富嶽三十六景の一作品。
巨大な杉の大木が画面を寸断し、杉の横から巨大な富士山がのぞいて対比させている画風。
藍、緑、墨の色合いと和紙本来の白を夏に沸き立つ入道雲を産む夏雲。
最終的に頂上に棚引く笠雲が富士の美しさをより一層魅せてくれる一品。
「ほいよっと」
神筆の墨から絵に繋がっているので俺が引っ張る事で絵が浮かび上がった。
それをゼアミとサンサンが待機している方向に投げつける。
ゼアミとサンサンの上には自分達の数倍ある土と木の塊が来ているのを見てゼアミは叫ぶ。
「ふーーーんだ。いつも私を笑っているトキマサさんに『これは確かにすごい』って言わせてあげるわ」
「何も考えずに楽器を振り回したためか楽器を大きく振り上げ手が滑って顔面に楽器がぶち当たってあまりの痛さに蹲って動けなくなる。ああ、『これは確かに凄い』(笑)」
「ちょっと、言わないでぇぇぇぇぇ!」
「アルッ⁈」
変なサンサンの声が聞こえた気がしたけど良いだろう。
二人が物理的スキルを使用して光輝いた手で殴り飛ばす。
ヒロイン達が怪力で吹き飛ばすとか言うぶっ飛んだ光景を見ているとT-34の方向へ飛ぶ。
そして破壊されて粉々になった岩をT-34が弾幕を張って砂に変えていく。
一連の流れを一言一句説明されて恥ずかしくなるゼアミ。
今のは扱いが悪かったのかバランスを崩したのか楽器が面白いぐらいに顔面に帰ってきた。
一応、富士山を打ち返してから楽器を落としたので生き埋めは逃れたのだろう。
「こんなクソ武器使っていられないわ!」
「もうこいつの手持ち武器は木の棒でいいと思う」
天界から一緒にいる神器の楽器に軽く当たるゼアミ。
散々楽器をこき使っておいてクソ武器とはよく言えるな。
元々楽器なのだから殺傷能力はない方なのだからしょうがない。
楽器には罪が無いのだから。
そんなにも自分の楽器を貶すなら俺が貰ってやるしか無いか。
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