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電脳狂戦士 現代ダンジョンに挑む  作者: saikasyuu
電脳狂戦士の夏休み
81/893

ダンジョン産の食材について

何か説明ばっかりであんまり進まなかった・・・

「そんなわけですみません早朝から」

「ううん。千尋ちゃんの為なら全然良いよ!。でも意外かも」

「何がですか?」

「戸村君の方がその・・・食にうるさいのかなって」


どちらかと言うと無関心よりではある。質より量だよね最近は。


「でも戸村君の為に今日もご飯作ってきたから、いっぱい食べてね」


始発の時間にも関わらずニッコリ笑顔でそう言ってくれる日坂さんは本当に素敵だなって。


まだまだほとんどの人が動き出してない時間にも関わらずこの時期は暑い。

電車内の冷房が効いた空間から抜けると猶更そう感じる。

これでもまだ日が昇り切ってないからマシではあるんだけどなぁ。


さて、昨夜の千尋食欲大爆発があり、俺達は奥多摩にやってきた。

奥多摩には実は三つほどダンジョンがあり、その全部が食い物系。


様々な食材が取れる『食物ダンジョン』

世界中で主食として食べられている物限定の『主食ダンジョン』

そして山の中でしか取れない山菜や珍味が取れる『山の幸ダンジョン』


難易度も上から順に難しくなっていく。

主食は通常と同じくらいだが、山の幸はそれより難しい。

山という環境が戦いには厳しいというのもあるし、モンスターも強いのがいるからな。


そんな三つのダンジョンの中で、今回俺達が行くのは・・・まさかの全部だ。


「千尋のやつトリュフを欲しがるとは・・・」

「で、でもほら。タケノコって言われるより良かったよ?」

「そらそうなんですけどねぇ」


山の幸ダンジョン・・・まぁ分かると思うが海の幸ダンジョンもあるんだが。

この二つのダンジョンは世界中に存在している。

だが階層の環境や入手できる物の場所など全てが異なっている。


具体的には、日本の山の幸ダンジョンは日本でよく食べられている食材に関しては階層が低く入手が難しい。

逆にそうではないもの。海外で良く食べられる様な物に関しては上の階層にある為手に入りやすい。


なので今回はトリュフなので割とマシ。

タケノコの場合日本でやるなら数日間滞在する必要があるかもしれない。

もちろん慣れればその限りではないんだろうが・・・流石の俺も難易度の高いダンジョンを一気に下ろうとは基本的に思わないわな。


それにそこ以外の二つのダンジョンもさほど難しくは無いんだ。

それなら主食ダンジョンも小麦だからそこまで下に行かなくて済むしな。


今回千尋から渡されたメモに書かれた食材は

豚肉、鶏肉、レタス、玉ねぎ、トマト、胡桃、トリュフ。そして小麦。余裕があったなら鮭も欲しいとのこと。

最初はこの倍くらいあったんだが、流石に削らせた。時間かかりすぎるって。


「最初は普通に食物ダンジョンで良いですかね?」

「そうだね。他で苦戦して間に合わないーってなるかもしれないし」


幸い渡されたメモのほとんどは食物ダンジョンの方で手に入る。

胡桃、トリュフ、小麦が残りの二つのダンジョンになる。


なお胡桃って難しいんじゃないのか?と思うかもしれないが、胡桃みたいなどこでも食べられている様な食材はちょっと特殊だ。

話によると生えてる木さえ見つければどこの階層でも手に入るらしい。

まぁ下に行けば行くほど良い物が手に入るそうだが・・・そこはまぁ後から考えよう。


電車に揺られて奥多摩に到着し、そこから食物ダンジョンまでタクシー移動。

奥多摩に存在するダンジョンはそれぞれ少しだけ距離があるのでそこまでは全部タクシーで移動だ。

バスも通ってるんだが、流石にこんな時間からは走ってないしな。

ダンジョン効果が人が増えたおかげで本数は増えてるそうだが。

特に主食ダンジョンは人気が高いからなぁ。

難易度も普通で、鮮度が重要だから急がないとーみたいなものも少ないしな。

食物ダンジョンの場合どうしても肉と魚系だなぁ。

大体の冒険者は保冷バッグなんて持ち込まないし、持ち込めない。

肉が欲しいなら全部何かしらのモンスターと戦わないといけないから邪魔になるだけだ。

それこそ前ここに来た時出会った常駐チームくらいしかやってないんじゃないかな?

儲けもそこまで大きいわけじゃないっぽいしな。


「よっと。でも肉はもうちょい高く売れても良いと思うんですけどねぇ」

「そこは仕方ないよ。それでお仕事無くなっちゃう人もいたわけだし」


ダンジョンから手に入る食材問題で被害を受けたのは当然生産業の人々だ。

特に第一産業に分類される職に就いていた人々は多くの被害を受けた。

何せ時間を掛けずに、ちょっとダンジョンに潜ればいくらでも、それも今までより遥かに質の良い物が手に入るようになったからだ。


幸いと言っていいのか、ダンジョン内から物を手に入れても大量に持ち帰れない。

どれだけ大容量の鞄でも日本の人口が消費する量に比べたら足しにもならない量でしかない。

だからそれこそ主食系・・・日本なら米農家の混乱は比較的早期に落ち着いた。


問題になったのは、いわゆる高級志向と呼ばれる物を作っていた人たち。

ブランド牛やら何やらの生産業の人たちだった。

危険を冒さないといけないという一点を除けば、彼らの作る物よりダンジョンの物の方がずっと良かったからだ。


モンスターを倒すのと、牛や豚を一から育てる。どっちが簡単か。

もっと言うと。モンスターを倒せるようになるまでの時間と、育てる時間どっちが多いかという話だ。

育てるのは数年単位。だがオーク程度ならどれだけ長くても一年ほど。

遠島達も大体数か月ってところだったか。女子高生がだ。

つまりその気さえあれば、誰でもそういった生産業の人たちを上回れる。これが問題だった。

畜産業は畜産業特有の問題もあるしな。ほら、アニメであっただろ。育てて殺して食べるまでーみたいなやつ。

それに比べてモンスターと言う人類の敵を殺すだけでいいのは、まぁ心情的にもな。


だから政府は手を打った。

それが一部の食材売却の価格制限だ。

敢えて値段を低く設定することで、生産業の人々の職の価値を守る狙いがあった。


この施策は成功したと言える。

お陰で食物ダンジョンに潜る人間は少ない。何せ稼げないのだから。


まぁそれはダンジョン産の肉の価値が落ちたわけではないのでその問題は未解決だが。

これに関しては難しいだろう。


「ま、俺には関係ないですけど。はいっ終了っと」

「お疲れ様戸村君。お茶飲む?」

「いただきます」


近寄って来た火を噴く鶏・・・『火吹き鶏』というそのまんまな名前のモンスターを倒し鶏肉を回収する。

火を噴くっても、攻撃として微妙に成り立ってるのか分からない射程。

正直クッソ弱い。


でも普通の鶏肉よりずっと美味い。

こんなんが簡単に手に入るんだから、そらたまったもんじゃないわな。

売らないで個人で勝手に食べるだけの場合、政府の施策も関係ない。

俺みたいに稼がなくてもいいタイプの冒険者は、変な話ここで二時間くらいいれば数日分の食材を貯めこめる。

するとその分は当然買い手がいなくなって売り上げが落ちる。

まぁそんな冒険者なんてほとんどいないけどな。

まだ冒険者と言う職業が生まれて約二年。人生上がりと言えるほど稼いだ者は少ない。


「これでここは終わりでしたっけ?」

「そうだね。次はどこ行く?」

「うーん・・・日坂さん山登りって得意です?」

「小学校での遠足以来かなぁ」


じゃあほとんど未経験って考えて良いかな。

すると次は主食ダンジョンの方が良いかもしれない。

そっち行って戻れば、ちょっとだけ早いけどお昼の時間として休憩も出来るし。

山登りは色々大変だからな。装備はちゃんと持ってきてはいるが、出来るだけ体力的に余裕をもっておきたい。


豚肉七ブロック。鶏肉十ブロック。

トマトニ十三個。レタス九玉。玉ねぎ十七玉を手に入れた。


「これが一日でほとんど無くなるんだからすごいよね」

「日坂さん家だと三日換算ですか?」

「それくらいかなぁ」


上記の物はうちと日坂さん家の分をまとめてあるが大体はうちの物になる。

そして大体は俺の中に納まる。


持ち帰るのとは別でトマトを捥いで食べながらダンジョンの外へ。

次は主食ダンジョン。

ここより難しい、面白いダンジョンだ。



















「一面の小麦畑ってのは初めて見ましたね」

「すごーい・・・」


黄金の絨毯何て例え方をされることがよくあるが、なるほど納得だ。

『主食ダンジョン』五階層。そこには絶景が広がっていた。


主食ダンジョンは食物ダンジョンより人が多い。

小麦や米は飲食店が定期的で永続的な仕入れを求める。

だからこそ、ここには人が多い。

協会が買い取って、そこから店に売るって流れがあるからな。

もちろん通常の米や小麦に比べてたっかいけどな。

一般人ならよほどこだわりが無い限り買わないんじゃないか?


「あとこだわってるお店だと、ここの小麦じゃないとだめだーって人もいるからね」

「何か違うんですかね?」

「風味とかじゃない?私もテレビの受け売りだから分かんないけど」


自分の所の商品が、ダンジョン小麦と合わないってことはまぁ多々あるかもな。

そうなるとダンジョン産の物は使えない。

良くも悪くも、ダンジョン産の食い物は一定だからな。


「それで?これってどうやって収穫するんですか?」

「何でも良いらしいよ?戸村君の場合斬った方が早いかも」


ならそうしよう。

ちなみにここのダンジョンの入り口を覆う建物の隣には小麦を脱穀する機械が置いてある。

乾かす必要が無いのは不思議だな・・・ダンジョンだし良いか・・・


闇夜の爪でザックザックと小麦を出来るだけ根元の方を狩る。

地味に屈む姿勢が難しい。俺鎧着てるから。

あとなんか俺の中で闇夜が微妙な顔してる気がする。

日坂さんも持ってきた鎌で俺より遅いが収穫を行っている。


「えっほ。えっほ」

「・・・ふふっ」


何か身長のせいで子供が収穫体験してるみたい・・・む。空気の読めないのが来たな。


「日坂さーん」

「あ、分かったよー!」


一声かけて日坂さんに隠れってマジでどこいった。

小麦の背が高いから隠れるところが多すぎて今日は一段と場所が分からねぇ。

何とか気配は拾えるくらい?いやはや恐ろしい。


日坂さんが隠れたのと同時くらいに、モンスターがやって来た。

主食ダンジョン第五層モンスター『大バッタ』君だ。


「よしキモイ!!」


正直あんまり近寄りたくないので爪だけ伸ばして刺してから振り下ろす。

通常ダンジョンの五層クラスでしかないから、まぁ弱い弱い。

でもデカい虫だからそれだけでヤバい。別に虫苦手じゃない俺でも普通にキモイと思ったし。


こいつが大量に出てくるーとかじゃなくてよかったよ本当に。いやマジで。


「これなら隠れなくても良いかな?」

「まぁ俺が見つける方が早いでしょうし、大丈夫かもしれないですね」

「じゃあその間に収穫しちゃおうかな」


普通の冒険者の場合。

四、五人でやってきて二人が収穫。残りは周囲の警戒を行う。

バッタ自体はそんなに強くないからそれだけで十分なのだ。

俺の場合は全部やるけど。その方が早いし。


「って思ったより時間ありますね。どうします?下行きます?」

「川って・・・ここから四つ下かぁ。行ってもいいかもね」


このペースでの収穫だと思ってたより時間に余裕が出来そう。

俺の爪が収穫に使えるのがきいているな。

小麦が簡単に斬れるからものすごい楽。


「それじゃあ下に行こっか!」

「はーい」



そういえばローファンタジージャンルの中でランキングに載ってたようです。

皆さまいつもありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] やはりありますよね…地上の生産品とダンジョン産食材の競合 余って値崩れ防止に廃棄しちゃう牛乳みたいに食品価格のバランスって難しい… 米ダンジョンはあるのかな…じゅる
[良い点] 完全に引率の先生w
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