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電脳狂戦士 現代ダンジョンに挑む  作者: saikasyuu
電脳狂戦士 指導する
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役得

「それじゃあ始めましょっか」

「はい!よろしくお願いします!!」


場所を移して闘技場・・・ではなくて、プライベート訓練所に移動。

ここでは主に自分が手に入れた武器やスキルの性能を確かめるのに使用する場所だ。

俺はフルに課金しているので機能も全部ある。


「ところで何で私の武器は盾なんですか?」

「別に武器としての盾は期待してないんですけどね」


日坂さんの装備は盾のみ。これにはちゃんと意味がある。

まず一つ目に。現実の日坂さんの体はそこまで運動は出来ない。

レベルは奥多摩のダンジョンで豚を倒した分しか上がっていない。精々2レベルくらい。

なのでこの時点でまともな自衛は出来ない。

その為取れる方法が非常に限られてしまう。


ではなぜ盾なのか。

これは簡単な話で、本当に特にこれといったわけもない。

ただ攻撃を防げる。それだけだ。


「それだけ!?」

「いや。結構馬鹿に出来ないですから」


本当は全部の攻撃を避けてもらうのが一番・・・てか敵に見つからないのが一番良いんだけど。まぁそれは無理と。

なので目的として、もし敵に見つかっても何回か攻撃をやり過ごすだけの能力を手に入れてほしいのだ。

その間に俺が駆け付けられる。それが非常に現実的だろう。


「なので攻撃を受ける練習をしましょう。あ、その後は回避練習なので」

「は、はい・・・」


ビビってるメグさんかわ・・・いや、庇護欲をそそりますね。これもだめでね?


でも別に俺が殴るわけじゃない。

ここは訓練所。装備やスキルを試すための物は一通りそろっている。


メニューを操作してある物を召喚する。

それは先ほど俺が戦った石像に何となく雰囲気が似ている木人だった。

武器は剣で、召喚出来る木人の中では最も汎用的な性能をしている。


「こいつが攻撃役です」

「あ、ど、どうも」

「中に人はいませんよ?」


お辞儀をするとお辞儀を返すAIってだけですメグさん。

あとは俺が攻撃指示を出せばそのまま攻撃してくれるのだが、その前に防御のやり方を教えないとな。


とは言っても俺も大して詳しいわけじゃないんだけどな。

ぶっちゃけ盾なんて使ったこと無いし。


「なのでここに用意した教科書を見ながらやります」

「教科書」

「盾を使わせたらゲーム一の奴が書いたので間違いはないかと」


誰とは言いませんが、某騎士様に頼みました。

あいつが一番盾の扱いは上手いからな。


一応俺もあいつの動き自体は知っているので、この教科書を見ながらアドバイスは出来る。


「なのでひとまず心配はない・・・はず」

「微妙なんだねそこは・・・」

「まぁ・・・そこは」


使ってないからね。仕方ないね。


とりあえずやってみよう。


「まず構え方からなんですけど・・・」


















彼から身の守り方を教わる為にゲームを始める。

それ自体には抵抗は無かった。

ゲームをやる為の準備に掛かるお金に関してはまぁ必要経費だし、前から彼がいる世界には興味があったから、いつかは買おうと思っていた。

でもまさか、彼が一式全部くれるなんて思わなかった。

それもほとんど新品の物を、家族全員分をだ。


お母さんがまだ無理が出来ないから、これがあれば観光も出来ると言ってたけど・・・正直貰いすぎだと思った。

弟達は素直に喜んでいたが、私としては少し複雑。

ただでさえ彼にお世話になりっぱなしで、それも返してきれていないのにまた貰ってしまっている。

それもその行動自体なんとも思ってない。だから私から何かお返したいーとも言いずらい。


そんな時、その話を七瀬さん・・・マナさんにお話しした時、彼が離れた一瞬でこう言われた。


「え?一緒にいるだけでいい?」

「はい。あれに自覚は間違いなく無いので私がお伝えしておこうかと」

「えーっと。それはどういう・・・?」

「戸村宗次・・・蒼セカンドという人間は、本質的に人に向いてないんです」

「人に・・・向いてない」

「動物っぽいって言った方が良いですかね。理性と本能のバランスがちょっと人と違うんです」


マナさんに言われたそれは私自身も何となく理解していたことだ。

特に戦っている時の彼を見ているとよくわかる。

考えなしで動いているわけじゃない。野生の勘ともいうべき恐ろしい精度の直感が本能を支えて、それを後から理性が追認している。

理性はあくまでも本能のおまけ。だから彼の動きには他の冒険者にあるような理が見当たらない。


「・・・それを分かってる時点で大分貴方もあれですね。同類でしたか」

「はい?」

「ああいえ。こちらの話です。とにかく、彼はとても動物的なんです。さらに言うと幼稚ですね」

「え、幼稚?」


それはちょっと理解できない。

戸村君は結構俗っぽいというか、戦い以外に関しては結構普通なところが多い。

だからその・・・ちょっとえっちな所も結構ある。

汗をぬぐっている時、たまにだが視線を感じるし。


だがマナさんが言いたいのはそういうことではなかった。


「性欲自体はいっちょ前にあるみたいですけど。それのぶつけ方を知らないんですよ」

「ぶつけ方?」

「愛を伝える方法が分からないっぽいんですよ。厳密に言うと何をどこまでやっていいのかが分からない」

「・・・それは」

「何話してんだマナ」

「ん?貴方の悪口に決まってるじゃないですかやだなー」

「よーしお前の頭をへこましちゃうぞ~」

「はははナイスジョーク・・・え、ちょま。マジでまっ!!??」


そこで戸村君が戻ってきちゃったから聞くことが出来なかった。


でも言いたいことは理解できる。

戸村君は一見普通に見える。戦いが絡まなければ特に。

それでも近くで接していると、時々何かがほころぶ。

まぁそれ自体すぐに自分で気が付いて修正してしまうから、恐らくこれに気が付いてる人は少ないと思う。


多分だけど・・・戸村君の家族は気が付いている。

今だからこそ分かる。

あの時私はアメリアさんが話していたことは恐らくこれのことだ。

思いを伝えた時に、戸村君が悩んだ顔をしたのも。

それをすぐにアメリアさんが察したのも、恐らくその問題につながる。


もちろん夢を叶えたいという思いは、確かに彼の中にある。

それに集中したいから、他の事に寄り道できるのかどうかって悩んだのも。

悩んだこと自体が私に失礼だと思い込んだ事も。


だから私がアメリアさんに伝えたこと自体は間違いじゃない。だから否定もしなかった。


それに恐らく。アメリアさん自体は問題ないと思ってるんだと思う。

私もどちらかと言えばそうだ。

愛の伝え方なんて人それぞれだし、今知らなくても大人になるにつれ知っていけばいいだけだから。


でももし、それで彼が悩んでいるのなら・・・


「私が年上だしリードしてあげなきゃ!!」


・・・なんて思ったりもした。

だから今、彼に教わっているこの瞬間・・・とてもテンパっております。


「はい。ここで脇を締めて・・・メグさん?」

「・・・ふわぁ!?は、はい!」

「大丈夫ですか?一回休憩します?」

「い、いや。大丈夫!」

「そうですか?ならもうちょっと腰を落として」

「あ・・・」


ゲーム内の彼のアバターは現実の世界の彼の体とほとんど変わらない。

これは彼が現実とゲームの差を減らす目的をもって作った体だ。

普段は鎧を纏っているので顔を見られることもほとんどないらしいし。


でも今の彼は鎧を全て外している。

当然素手だし、彼の顔もよく見れる。


そんな彼の大きな手が、私の腰に回される。

むずかゆくなって少しだけ体を引くと今度は彼の顔が近くなる。

・・・真剣な顔もかっこいいなぁ・・・ってそうじゃなくって!


とにかく!今のこの体勢はとっても心臓に悪い。

どこを意識しても彼を感じてしまうから、とてもではないが集中出来ない。

年上とか、リードするとか無理無理。

ここに来る前の猫カフェだって、私が猫に夢中になっちゃって彼の方が年上みたいだったし。


というか、考えてみれば私だってそういう経験無いからリードも何も・・・。


う~・・・い、いや。

今回は戸村君が真剣に教えてくれてるんだから、ボケボケしてないで頑張らないと!


そう思い体に力を入れるが、思いのほか変な力の入り方だったのか足元が滑ってしまった。


「あっ!」

「おっと」


でも傍にいた戸村君がすぐに支えてくれた。

思わず私も彼にしがみついてしまったけど、それで彼の胸に顔をうずめてしまった。


「っっっ~///!!」

「大丈夫ですか?うーん。詰め込み過ぎたかな」


顔が熱い。でも戸村君にはバレてないらしい。

正直疲れとかそういう問題じゃないけど・・・今はそれでいいかもしれない。


「ちょっと休憩しましょうか。一気にやってもあれですし」

「は、はい・・・」

「あー・・・とりあえず、立てますか?」

「・・・もうちょっとだけ」

「あはは。良いですよ」


・・・現実だったら、いい匂いとかするのかなぁ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 最強ランカーズは皆色々偏った変人の類友…と 蒼くんは動物調教のノリで仕込まないとだめなのでは(笑
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