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電脳狂戦士 現代ダンジョンに挑む  作者: saikasyuu
電脳狂戦士 クエストを受ける
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肉・肉・モンスター

「えぇ~蒼ちゃんご飯食べないのー?」

「食べねぇよ・・・」


撮影は無事に終了。

食材はしっかりと保管して明日スタジオでミホたちが調理する流れだ。

だけどそこに俺達はいかない。

だって俺達はダンジョン内での護衛っていうクエストで来てるわけで。

別に出演者としてオファーを貰ったわけじゃない。


「だから絶対に行きません」

「ぶーぶー!」

「はいはい行くわよ。ごめんねいつも」

「慣れたよもう」


ルミに引きずられながら未練がましくこちらに手を伸ばすミホを笑顔で見送っておく。


「戸村君テレビ出たくない人ですか?」

「場合によりけりですけどあいつがいる番組はちょっと」

「あー」


ダンジョン内とかゲーム内ならまぁ他に逃げ場があるからあれだけども、

そうじゃない所って大体スタジオの中だろうし、そうなると逃げ場が無くなる。

なのでそういう意味では絶対にお断りです。




さて収録が終わったら解散なので、俺達もこのまま帰ってもいいのだが。


「時間に余裕もありますし。行ってみます?」

「行きましょう!」


どうせならここのダンジョンのもっと下まで行ってみることに。

佐々木さんは新しく発見された石に関して報告書を上げる為に帰りました。

めっちゃついてきたそうにしてたけど流石に誘えないって。


十層より下も基本これまでと変わらない。

各階層にそれぞれ食材がある、ドロップが食べられる物のモンスターがいる。

比較的難易度が緩いのも変わらないが、とある階層だけは別格な場所がある。


「やっぱ階段近いのいいですね」

「レベル低いうちはここに来た方が効率よかったかもね」

「・・・それもそうですね」


十九階層。ここだけは難易度が他と比べて高い。

本来ならば野菜階層のはず場所。だけどこことニ十層だけは特別な階層になっている。

他のダンジョンと比べても決して劣らないモンスターが存在している。


それは・・・


「あ、いた美味しい牛だ!!」

「ミートタウロスだよ戸村君!」


ミノタウロス・・・は別のダンジョンに普通にいる。

こいつはミートタウロス。ぱっと見ミノタウロスで、その手に持つ何かの肉の丸焼きが非常に美味しい。

倒すとあれが残る。正確には焼く前のあの肉の塊が残る。

そして何故かこのダンジョンにおいてこいつだけは普通に強い。

一説には鎧蜘蛛とあまり変わらないともいわれているほどだ。


正直強さの点で言えば、鎧蜘蛛を倒せるようになった俺からすると物足りないかもしれない。

でもドロップする肉。あれがダンジョン産の他の肉と比べても上位クラスに旨い。

今回の狙いはそれだ。


ミホたちの護衛で来るには流石に人数が多くて守り切れるか分からず、

プロデューサーさん達もそこまで行く気が無かったのもあって、番組では使えなかったが。


「行ってきます^^」

「うっきうきだね・・・」


肉への欲求。カメラ前だから一応気を使った戦い方。

あとミホ相手にするときのあしらいでたまったストレスを全てここで発散してやるぜぇぇぇぇ!!!


そんな気分で見つけた哀れなミートタウロスにとびかかる。

ミートタウロスは肉のこん棒で受け止める。


・・・肉に伸ばした爪の刃が埋まったんだが。

あと何か肉の焼ける匂いがするんだけど。


「腹減るじゃろがい!!」


食い込んだ爪を軸にして体を回し、逆さになりながら足を狙う。

咄嗟にこん棒をもちあげることでミートタウロスは俺の狙いを外してくるが、それならばと俺も爪を短くして肉から解放される。

そしてそのまま俺が足を狙いに近づこうとするのを今度はこん棒を叩きつけてくる。


横に飛び退くことでこん棒は回避する。

こん棒は地面を抉りながら、肉汁をまき散らす。


「・・・何か戦意が削がれる」

「がんばってー!」

「お腹減るんですけどー!!」

「諦めてー!」


どっちだ。
















「・・・お腹ヘッタ」

「も、もう帰るだけだから頑張ろう?」

「買い食い・・・」

「ダメ!もうお夕飯の時間です!」


日坂さんが厳しい・・・でも腹減った。


ミートタウロスが手ごわいと言われた理由分かった気がする。

単純に鎧蜘蛛と同じくらいなんだろうけど、あれと戦ってると腹減るから余計に手ごわいわ。

集中は乱れるし、何より目を肉に奪われる。なんてモンスターなんだ。


でも頑張ったおかげで日坂さんのバッグの中は肉でいっぱいだ。

心なしかバッグ自体美味しそうに見えてくるよね。


「んじゃ千尋に連絡いれておきますわ」

「私も家族に連絡しないと」


そしてこれは帰り際に決まったことなのだが、今日は日坂さん一家と一緒にお夕飯を食べることになった。

肉も大量だし、これ持って帰るのも結構面倒だからな。

そこで纏めてうちで調理してしまえばいいのでは?という話になった。というかした。


日坂さんのお母さんも今は家にいるみたいだし、会ったこと無いからそういう意味でも丁度良かった。


「こういう時家近いと便利っすね」

「今度からもっと近くなるけど、まぁ今も近いよね」

「まぁ地元何て大体そういうものなのかもしれないですけど」


引っ越ししたら徒歩数分レベルになるからなぁ。

多分日坂さん的にもその方が安心できるだろう。

家族に何かあってもうちのメンツがいるから頼りやすい。

地味にリアだっていざという時にはちゃんと頼りになる女だからな。


む。千尋からもう連絡が返ってきた。


            今日飯日坂さん家と合同でいいよな?:ソウジ


ちーさん:えぇ?いきなりだと献立困るんだけどー


       ダンジョン産肉の中でもトップクラスの物がある:ソウジ


ちーさん:兄ちゃん何してんの?早く帰って来いよ



「性格が変わった・・・?」

「千尋ちゃん何だって?」

「あ、大丈夫だって言ってますよ」

「よかったぁ。急だったから困ってるかと」

「あいつは今肉に魂奪われてるので」


肉をちらつかせた途端にこれだからな。多分肉無くても問題は無いんだけどさ。


「日坂さんはどうでした?」

「うん!お母さんも体調良いみたいだし、お迎え行けば大丈夫かな」

「わかりました。じゃあお迎えは俺も一緒に行きますね」

「うん・・・本当は遠慮したいんだけど」

「まぁ無理ですね」


これがつい先日までならそれでも良かったのかもしれないが、今となっては難しい。

何せ日坂さんのスキルは超有用スキルと認識された。

恐らくこれから先同じスキルを手にいれた人もそうなるんだろうが、めっちゃ守られてる状態にある。

それは日坂さん自身だけじゃなくて家族みんなが対象だ。

移動するだけでも結構色々言われている。

そのうちの条件の一つとして、護衛を付けてくれという話があった。

でも今回みたいな急なことに協会は対応出来ない。

そういった時は俺が護衛をすることになっているのだ。

だから日坂さんは俺が付いてくるのを断れない。

まぁ本人は複雑そうだけど。


「うぅ。何かまた戸村君をこき使ってるみたいな感じで・・・」

「そんな気にしなくても良いんですけどね」

「私の心の問題なの!お母さんの時だって・・・」

「おっと日坂さーん?」


いかん。またちょっと前を思い出して暗黒面に落ちかけている。

そうなるとちょっと長いし、お母さんに心配させるのも違うだろうから切り替えさせないと。

こういう時は・・・別の話題を振ろう。


「そういえばなんですけど」

「うーん・・・うん?何?」

「いや。俺達駅前のダンジョンはもうとっくに十層は超えてるじゃないですか」

「そうだね。何故か一気に十七層まで行っちゃったけど」

「まぁそうなんすけど、そろそろワープ部屋の使用許可取りませんか?って思いまして」

「・・・ああ!確かに取れる!!」


話が思ってた以上に重大で元に戻ったようだ。


ワープ部屋に関してだが・・・まぁ正直ダンジョン帰りにする話でも無いかもしれないけど。

秘匿されているわけではないが、研修では教わらない内容だし。


でもラッキーなことに、ここから帰りの道ではほとんど人にすれ違わない。

電車の中も恐らくガラガラだろう。流石に田舎だなと、地元の事を棚に上げてちょっと笑ってしまった。


「そして予想通りガラガラっていうね」

「本数少ないから、逆に多いかと思ってたんですけどね」

「ダンジョンがあっても利用する人がいないのと、あとあそこ近くに協会の宿舎あるからなぁ」

「あんまり地元の振興には繋がってないのかな?」


ダンジョンで町興し!なんてのはこの時代のあるあるだな。

とはいってもここ二年くらいの話だけど。成功したところは結構あるらしいけども。


「んじゃ。改めてワープ部屋の話ですけど」

「すっかり忘れてたなぁ」

「まぁ使わない理由があったうえで使ってないので」


まずワープ部屋とは何か。

言葉の通り、ワープをするための部屋だ。

これは現在は協会が管理している。

ダンジョン内のある場所にあるのだが、入り口の前に協会の冒険者が立って出入りを管理しているのだ。

そこに入る為の条件は、『十層を攻略すること』

つまりは十一層に辿り着かなければ使用することが出来ない部屋なのだ。


ワープ部屋は冒険者カードを使用して、自分達が辿り着いた特定の階層まで一気に移動するために使う。

特定の階層は五層毎なので、俺達の場合、五層、十層、十五層にワープが出来るというわけだ。

この到達階層は冒険者カードに登録されているらしく、なのでワープするのにカードが必要になるのだ。


俺達がこの便利部屋を使わなかった理由だが、まぁ色々あった。

まず鎧蜘蛛の時には桜木さんと佐々木さんの戦い方の見学。

そして俺が実際にどこまで戦えるかを見る必要があったので、十層にワープするわけにはいかなかったのだ。

日坂さんという物資運搬係を守るための動きの確認もあったし、そういった理由で使えなかった。


その後は俺がゲームに集中したり、単純にオークの肉取りに行ったりと何だかんだで使うことが無く。

結果今の今まで忘れ去られていたというわけだ。

マジで日坂さんが存在すらさっぱり忘れてたくらいには話題にもなってなかった。


「まず申請するんですよね?」

「申請して審査に通らないといけないね。まぁ私たちは大丈夫だと思うけど」

「ん?そうなんです?」


普通に突破して申請出せばOKだと思ってたけど違うのかな?


「その人がちゃんと強いのかどうかーとか、素行不良とか身分保障とか・・・」

「・・・面倒ですね」

「今やめたくなったでしょ」


いかん読まれてる。でも確かにそう思いました反省。

しかし日坂さんが言うには俺達には合ってない様なものらしい。


まず、俺達はスポンサーとして七瀬スポーツがバックにいる。

つまりプロの冒険者で、身分って意味なら既に保障されている。


素行不良に関しても問題なし。

冒険者になってから特に悪いことはしていない。何なら協会的にも結構貢献度は高いはず。


実力はもはや言うまでもないだろう。

この辺は桜木さんたちも保障してくれるだろう。


「それにほら。私達専属でサポートの人ついたよね?」

「浮島さんですね。何か関係あるんですか?」

「協会の人が既についてるから、その分はきっと審査に有利!・・・の、はず」

「へぇ。そういうのもあるのか」

「前に桜木さんにお話聞いてたの。協会からサポートする人が来ると楽になるーって」


うーむ。そうなるとあんまり面倒ではないのかな?

まぁ面倒でも何だろうとやらなくちゃいけないことではあるんだけども。


ちなみにだがこのワープ部屋はどこのダンジョンにもあるわけではない。

実際先ほどまで俺達がいたあの食物ダンジョンにはワープ部屋は存在していない。

まぁ下に行きたいなら近くにある階段を下りればいいだけだからな。必要が無いともいえる。


「そういえば、戸村君は次の目標ってあるの?」

「次?」

「あ、最終目的じゃなくて、その前段階の話ね?」

「あー。どこの階層とか、どのモンスターと戦いたいとかですか」

「そうそう!無いなら興味ありそうなの調べようかなって」


なるほどね。最終的な目標はムサシであることは変わらないから聞くわけないか。

まぁ実はその途中の目標はもうあったりする。


「え?そうなの?」

「はい。まぁまたちょっと遠いんですけど」

「どこ?」

「四十層です」

「・・・え?」


現在人類が到達してる最下層が四十二層。

アメリカの冒険者チームが到達し、その後全滅した事は一時期世間を大いに騒がせた。


俺が目標としたのはそこに近い四十層。

日本ではまだ一チームしか到達していない、まさに最前線。

そこに戦ってみたいと思ったモンスターがいる。


「ボ、ボス部屋ですか・・・」

「えぇ。あれなら、対人って意味でもいいかなって」


俺達の到達階層からさらに二十三個も下の階層。

そこにいるあいつなら、間違いなく強い。


「ふぇぇ・・・何か身を隠す魔道具とか手に入れた方が良いかな・・・」

「正直日坂さんなら要らないと思いますけど」


ちょっとおかしいレベルで隠れるの上手いからなマジで。

まぁ俺も武器・・・ってか鎧が欲しいし、どこかで階層周回必須かもな。

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