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電脳狂戦士 現代ダンジョンに挑む  作者: saikasyuu
電脳狂戦士 強敵と共に
27/893

暫定ノルマ達成

普通に投稿すること忘れてた・・・

「お、おじゃまします!」

「「お邪魔しますー!!」」

「いらっしゃいませー」


ダンジョンより無事に帰還した次の日。

今日はダンジョンには行かず・・・日坂さんに泣いて止められたので行けなかったが正しい。


代わりに日坂さんたちを我が家に招待することになった。

もちろん彼女の弟妹も一緒にだ。

お昼くらいの時間から呼んで、一緒に昼食も食べることになっている。


日坂さんの弟は十歳、妹が八歳。

まだ遊びたい盛りだろうが、うちに来るか聞いたところ即来るといったそうだ。

多分オーク肉をくれた兄ちゃんくらいの認識があるからだろう。

安心しろ、うちの飯はうまいぞ。


千尋とリアにはいきなり伝えることになったがむしろ歓迎された。


何でも、


「お兄ちゃんがお世話になってる分のお礼しないと」

「糸についての交渉もしたいからちょうどいいわ」


とのこと。

むしろもっと前に呼ぶべきだと普通に怒られた。どうして・・・


そして我が家にやってきた三人を家に上げると、まだ幼いキッズ達はリビングにあるゲームに興味深々だ。

千尋の私物だから俺が許可を出すわけにはいかないんだが、千尋は千尋でおもてなしがあると手が離せない。

すると、そんな皆を見ていたリアが千尋に代わると言い出した。


「え?・・・お姉ちゃん出来るの?」

「馬鹿にされてるわよねこれ」

「馬鹿にされてんぞ」

「ふえ~やめれ~」


あの引きこもりのお姉ちゃんがおもてなしなんて出来るの!?みたいなことだろうなきっと。


一応フォローの為に言っておくが、リアは一通り家事は出来るんだ。

そもそも千尋がやり始める前までは俺と二人でやってたくらいだし。

まぁ俺はあまり戦力になれてはいなかったとだけは言っておこう。


千尋の頬を一通り引っ張ると、子供のお世話もおもてなしの一つと言って千尋をそちらに送り出す。

まだ心配そうだが、最悪は自分が行けばいいと思ったのか結局子供達とゲームの相手をすることになった。


「ごめんなさいね。あの子色々やりたがりだから」

「い、いえいえ。こちらこそ弟達がご迷惑を・・・」

「子供とはそういうものだわ・・・さて、こちらはこちらの話をしましょうか」

「は、はい!」

「その前にリア」

「何かしら」

「日坂さんは俺より年上だからな?」

「・・・え」

「ああやっぱり。すみません本当に」

「あはは・・・大丈夫です慣れてるんで・・・」


全く大丈夫そうには見えないけどな・・・


リアはもともと外国人だから割と年上に見られることは多い。

滅多に出歩かないにも関わらずそういう話に事欠かない時点で察することが出来るだろう。

そんなリアだが、日本に住むようになって長いので割と常識は日本人寄りではある。

だけど変なところでまだ外国人なのだ。

特に人の年齢の把握がへたくそだ。日本人の場合大抵は3、4つくらい年齢を下に見ることが多い。

日坂さんに関しても、身長の事もあって俺たちと同じくらいだと思ったんだろうなぁ。


「あ、そうだ。紹介遅れましたけど、こいつが義妹のリアです」

「アメリア戸村よ。よろしくね」

「あ、よろしくお願いします」

「結局敬語は?」

「苦手なのよね」

「大嘘つくじゃん」

「と、戸村君。私は大丈夫だから。ね?」


むぅ。まぁ日坂さんがそういうならそういうことにしておこう。

ちなみにリアは普通に敬語で話せる。なんせ仕事先との会話で使ってるから。


では切り替えていこう。

今日は糸の代金についての交渉だ。


「つっても俺たちと言うよりはそっちの条件次第なんだけどな」

「その前に、実物はあるのかしら?」

「これです!」


鞄の中から糸の球を4つ取り出す。その一つ一つが30cmほどある大きなものだ。

それと一緒に協会から発行された証明書も渡しておく。

これはその物がダンジョンから手に入ったものですという保証書だ。

これが無いと、協会を通さずに物を売る場合に偽物だと言われることがある。


そして本来ならその証明書をまず見るのだが。リアは真っ先に糸の球に食いついた。


「触っても?」

「ど、どうぞ」


ぐいっとテーブル越しに顔を近づけてきたリアに日坂さんが驚く。

だがそんな反応も目に入っていないのか、許可が出た瞬間に舐めまわすようにありとあらゆる角度から球を眺め始める。

それが満足すると、少しだけ球から糸の先端を引っ張るとまた驚く。

繰り返すこと約二十分くらいか。ようやく落ち着いたようだ。


「ふぅ・・・素晴らしいわね」

「わかる物なんですか?」

「常日頃から触れているものだから。少し見ればわかるわ」


そういうと携帯を操作してメッセージを送るリア。

一緒に証明書の写真も撮って送っていた。

そして返事は一瞬で来たようで、


「一玉で250万円!?!?」

「おお、随分といったな」

「当然ね」


鎧蜘蛛の糸に需要があるのかという話をちょっとしよう。

答えから先に言うと需要はある。ものすごくある。

何せ鎧蜘蛛の糸は非常に頑丈であり、熱にも強い。

だから冒険者用の装備として引く手数多。俺達が十七層に挑んだと知れた時点で、いくつかの企業から連絡を受けたほどだ。

桜井さん達が同行するというのも相まって、間違いなく持ち帰ってくると思われたのだろう。

今回はリアから依頼という形を取っているので、すべて断らせていただいたが。

あと俺一応七瀬スポーツ所属だしね。いくら自由でもちゃんと義理は果たすべきだろう。


話を戻すが、とにかく鎧蜘蛛の糸は冒険者が装備として消費している。

だからリアの様な人形師などのダンジョンに関係のない職人の手にはまず渡らない。

渡るとしたら、金持ちが道楽で買い取って親しい職人に記念品を作るように頼むくらいだろう。

それだけ鎧蜘蛛の糸は貴重品なのだ。ダンジョン内で唯一発見された糸だということも関係あるだろう。


結果、今回の話はリアだけに収まることは無かった。

というかリアが確実に手にする為に数人の知り合いに声を掛けたのだ。

その知り合いは全員人形師ではない。糸を必要とする職人は多いからな。

装飾品一つとっても、この糸が使われた一品なら金持ちが諸手を上げて購入希望を送ってくる。


そして出た購入金額が250万と。

予想よりついたと思ったが、リアにしてみれば当然の事らしい。

理由を聞いてみると。


「必要なのに誰もいかないからよ」

「「あー」」


戦って分かったが、鎧蜘蛛は強い。

俺のレベルや装備が不十分だったことも含めても今までで一番の強敵だった。

まずその時点で他の冒険者はあの場所を嫌厭する。

何せ他のダンジョンに行けば、同じくらいの階層でももっと弱くて稼ぎの効率が良いモンスターがいるからだ。


あとは単純に虫が嫌いで避けている人もいる。

こればかりは仕方ないことだ。


「だから需要の大きさに反して全く数が足りていないの。私たちになんて絶対に回ってこないくらいには」

「なるほどー」

「そういえば桜木さんも愚痴ってたな」


桜木さん達は協会の所属なので、時々協会からの命令でダンジョンに行くことがある。

その中の一つに、鎧蜘蛛の糸を確保する仕事がある。

これが中々に面倒だと、あの時に言っていたのを思い出す。

倒すのは簡単だが・・・桜木さん、虫嫌いらしいからな。

佐々木さんなんかは退屈な仕事だと別の理由で嫌がっていたが。


後は地味に十七層にまで行ける冒険者が少ないことも理由になっている。

俺は俺自身が例外だからいまいち実感しづらい事ではあるんだが、あの駅前のダンジョンの平均探索階層は十層。

つまり最初のボスがいるところで足を止める人が多いということだ。

それより下に行くと難易度は上がるし、ボスを周回する方が良いというチームが多いんだ。

ボスの報酬はランダムだが安全に戦える手段はあるし、何度も戦えばレベルも上がってまた楽になる。

結果、十七層何て殆ど誰も行かない悲しい場所になってしまったというわけだ。


「それが確実に手に入るのなら、大金を出すのは当然でしょ?」

「職人的な投資も含まれてるんだろそれ?」

「正解よ?」

「投資?何に投資するの?」

「鎧蜘蛛の糸を使った作品っていう看板の為にですよ」


ダンジョンで現在唯一発見されている糸。

それを用いた作品を手掛けたとなれば、その知名度は一気に上がる。

そうすると今まで来なかった場所から注文が入ったり、つながりが出来たりするというわけだ。

結果、将来的な評価や儲けにつながる。


「それに一人の職人としての興味も大きいわね」

「あ、その方が納得できるかも」

「じゃあ四つでちょうど1000万で良いですかね」

「私は大丈夫です!」

「あら。交渉してくると思ったけれど」

「安心しろ、また行くから」

「・・・そんな何回も行ける場所なのかしら?」

「い、いえ。それは流石に戸村君だけなので・・・」

「でしょうね」


一度負けかけたくせに何言ってんだと思うだろう。

安心しろ、もう二度とマジで苦戦しない。


実際、あの最初の戦闘の後に数体倒している。

赫爪の刃を伸ばすという能力は、予想以上に俺との相性が良かった。

そして鎧蜘蛛はレベル的にはまだ下だが、本来は複数人で倒すはずのモンスター。

経験値もその分多くなっており、俺のレベルも相応に上がっている。

そう伝えるとなぜか呆れたように


「あなたも大変ね」

「い、いえ。好きでやってますから」

「・・・へぇ」


そんな会話があった。


交渉も纏まったので、契約書にサインをする。

今日の為にリアが用意したものだ。


「んじゃ後で振り込んでおけよ」

「分かってるわ・・・フフ」

「もう自分の世界に入り込んでるし・・・」

「こ、個性的な方なんですね」

「変な奴って言っていいですよ」


普通に変な奴なんで。


「じゃあソウジ、ちょっとあっち行って」

「はい?」

「女の子同士で話し合いよ。黙っていきなさい」

「ウッス」


あ、これ逆らったら死ぬ奴だな知ってる。



















「・・・さて、行ったわね」

「あ、あの~何か私に?」

「単刀直入に聞くわ」

「は、はい」

「あなた・・・ソウジに惚れてるわね?」

「んにゃ!?///」


ビクンっ肩を飛び上がらせた反応に、リアは思わず頬が緩む。

予想通りの反応だったからだ。

彼女の宗次に対する話し方、そして絶対に彼の隣を位置取り動く様から確信していた。


「どこに惚れたのかは聞かないけれど・・・それで?告白はしたのかしら」

「あ、えっと・・・その・・・」

「・・・断ったの?あれが?」


リアは幼いころから彼を知っている。それこそ自分が戸村の性になる前から。

だから宗次が彼女を気に入っていることも分かっていた。

それが異性としてではなく、存在そのものを気に入るという謎の状態であることも。

その状態なら、彼はきっと彼女の告白も断らないだろうとも。


だが彼女の反応を見るに、まるで断られたようではないか。

それが出来るのか?あのボンクラに?

そう考えていると、怪訝さが顔に出ていたのかすぐに彼女が事情を話してくれた。


「えーっと。正確には告白とかは、出来てなくって・・・」

「別の事はしたのね?」

「・・・感極まってその、く、くちびるを///」

「」


予想以上の大胆さに思わず声を失ってしまう。

リアは引きこもりを自称し、周りにもそういわれているがある事情から人の感情には機敏だ。

そこから来る人間観察力も優れているため、日坂がそんなことが出来るとは思っていなかった。


その予想が外れたこと、キスという大胆な行動自体に思わず頬を赤らめる。

そんなリアの様子には気が付かず、日坂は話を続ける。


「それでその後、聞かれたんです。その、そういうことなのかって」

「・・・その時、悩んだ顔してたでしょうね」

「はい・・・でも、分かってたから私から言い出したんです」

「言い出した?何を?」

「私の事は、貴方の夢が叶ってから考えてくださいって」

「・・・それは」


宗次の目標は、【アークオリンピア】最強のプレイヤーに打ち勝つこと。

その目標の為に命を失う危険性があるダンジョンに潜り始めたのだから筋金入りだろう。


そして宗次自身も、それを理解している。

だからそんな自分が、特別だとは思っている存在を本当に大切にできるのかという不安があった。

それを見抜いたからこそ、日坂巡は伝えたのだ。

なし崩しではあったが、自分の気持ちを伝えた上で。自分を後回しにすることを。


「辛くは、ないのかしら」

「そういうのは全然無いんですよね。私も驚きましたけど」

「それはどうして?」

「多分・・・戸村君が、言ってくれたからです」

「・・・」

「私を救ってくれるって、いなくならないって」

「・・・なるほどね」


彼らしいと、思わず昔を思い出す。

その時の彼はまだ子供で、結局何も変えることはできなかった。

でもそれがあったからこそ、自分はここにいて、戸村になれた。


「でもその目標を叶える間に、彼に好きな人が出来たらどうするの?」

「うっそれは・・・が、がんばります!!」

「ふふ。何それ」


だけどそれをまだ語ることは無い。あるとしたらきっと


「お姉ちゃーん。クッキー食べるー?」

「いただくわ。紅茶もお願い」

「あいあいさー。日坂さんもどうぞ!」

「ありがとうございます!」


それはきっと、いつになるのだろうか。

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