呪いと謎の鑑定台
「離れないっすねーこれ」
「笑い事じゃないよ宗次君!?」
けらけら笑いながら帰還。速攻でとりあえず別室に隔離された。
その対象が俺だってことは既に伝わっているからすぐに責任者がくるらしい。
そして今の俺達の責任者と言うと。
「素晴らしい速度でやらかしてくれたな」
「いえい」
「宗次君?」
「はいすみません」
当然立浪さんだよね。
おふざけははこの辺までにしておこう。
さて俺に何があったか。
宝箱から謎の剣を引き抜いた直後に俺の腕にその剣が同化した。
それだけならまだ良かったのだが、何とその剣が引き抜けない。
しかも同時に闇夜の調子もおかしくなったときた。間違いなくヤバい物を引き抜いたようだと気が付くのに時間は掛からなかった。
でもこのままではいられないのでとりあえず一旦戻ってきて、今に至る。
「剣が体から離れないと聞いたが」
「こんな感じですね」
「ふむ・・・呪われてるな」
「ですよねー」
まぁそれは分かっていたというか、それしかないと言うか。
ダンジョンから手に入る装備の中に極稀に呪われたものがあると言うのは前も話した通り。
問題はその呪いがどういう物なのか分からないということだ。
もっともポピュラーな呪いは体力の消費が増えるというものだが、当然それ以外にも存在する。
今回の場合で言うと、今のところ確認された呪いは体に寄生するかのように引っ付いて離れないこと。
これだけだと大した呪いとは言えない。まぁ危険人物度合いが増えるなってくらい?
「ふむ。となるとあれの出番か」
「あれ?」
「着いてきてくれ」
立浪さんに従って着いたのは何のプレートも張られていない扉の前。
扉を開けるとそこは部屋では無くて地下へと続く階段だった。
「この下は倉庫になっている。まぁ無い事になっているが」
「ああそういう」
「本当にそういうのあるんだ・・・」
秘密基地的な感じでちょっと面白いかも。
階段を下ると、そこには俺の想像していた倉庫より遥かに広い倉庫があった。
東京ドーム何個分とまでは行かないが、それより少し小さい程度とみた。
そこには見たことの無い物がたくさん置いてある。
しかもその全てが魔力を帯びている・・・魔道具ばかりなのだ。
「これは」
「君でいう所の大剣使いが見つけ出した物だ。表には出せない為ここで保管している」
「うわぁ・・・明らかにヤバそうな剣とか槍とかあるんですけど」
「その通りなので触れない様に」
「ウッス」
何か見ただけでアウトになりそうな品々が雑に置かれている・・・いや。よく見ると違うな。
そういった品の近くには絶対に白い玉が置かれている。
それは逆に全く危ない感じがしない。むしろ落ち着きすら感じる。
立浪さんはその物の山の中にいくつかある使われた形跡がある魔道具を引っ張り出してきた。
水晶玉の置かれた机だ。紫の布が被さっている。
「これは」
「鑑定台だ」
「鑑定!?」
「そんなのあったんですか」
「で、でも一度も聞いたことなんて」
「これは使い方が特殊でな。そういう意味で表に出せないのだ」
「へぇ?」
ただの鑑定台ってだけじゃないのか。
ちなみに普通の鑑定台ともいうべきものはまだ見つかっていない。
だからこそ巡さんは驚いたのだ。
もしそれがあったのなら、誰が見つけたか関係無しに大発見だからだ。
ダンジョン内で見つかる魔道具。それの使い方が分かる物は実は少ない。
これも研究所とかで調べて一つずつ解明している状態なのだ。
その手間が無くなると考えると、これはもう世紀の大発見には間違いない。
しかし表に出せない特殊な使い方って一体何をするんだ?
「そもそもこれは物を鑑定する物ではないからな」
「はぁ」
「こいつは人を見る為の物だ。君達でいう所の冒険者カードをより詳しくしたものと思ってくれ」
「あ、なるほど」
「じゃあレベル以外も分かったり?」
「その通り。少々面倒な部分も分かってしまうのが欠点だがな」
「???」
「面倒?」
冒険者カードは俺達のレベルやスキルを見る物。
それがさらに細かくとなると、筋力とかが数値化されたりするんだろう。
だがそれで面倒になるってのはどういうことだ?
別に分かって困ることがあるとは思えないが。
「やれば分かる。水晶玉に触れてみてくれ」
「了解っす」
水晶玉に触れると少しだけ魔力が抜き取られる。
その魔力が水晶玉の中で渦巻き、時間が経ってから文字に変化し始めた。
戸村宗次 Lv62(Ex) 呪い侵食状態
スキル 変化値
【身体強化】 87
【狼体適応】 12
【】
【】
魔法
【】
特性
【■■■■】【■■■■】【■■■】
闇夜 Lv?? 呪い侵食状態
スキル 変化値
【闇の王】 0
【進化適応】 0
魔法
【闇魔法】
【魔法適応化】
特性
【混沌吸収】
海夏 Lv60
スキル 変化値
【海の子】 0
【精霊の加護】0
【水中適応】
魔法
【水魔法】
特性
【精霊の力】【マスコット】
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・???」
一気に色々出てきて良く分からないけど・・・どういうこと?
立浪さんを見ると、やはりと言った感じで頭を抱えている。
えーっと。まぁ今回重要なのは俺達の状態だよな?
そうなるとやはりこの呪い侵食状態って所を見たら分かるよな?
「呪い侵食って・・・」
「いやあの巡さん。泣きそうになることじゃないですって」
「だってぇ」
やはり俺が呪われていたことがショックなのか、巡さんが涙を流している。
すぐに抱きしめるけど、今回ばかりはどうしたものか。
ぶっちゃけ剣が離れないだけだし。あまりデメリットが無いと言うか。
いや呪われたこと自体はショックだが、それはそれとして戦うには問題ないし・・・ええい。こういう時ってなんて言えばいいんだ。
「あー。すまない。話良いか」
「良いですよ」
「ではまず。君は呪われていない」
「???」
「???」
「正確には、呪いを食いつぶしつつある状態だ」
「・・・???」
「???」
つい抱きしめたままの巡さんと目を合わせて一緒に首を傾げてしまう。
呪われてるってより、呪いを食いつぶしてる・・・つまり呪いを克服しつつあるのか俺?
でもそんなこと流石に出来ないと言うか、やり方も分からない様な物に関しては抵抗しようが無いと言うか。
いくら俺でも無理なものは無理だと思うんだが。
ああいや。体質的な話だったりするのか?それならワンチャン?
でも闇夜が何かした可能性とかあるか?
「心当たりあるか?」
「ヒン?」
「無さそうだな」
「えーっと。じゃあ宗次君はもう大丈夫なんですか?」
「ああ。恐らく時間が経てば勝手に外れると思うぞ」
「よ、良かったぁ」
「よしよ・・・手がこれだと撫でづらい」
「そうじくん~」
やっぱこの手不便だわ。
二人が帰ったあと、再び立浪は鑑定台の前に来ていた。
水晶に書かれていたことを改めて確認するためだ。
彼らは呪いについてが気になったのか、最も問題のある部分に気が付かなかったようだが。
いや。文字が一気に流れるので本当に読めなかったのかもしれない。
だが立浪は、それがとんでもない内容であることに気が付いていた。
「・・・特性が見えない。それも三つか」
そう呟くと立浪が水晶玉に触れる。
立浪仙波 Lv83 弱体化状態
スキル 変化地
【身体強化・極】0
【強化補正極】 0
【剣豪】 0
魔法
【強化魔法】
特性
【■■・■■】【踏破者】
「君は、一体何者なんだろうな」
最後にそう呟くと、立浪はそこから『消えた』
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