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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
3章 噴血いと烈しきは生まれ出ずる折の

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96 調教は手でする。ほっぺを左右から(以下略)

 どうぞ。

 三十分くらい後、立ち話はだいたい終わった。要約すると――


・ステータス欄を見て、素質にあった方針を立てる。

・捕獲、調教、使役、エサやり、グルーミングの五ステップを守る。

・所持品は選ばせる、取り上げない。


 この三つに収まった。


「よし、短くまとめられたな! 正直、【愚者】にテイムは向いてないんだが……それでもやりたいなら、応援するまでだ」

「現実と同じで、まずは立場の上下をわからせる。そのあと、従えば褒章があることを理解させる。そして、それを取り上げない。これが信頼を築くコツだ」

「ありがとうございました、丁寧に説明していただいて助かりました」

「俺たちも「礎石集会」に属する【賢者】だからな。知識は実用を伴ってこそ価値がある、しまい込むのは愚行だ」

「カードの封印なら、餌代はかなり浮くな……ただ、意識レベルが強いモンスターだと、カードには入れない方がいいぞ。ケージ型のアクセサリーがあるから、それを買うといい」

「何から何まで、すみません」


 何か次の仕事があったのか、二人はたぶん仲間か上司のところに走っていった。露店が並んでいるところの、アクセサリーを売っているお店に寄って、小さなダイヤル錠みたいなものを買う。よく見ると鳥かごが上下にいくつか連なった構造で、とんとタップすると四つのケージにそれぞれ何を入れるか、という選択画面が出てきた。


「馴れてからの方がいいよね……」


 四体捕まえたスケルトンの適性を、調教を始める前に確認する。弱ければ弱いで、売るか使い捨てるかの二択になるから、損はしない。絵柄は四枚とも同じだけど、それぞれ個性があった。片手剣、呪術、格闘、治療術式――


「ん? ガイコツが治療ってあるんだ……?」


 系統でいうとアンデッド、医療とか健康という言葉とはすごく遠そうだけど、なぜか適性を持っている。船にいたから、船医さんのご遺体の成れの果てなのかもしれない。ちょっと気になったので、この個体を育てることにした。


 街の外に出て、ちょっとだけ強めのモンスターがいるところに向かう。




「えっと、まずは……」


 手に乗せた黒いカードに〈バインド・リベレイト〉を使うと、とくに変わったところのないスケルトンが出てきた。


「……」「……えっと」


 ステータスで見た賢識は、たったのレベル17にしてはけっこう高い。けれど、命令を待っているのか意識がぼんやりしているのか、こちらに反応してくれない。


「短剣がいちばん適性あるけど、どれがいい?」

「……」


 手元にある四つを、手のひらに並べて見せる。反応も動きもにぶいけど、いちばん切れ味が鋭い短剣を手に取って、ちょっと不思議そうに首をかしげていた。がさっ、とウサギのモンスターが現れて、こっちを威嚇しているけど……スケルトンは「まあ落ち着け」みたいなジェスチャーをしている。


 突進してきたウサギを、スケルトンは両腕で防いだ。


「倒すね?」


 投げたカードの一撃で、ウサギは瞬殺だった。同レベル帯には豆鉄砲でも、レベル60超えの私がいちばん強い方法で使っているカードは、それなりの威力を出せる。このあたりのモンスターはレベルでいうと一から八くらいで、攻撃も弱い。スケルトンもあんまりダメージを受けていないけど、何もしようとしないのはかなり違和感があった。


「レベルが十上がるごとに進化できる、だっけ……」


 意識レベルが低いから会話はできないし、ぜんぜん戦う気がない。不殺主義だからショックを受けている、といったような様子でもなくて、何かあるけどまだはっきりしていないようだ。


「……後回し! エレメンタルの方で!」

「……」


 いったんケージに入れて、次を考えることにした。


 同じように三体捕まえていたエレメンタルの方は、適性がほぼ同じだった。


「こっちは確か、スキルの多さで判断するんだったよね……」


 一律で〈氷魔術〉を持っているけど、〈氷河期〉というフィールド系のスキルや、〈凝結〉というよく分からないスキルを持っている、明らかに頭一つ抜けた天才がいた。


「〈バインド・リベレイト〉……こんばんは、妖精さん」

「きゃははは」


 角の生えたマシュマロみたいな〈フロスト・エレメンタル〉は、ふわふわと浮遊しながらもこちらに興味を持って、差し出した手のひらに止まってくれた。


「よしよし、いい子……じゃない、ちょっと温度抑えてくれない?」

「きゃーっはははーはー!」


 つねに魔力を垂れ流しにしているせいか、氷のダメージがずっと入り続けている。


「めっ、だぞー。ぶにっと!」

「きゃぁはう……」


 左右からぶにっと抑えてつぶすと、ちょっと嫌そうにじたばたする。ダメージが小さくなるときにちょっと離して、氷を手に刺したり凍傷を負わせたりするときに強めにぶにっとすると、だんだん抵抗しなくなっていった。


「きゃうふ」

「よい子、よいこー。私は敵じゃないよ」

「あっふぁう」


 よしよしと撫でていると、ダメージ感覚としてカットされていた温度は、ひんやり程度に落ち着いていった。


「きゃはー……」

「ファイバーさんのあれ、グルーミングと調教のどっちだったんだろ……」


 もとからぬいぐるみだと言われていたけど、調教の過程だったのか、それともだいたい終わってご褒美として撫でてあげていたのか、ちょっと分からなかった。


「じゃー、いっしょに戦おうね」

「きゃっは!」

 ナチュラルに人の心がない判断をしてくフィエル。まあ最初の「魔王チャレンジ」で〈リンクボルト〉の連鎖ダメージ上げるために49体消し飛ばしてたし……

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