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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
3章 噴血いと烈しきは生まれ出ずる折の

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94 完全あんぜんFワード

 どうぞ。

 しゅるるっとガイコツが収まった黒いカードには、見た目通りガイコツ=「スケルトン」の絵柄が浮かび上がった。


「よしっ、条件ひとつクリアだね!」


 道化師系と調教師(テイマー)系を合わせた上級ジョブ〈座長〉は、「〈道化師〉の職歴」と「特定カテゴリのモンスターをテイムすること」が転職条件になっている。封印はテイムではないけど、いちおう従う状態にできるから、そこから調教すればテイム状態になる……いちおう配下ということになっているクリームに聞けば、教えてもらえるはずだ。


「次は、と」


 クエストの内容を細かく読む。「〈座長〉に転職するための条件として、たくさんのモンスターを使役できる必要がある。むろん、華のある舞台にはたくさんの種類が必要だ」と……微妙に分からないけど、詳細条件に切り替えると分かりやすかった。「指定されたカテゴリのモンスターをテイムする」と書いてある。


 アンデッド系統は今封印したから、次は精霊、動物、植物、魚介、――


「全部だこれ!?」


 よくよく考えると、これまで封印カードに入れてきたモンスターは、〈バインド・リベレイト〉で戦場を混乱させるための手駒だった。テイムしたのはフィーネだけだから、まだまだクエストは長引きそうだ。


「今のマップで全部いるのかな? またミルに聞かないと」


 複数にまたがるモンスターもいそうだけど、ちゃんとテイムできるかどうかも問題だ。まずはこの船にいるモンスターをだいたい全種類捕まえて、そこから考えることにした。




 幽霊船のマップだからか、モンスターのほとんどはアンデッド系で、いくらか水と氷の精霊がいた。一種類ずつ封印して、いちばん下にある凍り付いた扉に触れた。


「フィーネ、出てきて」

「ようやくですか。少し長引きましたね」

「数こなさなきゃいけなくって。だいたい終わったから、最後は戦おう」

「どれほどのものでしょうか」


 銀細工は、静かに笑う。


 下向きの扉が左右にスライドして、地下に続く階段が開いた。よく考えたら、船の底から地下の湖の中に出ていることになる。どこに向かっているのか、岩と氷の混じったトンネルを一段ずつ下っていく。


 階段はだんだんとねじれていって、振り返ると錐揉みというか螺旋回転というか、上下がめちゃくちゃになっている。周りに散らばっている氷の色も、だんだんとおかしな色に変わっていった。最初は青っぽかったのに、黄色や緑、ピンクや紫……ただの氷というより、氷菓子みたいになってきている。


 弱々しい灯りが照らすドーム状の空間に着くと、かわいらしい笑い声が聞こえた。


『キャアハハ/ッハアハア/ハハハハ!!』

「息を吸い込みながら笑っているのでしょうか? 苦しそうな」

「確かに、なんか変かも」


 ふわふわと浮くクリオネ……の横に、デフォルメされたガイコツが浮かんでいる。名前は「フェイクフェーヴ・フロストフェアリー」、氷の妖精の異常進化バージョンのようだ。ガイコツが「がぁははは」と笑うと、ドームの端から海賊らしきフル装備のスケルトンがわらわら出てきた。カトラスや角付きのバイキングメットは、当然のようにボロボロだ。


「魔法、いっぱい使えるねー」

「当たらないので、好きにしてください」

「本体、ひとまず任せちゃうね」


 初手の〈ギガントスケール〉に〈は図み軽魔ジック〉、そして「月泳流星のおもて」の解。不可思議な結界がドームの天井を上書きしたのを見届けて、私はボールの上に飛び乗る。〈軽業〉のレベルや敏捷が上がったからか、前みたいなワンステップが必要なくなったのだ。


「多いし……〈サイ・プレス〉?」


 効けば強い即死技は、スケルトンたちの頭上に帽子マークを付けてから、何も起こさずふっと消えてしまった。どうやら、精神耐性はかなり高いようだ。


「むむ……〈ウェザーフレア〉!」


 疑似太陽を空中に置いて、火耐性と雷耐性に応じた確率でやけど状態を付与する魔法。ボワッ、とスケルトンたちは燃え上がり、こちらに突撃してくる。ボールとカードをぶつけて、殺到してくるスケルトンをささっと処理していく。


「そっちはー?」

「あまり届いておりません」

『アッハア/キャ/ハアアハハキ/ャキャ!!』


 にゅるっとした動きで避けていて、ガイコツばかり殴られている。でも、ガイコツはちっとも傷つかないどころか、幻のようにさえ思えた。


「はあーあああ」


 さっきのようにガイコツが口を開くと、またドームの端から何かが表れる。


「今度は……スケルトンじゃないや、精霊?」

「怨霊と精霊を混ぜたものですね。おぞましい仕打ちをするものです」


 人の顔写真を加工するときに、鼻のちょっと上や目元をスライドしてぐんにゃり曲げたような……異様な形にねじ曲げられた顔に、短い手足を付けた雪人形だった。


「さっさと始末しなきゃね。も一度、〈ウェザーフレア〉」


 雪人形はものすごく弱かったようで、一瞬で溶けて消えてしまった。クリオネみたいなボスのFFFFも燃え上がり、苦しんでいる――けれど、ガイコツとクリオネがまったく同じタイミングで共鳴するように笑い合う。


『キャアハ/ハッハ/アハアハハ/ハハ』「がはぁあっはは」

「へっ、自滅!?」


 全身がビキビキと凍り付いて、両方のシルエットが氷に呑み込まれる。そこから何が起こるのかと思ったのに、クリオネとガイコツは両方とも氷に融けてしまった。そして氷はそのまま融けて、水たまりが地面に広がる。


「えぇ……早すぎない?」

「まだ魔力は消えておりませんが」

「えっ」

『きゃはははは!!』


 ぬるーりと飛び出した、さっきよりはるかに大きなクリオネは、全身がカチカチに凍っていた。ただの形態変化か、融合だったようだ。


『あははははは』

「フィーネ、本体お願い」

「ええ。このままでは終わりませんね」


 さっきとはまったく違う……アイスキャンディーの人形が、ぞろぞろと湧いて出た。

【愚者】だとだいたいのボスが強くなる……んですけど、フラグ見逃しがあるのでこれでもまだ弱い。ここストーリーありのイベントで来る場所だから……

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