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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
3章 噴血いと烈しきは生まれ出ずる折の

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92 【告知】次の配信企画を発表します!【猛者よ集え!】

(2025/10/14 内容差し替え)


 どうぞ。

 お風呂から上がって髪を乾かし、ログインする。ギルドホームに入ると、ホールに全員が集まっていた。ホワイトボードと円卓が用意されているので、すぐ座る。


『待ってたよぉ。さっそく始めよっか』

「ではでは、情報の共有ですな。すでに書き出しておきましたぞ」

「警戒度が高い方が上、ということでよいでしょうか」

「BPBは……今回は不参加なのね」


 あちら「玉鋼陣営」の組織図はアメーバ状で、BPBという核を中心にして、その他のギルドが一番の部下を気取ったり、最強の配下になろうとしたりしている、らしい。


『まずは「スラッシャーズ」と「ゾーモッツ」。亜人狩りで儲けたりいい装備を揃えたりしてる、らしいよぉ』

「ドロップ武器を鋳つぶして作った武具を使っているようですな。噂が流れてきているだけなので、警戒度は不明。いちおう上げておきました」


 中段にある二つの名前は、別に警戒しなくてもいいようだった。


「中段より上のギルドはどうかしら、ちゃんと情報があるみたいだけれど」

「わたくしが刃を交えた人の所属している、「桜桃士団」がありますね」

『あと「ヤミノ・ウォリアーズ」もかなり評判だよ』

「なんでそこ日本語なの……?」


 いちおう私の配下ということになっている「銘菓ラヴィータ」みたいな、コンセプトを柱にして集まった人たちみたいだ。


「その上にあるのが、本隊のメンバーが目をかけているという三つのギルドですぞ」

『こないだのアカネみたいに、アイテムあげたりもしてるみたいだねぇ』


 本隊メンバーのうち三人、「ロッコン」「るるラ♡ヴ」「†究極兵装壱式/桜冥臥†」――


「最後の人なんて読むの」

「アルティマスワン・オメガですなー」

「……そっか」

「アカネ、疲れてない? お菓子食べる?」


 心配してくれるシェリーに「だいじょうぶ」と返しつつ、情報の続きを追う。


 格闘家タイプの前衛「ロッコン」は、格闘家が集まった「五龍会」に目を付けていて、たまに練習相手になってもらっているらしい。うちは設けていない団員のランク制度があるようで、最高位の「応龍」に同列五人がいるから「五龍会」なのだ、ということだった。半裸の格闘家がいたらだいたい彼らだ、と言われると、ちょっと見覚えもある気がした。


『あそこは漢気がねぇ……ぜんぜん避けようとしないから、トータルでは弱いかな』

「近付かれたらヤバいんだね、覚えとく」


 オカマでヒーラーでもある「るるラ♡ヴ」は、妙に女子力があったりジョブの系統を揃えていたりで、ものすごくしぶといそうだ。最初のころ助けてもらった恩義があってか、「ハーツビート」は忠誠と言ってもいいくらい彼を慕っているそうだ。全員が【賢者】で、真っ当に強いらしい。


「きちんと練られたビルドなので、かなり厄介ですぞ」

「ちゃんと強い、ということですね」


 オメガさんフォロワーは、あちこちから掘り出した古代の遺物を使う「拾代倶楽部」を結成した。何をしてくるか分からないから、そうとう厄介みたいだ。ただし、新しいものを見つけるペースは遅いからか、手札はだいたい割れている。


「まことに残念なのですがー……下克上してくるギルドは明かされておりません! やってくるそのときに分かるようですな」

『みんなは、この子強いなって思ってる子いる?』

「んー……? コンセプトチームばっかりだし、強さはないかなー」

「わたくしの下についてくださる方ですと、ユントサイザーさまとオクタランプさまでしょうか。剣士ではありませんが、強者です」


 レーネが言うんだ、とちょっとビビッてしまう。


「さて、それでは。告知時間になりました、配信を始めましょう」

『行くよぉ』


 コメント欄を開いて、私たちも配信を追う。




 立ち上がって角度を調節した二人は、いちおうの仮想画角フレームを用意しつつ、あいさつを始める。


「みなさんどうもこんばんはー、徒歩で来ちゃったとっこでございますよー。今回少しばかり遅くなってしまいました、申し訳ございません」

『やほやほー。会議とお風呂が長引いたんだよねぇ』


『お風呂は入るべき』『もろもろ健康にいいからね、しょうがないね』『生活大事にしてるとこすこ』『このイロモノで会議することあるんだ……』『↑さすがに失礼で草』


『しばらく単独配信ばっかりで、内緒で別キャラ育成したりもしてて、頻度が減ってたんだよねぇ。というわけで! 今回どどんと!』

「前回は切り抜きしか流せませんでしたがー、今回は生配信! そして規模もどーんと大きくなって……なんとなんと三千人!」


 シルエットになったテロップを浮かべて、二人はにやっと笑った。


『まさかこれは』『きちゃああああああ』『来たか』『ついに! ついに!』『またメンバーに無茶ぶりしてるwww』『どうなってんねんwww』


「名前も変わりましてー……「ブレイブ・チャレンジャー」!! 前哨戦です!」

『君臨する魔王たち「水銀同盟」に、人々が立ち上がる! 今回は最強ギルド「BPB」……の下についてる「玉鋼陣営」、それに私たちの下についてる「アマルガム陣営」からも下克上されちゃう予定だよぉ』


『下克上!!?』『この規模で前哨戦なのか……』『迎え撃つのにチャレンジャーなんかw』『挑戦者よ来たれは傲慢の極みで草、ルシファーかなんかか?w』『相手できるほどメンツ増えたん?』『↑友達チームだし増えないんじゃね?』『お手合わせよろしくお願いします』


 きらびやかに光るタイトルロゴに、コメント欄は大盛り上がりだった。


「ほほう、コメント欄にも挑戦者がいるようですなー。さて、説明を始めますぞ」

『仕組みは前回と同じだよぅ。ギルド対抗戦のバトルロワイアルモードを選んで、「水銀同盟」はすべてのセーフティーを外すの。みんなに強制はしないけど、リスクは負った方がいいかな? ひとつは破壊不能状態を解かないと、そもそも参加できないからねぇ』


『ズルはあかんね』『たしか強奪・破壊・侵入・死亡だっけ』『↑死亡必須でもひとつやね』『部屋ががらんとしすぎてて入りたい感なくね……?』『えっ私室入れるんか??』『ファッ!?』『俄然やりたくなってきたんやが』『乙女の秘密暴けるんか!?!?!!』


「ふっはっはは、そうですぞ! ギルドホームの守護者を打ち破り、侵入し。最後の守護者を倒せば……ギルドホームに保管されているお宝の半分を強奪でき、すべての部屋に入り放題なのです!」

「聞いてないよー……」

「プライベートなものは置いてないけど」


 事前にある程度言われてはいたから、ホームに置いてあるものは少ない。ただし、倉庫に置いてあるものは別だ。


『次回の挑戦者も受付中だからねぇ。だいたい六百万ディール、最前線のアイテム、TTにも劣らない職人たちの作った武具。欲しければ奪いに来るといいよぉ』


 仮想画角フレームがこっちに向いた。次に使う予定の封印カードを指に挟んで、微笑みながら軽くキスをする。


 予告は、そうして終わった。

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